現在、熊本に向かって飛行中です。きっと阿蘇の草千里は美しい緑に満ちているでしょう。長い連休も終わり、くたくたになっている読者も多いのではないでしょうか?私は海岸近くのコートでデニス三昧出あった結果、年甲斐もなく真っ黒に焦げてしまいました。もう58歳になったというのに、相変わらず愚かなことを繰り返しています。5月、6月の紫外線は真夏より強いということを身をもって証明してしまいました。

 連休の間に、フランス大統領が交代欧州危機も第二段階に入りました。アメリカの海兵隊は沖縄から削減され、米国の防衛ラインはわが国より南に設定されたようです。アジアにおける勢力に均衡にもやがて影響が出ざるを得ません。わが国の政治の時間が止まっている間に、世界はどんどん変化しています。若葉の色が深みをましつつあるのに、何も変わらないことに、心は焦るばかりです。少なくとも東日本大震災・津波の復興だけは何とか前に前に進めるべきであると思います。東北メディカル・メガバンクの計画諮問委員会の提言が5月30日にまとまりますが、これは復興予算であることを明確に認識して、まずは被災地地域の健康診断と保健指導などの介入を急ぐことが先決です。科学的な議論をどうどう巡りさせる時間はなく、研究室からの批判はいい加減にしていtだき、まずは被災地に医師や保健婦さんなど、医療研究者を派遣するため、求人を行わなくてはなりません。最初の2年間を予備研究とし、被災地との信頼関係構築や本調査計画の詳細化・妥当化に費やすことができるのですから、科学的な整合性はこの間に検討していただき、まずは被災地へ医療関係者を常駐させることを先行させるべきです。

 もう被災から1年間もまるまる時間が経っているのに、まだ岩手県と宮城県の被災地の住民に対して大規模な健康診断も実施していないとは残念です。資金は3月に支出されています。勿論、言い訳はあるでしょうが、この2か月の遅れが文部科学省の委員会のせいであるとしたら、誠に罪深いことだと考えます。

 もっとも、臨床研修医制度が導入される前に、悪の象徴とされていた医局制度があれば、大学の教授の裁量で若手医師を被災地に派遣することは容易でした。今回のメディカル・メガバンク構想には医師のキャリアパスを医局外に民営化した付けが負わされています。ゲノム疫学研究を展開することを口実に、若手の、そして意欲的な医師を被災地に派遣しつつ、疫学の論文も書け、キャリアアップにつながるという綱渡りをしています。国民皆保険システムである以上、また医療は国の重要な資源である以上、さらに医療の質を確保しつつ医療過疎地を解消するために、私は医師のキャリアアップと配置は公的な判断に委ねるべきであると思っています。医師一人養成するために、どれだけの国税や地方税が投入されているか、医師は認識しなくてはなりません。被災地の医療の現状を知るにつれて、有志に甘えるだけでは、被災地の医療の復興はできないと、痛感しています。
 
 さてもうすぐ熊本です。今週も、皆さんもどうぞお元気で。

             日経バイオテクONLINE Webmaster 宮田 満
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