毎月第1金曜日と第3金曜日、第5金曜日の日経バイオテクONLINEメールの編集部原稿も担当しております日経バイオテクONLINEアカデミック版編集長の河田孝雄です。

 今日は2012年3月30日なので、明後日の日曜日の4月1日から、4月始まりの新年度がスタートします。

 新年度を迎え、特にアカデミアでは所属組織を変更なさる方が多いかと思います。薬物動態、トランスポーター、マイクロドージングの第一人者である東京大学薬学部の杉山雄一教授は大学の定年退官を迎えられ、この春からは理化学研究所で活躍なさいます。

 コムギ胚芽無細胞たんぱく質合成技術を確立した愛媛大学無細胞生命科学工学研究センター(CSTRC)センター長を務める遠藤弥重太教授は米国の西海岸で活躍します。愛媛大にも特別栄誉教授として残るとともに、米University of California Santa Cruz(UCSC)で研究を行います。

コムギ無細胞たんぱく質合成の遠藤弥重太・愛媛大教授、2012年春から米西海岸でncRNAとたんぱく質複合体を研究
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120314/160058/

 東京大学医学部出身の国立健康・栄養研究所の江崎治・基礎栄養プログラムプログラムリーダーは、栄養士や管理栄養士、教師を育成する昭和女子大学の健康デザイン学科に移ります。魚油に多いDHAやEPAのTVコマーシャルなどでも頻繁に引用されている、厚生労働省が定める最新の食事摂取基準で脂質のとりまとめ責任者もおつとめになられました。国立健康・栄養研究所は2年後の2014年4月に、医薬基盤研究所と統合になる予定です。

 江崎さんは、学生を教育する傍らで、時間の余裕ができれば、systematic reviewやmeta-analysisを行って社会に貢献していきたい、この分野には非常に重要な多くの研究課題があるとご指摘です。研究費のかかるWet Labの研究は、若い人にまかせるのが良いとのお話しでした。

 「研究費がかかる」との関連では最近とりまとめた記事で、高インパクトのジャーナルへの論文掲載を実現するには、膨大な実験データが必要と感じた論文がありました。

熊本大発生医学研、ヒストンのエピジェネ酵素LSD1が細胞のミトコンドリアを調節、Nature姉妹誌に図表写真80点近く掲載
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120328/160244/

 さて、多くの関係者が一堂に会するという意味では2年ぶりのとなった春学会は、今日は宇都宮の日本育種学会第121回講演会の会場におります。

 先端ゲノムの進歩により育種法に革命が起こっているのと同時に、オミックスの中でフェノームのハイスループット化が重要な課題となっています。

岩手県がコメ食味向上の低アミロース性遺伝子座を特定、次世代seq利用MutMap法でDNAマーカー育種を加速
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120321/160166/

生物研先端ゲノム研、携帯端末で圃場におけるイネ形質評価を効率化
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120322/160197/

 今週初めには品川で開かれた日本水産学会春季大会で、アクアゲノム研究会の様子ものぞいてみました。この分野のゲノム解読への取り組みは加速しています。海産物・水産物の利用が多様という意味で、日本は世界で突出しており、付加価値が高い海産・水産生物はゲノム解読の格好の対象です。インフォマティクス分野の若手研究者らが活発に議論していました。

 ヒトゲノム解読で活躍なさった、清水信義・慶應義塾大学名誉教授が10数年前にこの研究会を立ち上げたとのことで、会場で清水さんと久しぶりにお会いできました。現在も。筑波氏の慶大先導研・GSPセンターの名誉所長としてなどご活躍です。

 メール原稿の締め切り時間になりましたので、ここ2週間で直接とりまとめた記事20本余りのリストにワンポイントコメントを付けたものを紹介させていただきます。

ロンドン五輪まで120日、味の素ナショナルトレーニングセンターでサイエンスセミナー
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120330/160336/
○ロンドンオリンピックで日本は金メダル獲得で世界5位を目指します。

アミノアップ、ストレス対策の道産アスパラガス抽出物を年内に事業化、HSP70誘導活性など学会発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120329/160334/
○北海道の農業振興にもつながる成果です。

