こんにちは。水曜日を担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。

 文部科学省による国立大学改革の取り組みが本格的に動き始めたようで、全国紙などでも大学関連のニュースを頻繁に目にするようになりました。昨日も国立大学の出資規制の緩和を文科省が検討しているというニュースが日本経済新聞に出ていましたが、再編を視野に入れた大学のグループ化の動きにつながるかもしれません。雇用の問題を見ても、株式市場の問題を見てもそうですが、とにかく日本は退場を促すのが極めて難しい仕組みになっています。しかし、少子高齢化、人口減少が進む中で、大学や公的研究機関は、適正な規模にサイズを見直す必要に迫られています。一方で、グローバル社会で通用する人材を育成するという観点からも、大学や教育の在り方を根本から見直す時期に来ています。不要なところをそぎ落として必要な組織や機能を充実させる。そんな大学改革が実現することを期待していますし、日経バイオテクとしても積極的に報道していきたいと思います。たまたま先週、東京農工大の大学院新設の発表を取材に行き、先生方と議論する中で、現在の大学の置かれた状況や、その改革の必要性などを改めて思った次第です。

東京農工大、食料・エネルギー危機に備える博士を育てる大学院新設、5年間一貫制でイノベーション人材の育成を目指す
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120630/161896/

 大学が抱える問題の1つとして、パーマネントの職が得られる見通しがないのに、大学院の定員を増やし、ポスドクを数多く作り出してきたことが指摘されます。研究者の雇用の受け皿としてバイオ産業がうまく立ち上がればよかったのかもしれませんが、日本のバイオベンチャーは苦戦しているところが多いのが現状です。

 それでも時折、グローバルに成功が期待されるベンチャー企業に出会うことがあります。先ほど記事をアップしたペプチドリームもその1社です。東京大学の教官の技術を基に設立されたベンチャーで、これまでなかなか表だって取材する機会がなかったのですが、既に国内外の製薬企業9社と提携し、年間5億円ぐらいの売上高を計上しています。研究者も30人弱雇用しているということで、そんな大きな数ではありませんが、研究人材の受け入れ先にはなっています。バイオベンチャーや企業のバイオ関連事業部門がしっかりと立ち上がっていくことが、ポスドク問題などの解決の1つの方策と言えるでしょう。大学改革の一方で、バイオベンチャーの成功例を積み重ね、産業として振興していくことも不可欠です。

特殊ペプチド創薬のペプチドリーム、契約は国内外の製薬9社と40の標的に上ることを明らかに
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120704/162007/

 ペプチドリームのことはぜひとも日経バイオテクONLINEの記事でお読みいただきたいですが、大学発の技術を特許で磨きあげ、グローバルで通用するプラットフォーム技術として確立したことがポイントだと思います。ただ、日本発の技術にもかかわらず、契約先企業のほとんどは欧米の大手製薬企業で、よくある話ではありますが、日本企業の保守性というか、先見性のなさを感じざるを得ません。もっとも、まだペプチドリームのライブラリーから出てきた化合物で臨床段階にまで進んだものはなく、本当に医薬品が実用化されて、成功したと言えるようになるのはまだ先のことかもしれません。逆に言うと、まだ臨床段階に進んだ候補化合物がない時点で、既にこれだけの契約を獲得し、売上高を計上できているのは技術とビジネスモデルがともによかったからでしょう。いずれにせよ、グローバルに通用するプラットフォーム技術を有する同社のようなバイオベンチャーが他にも出てくることを期待する次第です。

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                    日経バイオテク編集長 橋本宗明