こんにちは。水曜日を担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。

 先日、ある人と遺伝子組み換え作物に関して議論をする機会がありました。その人が言うには、遺伝子組み換え作物が栽培されているのは途上国が中心で、欧州や日本など、先進国では組み換え作物は敬遠されがちである。従って、途上国が経済成長して国民の所得が増えれば、組み換え作物は栽培されなくなるのではないか──ということでした。

 そういう考え方をしたことがなかったので、なるほどと思う反面、むしろ途上国が経済成長して購買力が上がれば、食料不足の問題が今以上に顕在化して、組み換え作物に光が当たるのではないか、というのが私の考えです。

 確かに、組み換え作物の商業栽培が広がっているのは途上国が中心です。国際アグリバイオ事業団のリポートによると、2011年の組み換え作物の栽培面積は2010年より8%増加して1億6000万haになり、栽培国29カ国のうち、19カ国が途上国で、先進国は10カ国にとどまりました。5年前の2006年の同じリポートでは栽培国は22カ国で、11カ国が先進国で、11カ国が途上国とあり、先進国では導入は頭打ちとなり、途上国を中心に増えている状況が見て取れます(先進国の定義が不明ですが)。

 一方で、国連世界食糧計画によると、世界では現在、7人に1人、9億2500万人が飢餓に苦しんでいるとのことです。もっとも、現在の飢餓の原因は災害や紛争、貧困などで、食料の供給が需要に追い付いていないわけではありませんが、昨年10月に70億人を突破したとされている世界人口が、2050年には90億人を超えると国連は予測しています。一方で、国連食糧農業機関は、増加する世界人口を養うためには、2050年までに食料生産を60%以上増加する必要があると予測しています。

 いずれにしても、世界的な人口増加や途上国の経済成長のことを考えれば、食料不足は今以上に深刻な問題となるのは明らかです。デフレの日本で生活しているとなかなかピンと来ないかもしれませんが、これだけ食料自給率が低いわけですから、やがて日常生活の中でも食糧不足を実感するようになる可能性は十分あります。問題を解決するには農業の生産性を革新的に高める必要があります。遺伝子組み換え作物だけが救世主というつもりは全くありませんし、組み換え作物だけで問題が解決するとも思いませんが、組み換え技術が農業の生産性向上のための有力な武器の1つであることは確かでしょう。

 食料だけでなく、資源や水、エネルギーなど、将来を見通せば解決困難な問題がごろごろしていて、現在のようなグローバルな経済や社会を本当に維持できるのか、疑問を感じることも多々あります。それでもバイオテクノロジーで挑むべき課題があればトライすべきだし、そこにまた新しいビジネスチャンスがあると確信しています。

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