理研CGMと東大病院、2型糖尿病発症に関わる遺伝子領域ANK1を発見
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120328/160245/
○糖尿病に関連する遺伝子多型の解明はさらに増えそうです。

熊本大発生医学研、ヒストンのエピジェネ酵素LSD1が細胞のミトコンドリアを調節、Nature姉妹誌に図表写真80点近く掲載
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120328/160244/
○オープンアクセス論文です。

2011年度のトクホ市場は5175億円、ガムなど歯トクホはピーク比3分の1、日健栄協が調査
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120328/160243/
○ガムなどの宣伝で、トクホの訴求は少なくなっています。

アークレイ、全自動SNP検査装置で抗がん剤の薬効や副作用の関連遺伝子を解析した成果をAACR 2012で発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120327/160242/
○AACR 2012が近く開幕します。

キリンが中性脂肪対策トクホコーラで年100万ケース予定、難消化性デキストリンが脂肪酸ミセルを安定化
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120327/160240/
○年100億円の松谷化学工業の難消化性デキストリンを配合しています。

ヤマサ醤油、酵素改変とGTP連続供給で医薬品期待のCyclic di-GMPを数十g合成
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120326/160227/
○高度なたんぱく質工学技術で大量生産を実現しました。

シジミのオルニチントリペプチドに肝保護作用、青森県と福島商店、東工大がES由来肝組織で評価
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120325/160224/
○シジミの機能性研究おもしろいです。

キリン、ウイルス感染防御の「プラズマ乳酸菌」を商標登録、ヒト試験成果を農芸化学会で発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120324/160223/
○乳酸菌のネーミング競争も興味津津です。

ノエビアが大豆イソフラボンの美白作用を解明、J-TECの3次元皮膚モデル利用
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120324/160222/
○大豆の健康機能の発表が農芸化学会で目立ちました。

香川大と松谷化学、希少糖D-プシコースが線虫の寿命を20%延長
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120324/160221/
○年1万2000tという希少糖の大型プラントの建設が進んでいます。

味覚受容体、糖鎖、無細胞たんぱく質合成【機能性食品 Vol.43】
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120323/160219/
○1週間前の日経バイオテクONLINE機能性食品メールです。

生物研先端ゲノム研、携帯端末で圃場におけるイネ形質評価を効率化
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120322/160197/
○スマホで作業効率を大幅に向上しました。

日本農芸化学会大会が京都で開幕、初日は学会賞などの授賞式と受賞者講演会
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120322/160193/
○懇親会もたいへんなにぎわっていました。

日本化学会が「30年後の化学の夢ロードマップ」を作成、3月27日にシンポ開催
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120322/160168/
○化学のフォーカスしたロードマップですが、バイオ関連も多数含みます。

フジッコ、黒大豆ポリフェノールの血流改善作用を農芸化学会で発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120321/160167/
○ポリフェノール研究の進展に引き続き注目しています。

岩手県がコメ食味向上の低アミロース性遺伝子座を特定、次世代seq利用MutMap法でDNAマーカー育種を加速
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120321/160166/
○新型シーケンサーが、育種に革新を起こしています。

疲労科学研がバイタルサインセンサーを村田製作所と共同開発、健康博覧会で展示発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120321/160149/
○疲労を把握するニーズは大きいです。

JST委託で東北大の寺崎哲也教授らが薬物動態たんぱく質をMSで高感度定量、プロテオメディックスが5年後10億円へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120320/160143/
○金沢大学や東京大学でも活躍なさった寺崎さんの成果が実用化されます。

2社団法人の合併で発足したJATAFF、新法人発足記念号で会長の荒蒔康一郎・キリンHD相談役が表明
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120319/160142/
○新法人発足記念号が発行になりました。

冷涼感受容体TRPA1を活性化するβユーデスモールを配合、キリン「すぅーっと茶」は発売後3週間で20万ケース突破
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120319/160139/
○イオンチャネルを用いた味覚研究が商品化に結びつきました。

タキイ種苗、ピーマンの苦味成分をお茶大と解明、農芸化学会で発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120319/160138/
○味覚研究の成果が、農芸化学会で目立ちました。

待望の春学会、現地からも報道して参ります【日経バイオテクONLINE Vol.1708】
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120316/160118/