Wmの憂鬱、バイオ後続品開発に燃える富山県【Proteomicsメール Vol.90】

(2012.07.17 19:00)

 今月も日経バイオテクONLINEの Webmasterの宮田が執筆させていただきます。著者の選定に今尚難渋しております。

 現在、仙台に滞在しております。日本毒性学会を取材しているためです。朝からばたばた会場を駆け回っており、今回も短く、ご報告させていただきます。申し訳ありませんが、ご了解願います。

 さてプロテオミックスです。

 富山県がバイオ後続品開発に燃えております。

  先週木曜日の午後、富山市で富山県主催のバイオ・抗がん剤製造推進セミナーが開催され、会場はほぼ満員の盛況でした。300人以上の富山県に関連した医薬品製造企業関係者が参集しました。ご存じの通り、富山県は静岡県と競争を繰り広げる医薬製造県です。富山県にはジェネリック製薬企業や薬物中間体を製薬企業に提供する企業が集中的に立地しております。一言で言えば、豊富な水力発電の資源を活用した電気化学工業から営々と発展してきた化学合成技術に卓越した企業群が存在しているのです。

 こうした企業群に取って、2010年からは始まった我が国の製薬企業のブロックバスター医薬の特許切れは大いなるジェネリック商品化のチャンスでした。しかし冷静に考えて見ると、2014年以降特許切れする医薬品の顔ぶれを見ると、化学合成低分子医薬は存在感を失い、代わってのしてくるのがバイオ医薬、抗体医薬です。

 富山県のジェネリックメーカーもバイオ後続品に対応すべく、大変革を行う必要が出てきたのです。今年度の予算で、富山県もバイオ・高活性等新分野製剤製造技術支援事業を計上、バイオ後続薬への参入支援、指導、そして人材育成を開始したのです。今回のセミナーの異様な熱気もこれを繁栄しています。

 しかし、化学合成低分子のバイオ後続品は同じではありません。製造技術が未熟である分、バイオ後続品は物質レベルで先発薬と同一性を主張することはできません。その結果、不純物や活性物質のアイソマーの多様性を前提として生物学的同一性、安全性、有効性を担保する前臨床試験、臨床試験を遂行しなくてはならないのです。物質を作っても、新薬並の前臨床・臨床試験が必要です。ジェネリック薬と同様な期待(つまり迅速で経費をかけない開発)を期待した企業には、厳しい試練となったのではないでしょうか?心配しております。

 唯一の希望は、食品医薬品衛生研究所の研究者がそのセミナーで抗体の糖鎖を分析する標準化試験の方法を近く公表すると発表したことです。製造法の成熟が進めば進むほど、ジェネリックとバイオ後続薬の差は近づくためです。今後の測定法や製造法の発展を期待しなくてはなりません。但し、化学合成プラントをバイオ医薬製造プラントに転換することは不可能で、バイオ後続薬に参入するためには、バイオ製造工場を作る投資をしなくてはなりません。どう考えても日本のジェネリックメーカーは整理再編成が加速される結論です。前門の虎はジェネリック薬の競争激化、そして後門の狼はジェネリック薬のバイオ後続薬化です。覚悟を決めてこの変化を乗り切らなくてはなりません。是非とも、富山県にはがんばっていただきたいと願っています。

 今月もお元気で。

        日経バイオテクONLINE Webmaster 宮田 満

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