毎月第1金曜日と第3金曜日、第5金曜日の日経バイオテクONLINEメールの編集部原稿も担当しております日経バイオテクONLINEアカデミック版編集長の河田孝雄です。先週の金曜日(3月30日)に続いて、またお目にかかります。

 昨日4月5日に2012年度予算が成立しました。一般会計総額は90兆円余りですが、東日本大震災の復興のために新設した特別会計の3.8兆円、年金財源の2.6兆円を含めると実質的に96兆円余りと最大規模。震災復興向け予算は2011年度補正を合わせると18兆円規模になるとのことです。一般財源の4割は赤字国債で、公共事業関係費は建設国債と、国債への依存度が高まっています。

 平均寿命が世界トップクラスで少子が続く日本は、急速な少子高齢化社会が世界に先駆けて到来します。この日本でビジネルモデルを作れれば、少子高齢化社会が日本に次いで進む諸外国でも、そのビジネスモデルを展開できるため、日本が世界戦略マーケットとして重要、という話を多く聞くようになりました。少子高齢化が急速に進み、国の財政は赤字が増える一方の日本で、ビジネスモデルを確立すれば、日本の後から少子高齢化が進む諸外国で、ビジネスを拡大できる、というわけです。ここ1週間ほどのうちでは、味の素やGEヘルスケアの方からうかがいました。

ロンドン五輪まで120日、味の素ナショナルトレーニングセンターでサイエンスセミナー
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120330/160336/

 長寿を支える日本の社会・環境や食などの研究も大切です。東北地方のライフサイエンス関連の研究開発力を復興させる施策として東北メディカル・メガバンクを文部科学省が推進しています。2月1日に東北メディカル・メガバンク機構を発足させたと4月4日に東北大学が発表しました。事業期間は10年間で、岩手医科大学と連携し、宮城県と岩手県の住民15万人分の情報を集約する計画です。

 日経バイオテクの特集記事とりまとめのため最近、植物のフェノーム研究の成果を取材することが多いのですが、他のオミックスに比べ、フェノームはハイスループット化が難しく、ネックとなっています。

生物研先端ゲノム研、携帯端末で圃場におけるイネ形質評価を効率化
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120322/160197/

理研とJIRCAS、東大がポリアミンの輸送体を植物で発見、アソシエーション解析で数年を7カ月に短縮
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120402/160419/

 ヒトの場合、個人情報というネックがあるものの、病気になってからのフェノーム解析には膨大な蓄積があります。しかし、病気の一歩手前というとフェノームのデータ蓄積は脆弱です。特にパブリックヘルスという研究領域があまり定着していない日本は顕著のように思います。

 栄養疫学の拠点作りも大切と思います。東北大学の医学部が中心の東北メディカル・メガバンクとは別に、東北大学の農学部が中心になって、東北に栄養疫学の拠点を形成しようという検討も進んでおり、期待しております。また、ストレスを把握して健康状態との関連性を解明するプロジェクトも東北で進んでいます。未解明な部分も多く、解明が困難な点も多々ありますが、重要な取り組みと思います。

 東北メディカル・メガバンク機構の山本雅之機構長が研究をリードしてきたKeap1-Nrf2の活用も進んでいます。

富士フイルム、リコピンが皮膚細胞でKeap1-Nrf2経路を亢進してグルタチオンの産生を誘導
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120403/160437/

 メール原稿の締め切り時間になりましたので、ここ1週間で直接とりまとめた記事10本ほどのリストにワンポイントコメントを付けたものを紹介させていただきます。

キユーピーが10億円でヒアルロン酸生産を1.5倍に、春学会発表3演題のうちアルキル化誘導体は今春商品化
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120405/160485/
○1年前は震災の影響を受けましたが、ヒアルロン酸の市場拡大に対応します。

圧力と磁場で構造生物学推進、東大の田之倉教授らが高圧で巻き戻し促進、強磁場で結晶を高品質化
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120404/160458/
○たんぱく質結晶の品質を向上する技術が進歩しています。

富士化学工業がアスタキサンチン事業を統合、2020年度に10t、100億円目指す
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120404/160457/
○2011年の年0.5tを2012年2月に1.0t、2012年10月までに2.0t、2014年に4.0tと増産体制を整備します。

東京薬科大と防衛医大、東大病院、ABCG2の尿酸排泄機能の低下で腸管からの尿酸排泄機能の低下が高尿酸血症の主原因
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120404/160442/
○トランスポーター研究でこれまでの常識とは異なる新発見です。

富士フイルム、リコピンが皮膚細胞でKeap1-Nrf2経路を亢進してグルタチオンの産生を誘導
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120403/160437/
○この成果を踏まえリコピンが主役の商品化を進めるようです。

理研とJIRCAS、東大がポリアミンの輸送体を植物で発見、アソシエーション解析で数年を7カ月に短縮
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120402/160419/
○ポリアミンの研究は裾野が広い。研究会ではがんのマーカーです。

農水省が「食品産業の将来ビジョン」を策定、農林漁業6次産業化の市場を2010年1兆円から2020年10兆円へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120402/160414/
○日本の食品産業の蓄積は、海外事業展開に活用できます。

杉山雄一氏は理研、江崎治氏は大学へ、明後日から新年度始まります【日経バイオテクONLINE Vol.1714】
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120330/160374/
○1週間前のメールです。

理研、杉山雄一・東大薬教授の特別研究室を26社の資金で横浜に開設、理研のCMISやOSCなどと協力
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120330/160371/
○特別研究室の予算規模は公開されていません。

日経バイオテク3月26日号「キーパーソンインタビュー」、コムギ無細胞たんぱく質合成の遠藤弥重太・愛媛大学特別栄誉教授に聞く
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120330/160368/
○この4月から米西海岸でも活躍なさいます。