あっという間に今年も半分が過ぎてしまいました。

 EUROもスペインが4:1でイタリアを一蹴、パスサッカーの底力を見せ付けました。イタリアに後半負傷退場で1名欠員が出た後、快速フォワード、トーレス選手を投入、決定的な3点目を叩き込み、さらには4点目の絶妙なアシストを実現し、イタリアの息の根を止めました。監督の采配の勝利でもあります。とにかく驚いたのは、守備の要、プジョルを負傷で欠きながら、今回の大会では失点はたったの1点であったことです。ボールポゼッションに拘るスペインのパスサッカーが、守備においても抜群の安定感があることを示しました。しかし、決勝の両国とも債務で国債の金利上昇でユーロ危機の引き金を再び引きかねない政府なのですが、国民はサッカーに熱狂、国家的統一感の高揚を味わっているのは不思議でした。我が国は、政局も分裂、国家債務は両国以上、そして国民の元気もない、三重苦、近く増税も加わり四重苦となる惨状です。両国よりも、国民はまったく幸せでない国に成り果てつつあります。我慢、我慢のワンパターンでは先細りになるだけ。そろそろ変化が本当に必要です。

 さて、バイオです。

 今年度から未来開拓研究制度が立ち上がったことはご存知でしたでしょうか?私も実は先月知ったばかりなのですが、本日はこれから経済産業省に取材に参ります。今年度の予算総額は116億円ですから力んだ名前の割には少額ですが、今回の制度創設の理由には納得しました。
http://www.meti.go.jp/main/yosan2012/20111224-7.pdf

 実は企業の研究開発投資は、2008年のリーマンショック以降、巨大な変化が起こっています。我が国の企業の研究開発投資は07年の13兆8000億円をピークに、09年と10年には12兆円と急落しているのです。今まで我が国の企業は不況になっても、未来の投資である研究開発費だけは手をつけなかったのですが、そうした武士の高楊枝はもはや存在していません。海外の企業でもビッグファーマは09年と10年には研究開発投資が低下しましたが、11年には回復、増加傾向をしめしていますが、我が国の企業では取材する限り、景気の良い話は聞こえてきません。11年度も企業の研究開発投資は横ばいが良いところではないでしょうか?

 こうした研究費削減は、我が国に二つの衝撃を与えます。

 第一は、国家全体の研究開発投資の大半を占める企業の研究費が縮小すると、我が国全体の研究開発にも大きなブレーキが掛かる点です。第二は、粘り強い長期の研究開発投資と終身雇用制度を背景とした日本型イノベーションの方程式が通用しなくなるという点です。既に、終身雇用制度が崩壊、退職後のエンジニア達が韓国、台湾、中国の競争企業に迎え入れられ、我が国の家電産業や電池産業に甚大な競争力喪失を与えていることはご存知の通りです。定年という馬鹿げた機械的な首切り制度に加え、今度は研究開発部門のリストラによる若手研究者の海外流出も起こりかねない状況です。実際、企業の研究開発は短期的に成果が上がるものに焦点が絞り込まれつつあり、未来に対する投資は金額も人材も減少軌道に乗ってしまいました。

 さらに、国家プロジェクトも小粒化しています。かつてのサンシャイン計画は1プロジェクトあたりの予算は年30億円以上、プロジェクトの機関は5-19年でありました。太陽電池は1974年から1992年度まで総額1000億円の投資によって技術成熟が進みました。これに対して11年の国家プロジェクト120事業を見ると、総額1113億円に止まり、1プロジェクト当り年額10億円以下、しかも1プロジェクトの期間は3-5年に短縮しています。企業だけでなく、国家も長期で大型の研究開発を支えなくなっていたのです。

 未来開拓研究制度は、こうした反省に立ち、経済産業省と文部科学省が共同運営するプロジェクトで、ハイリスクな研究プロジェクトを推進する枠組みです。それで100億円ちょっとか?という疑問は残りますが、志や良しと考えています。今年度に着手した3プロジェクトは、光エレクトロニクス、高効率モーター、そして人工光合成による非石油異存プラスチック生産技術開発です。すこし、息を呑むプロジェクトですが、こうしたハイリスク研究こそ、国が支援する必要があることでは納得しております。担当者が変わって、成功の定義を早期の商品化に矮小化しないように、頑張っていただきたいと心から願っております。

 皆さん、どうぞ今週もお元気で。

         日経バイオテクONLINE Webmaster 宮田 満

ご連絡は、https://bio.nikkeibp.co.jp/inquiry/