こんにちは。第2、第4金曜日を担当する日経バイオテク副編集長の河野修己です。

 この数週間は、たんぱく質間相互作用(Protein Protein Interaction=PPI)阻害薬の取材ばかりやっていました。取材結果は、日経バイオテク4月23日号の特集として掲載しています。

日経バイオテク4月23日号「特集」、たんぱく質間相互作用阻害薬
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120424/160727/

その他、ニュースも何本か掲載しました。

理化学研究所のPPI研究、「ローテーショナルボンドが多い方が有望」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120411/160568/

PPIデータベースを運営するファルマデザイン、「2010年から製薬企業の風向きが変わった」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120411/160557/

エーザイとPRISM BioLab、PPI阻害薬で血液がん対象の治験を開始へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120410/160541/

インタープロテインの細田社長、「一般化できない点がPPI阻害薬設計の難しさ」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120410/160537/

 PPI阻害薬の研究開発の現状は、取材前に想像していたよりもはるかに興味深いものでした。これまでの研究者の常識を覆すようなパラダイムシフト、あるいは従来技術の改良といったレベルではなく、従来技術からジャンプアップするような技術革新が起きつつあるからです。

 PPIを創薬標的とするコンセプトは、決して新しいものではありません。実際、VEGFとVFGFRの結合を阻害する「アバスチン」、IL6とIL6Rの結合を阻害する「アクテムラ」など、製品化に至ったPPI阻害薬はいくつかあります。しかし、これまでの事例はすべて抗体で、PPIも細胞表面で起こっているものばかりでした。

 創薬研究者は、細胞内でも重要なPPIが大量に発生していることはよく分かっていました。しかし、細胞内PPIを阻害するには、低分子化合物が必要です。これが難しかったのです。PPIはたんぱく質の界面間で起こります。その領域は広大で、低分子化合物で十分に阻害することは極めて困難でした。多くの研究者が挑戦し、あきらめていった過去があります。阻害活性を上げようとすると分子量が大きくなり、ドラッガブルな化合物とはなり得なかったのです。

 ところが、数年前からその壁を突破した事例が出てくるようになりました。それがなぜかは特集を読んでいただくと分かります。「PPI阻害薬はとてつもないポテンシャルを秘めている。かならず巨大な市場を形成する存在になる」。PPI阻害薬に注力している研究者や技術者はみんなこう感じています。