臨床研究・臨床試験の基盤の充実を実感【日経バイオテクONLINE Vol.1713】

(2012.03.28 19:00)

 こんにちは。水曜日を担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。

 先週金曜日、東大で開催された東大病院臨床試験セミナーを取材してきました。下の2本の記事をまとめたのでお読みいただきたいですが、臨床試験の実施体制の整備も進み、そのシーズの研究も着実に進展しつつあるようです。東大病院は07年度から2011年度までの5カ年で進められた文部科学省の橋渡し研究支援推進プログラムに採択されていますが、加えて2011年度に始まった1カ所につき年間6億円が5年間助成される早期・探索的臨床試験拠点に採択されたのが大きかったようです。

東大病院臨床試験セミナー、厚労省、文科省のサポートを得て治験拠点としての体制整備が進む
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120326/160226/

PMDA、8カ月で151件の薬事戦略相談を実施、2012年度に「科学諮問委員会」「審査等改革本部」を設置
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120326/160225/

 規制側のPMDAも薬事戦略相談を設けて、研究シーズを治験として実施することを後押しするようになって、日本の研究シーズを医薬品・医療機器として実用化につなげるプラットフォームが何とか動き始めたという印象です。厚労省は2012年度に、臨床研究中核病院をさらに5カ所増やす計画ですし、文科省は橋渡し研究支援推進プログラムの後継で、橋渡し研究加速ネットワークプログラムをスタートさせます。海外に比べればそれでもまだまだ十分とは言えないので、臨床研究・臨床試験の実施体制のより一層の充実が望まれるところです。

 一方、いただけないのは慶応大学病院で「臨床研究に関する倫理指針」に違反した臨床研究が行われていたことです。慶応大は東大と同じく、早期・探索的臨床試験拠点に採択され、実施体制の整備が進められていただけに非常に残念です。臨床研究は多額の予算がついてスタッフが充実し、期待される研究シーズがあればできるというわけではなく、被験者の協力が得られなければできません。従って、国民の理解が得られなければ臨床研究基盤の充実はあり得ないのですから、倫理はとりわけ重要です。倫理指針違反は、単なる手続漏れなどではなく、病院の信用にかかわる重大な問題であることを、関係者には強く認識してもらいたいものです。

 話題は変わって、セミナーのご案内です。

 5月に2つのセミナーを開催します。

 1つは「核酸創薬イノベーション」。日経バイオテク3月26日号の特集にも掲載しましたが、核酸医薬の世界が大きく進展を遂げつつあります。核酸の合成技術の発展や、薬物送達システム(DDS)技術の進展により、核酸医薬の花が大きく開花する可能性が出てきました。そんな状況をとらえて用意したのがこのセミナーです。核酸医薬の分野で著名な東京医科大学の黒田教授、国立がん研究センター研究所の落谷分野長、元日本新薬の大木・ボナック取締役に加え、日本眼科学会理事長の石橋・九州大学教授、さらにはPMDAの荒戸課長、協和発酵キリンの山田主任研究員に登壇いただき、最先端の研究の状況と、実際に臨床で利用していくためにはどのような課題、改良点があるかを議論していきます。核酸医薬は抗体医薬の次の大きな潮流を作り出すことができるのか。その動向をウォッチするためにも、関係者必見のセミナーです。

http://nbt.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/120528/

 もう1つは「製薬企業向け中国進出セミナー」。既に世界第3位に成長し、近く日本を抜いて2位になることが確実視されている中国市場。まさに日進月歩で変わりゆく、医薬品関連の諸制度の動向をお伝えするとともに、特に臨床開発と薬事申請にスポットを当て、そのノウハウをお伝えするためのセミナーを用意しました。製薬企業の開発、薬事担当者で、これから新しく中国関連を担当するという方や、まさにこれから中国展開を考えているベンチャー企業の担当者にも理解できるように、基本的事項からの解説を心がけます。また、質疑応答にたっぷり時間を取るようにしますので、中国市場にご興味がある方はぜひご参加ください。

http://nbt.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/120517/

 本日はこの辺で失礼します。ご意見、ご批判は以下のフォームよりお願いします。

 https://bio.nikkeibp.co.jp/inquiry/

                    日経バイオテク編集長 橋本宗明
 

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