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  ちゃんとGreen Innovationしたい!(6)
                  ネオ・モルガン研究所 藤田朋宏社長
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 この連載では、Green Innovationと呼ばれるような業界には、数多くのちゃんとしていない情報が氾濫してしまっていることや、技術的に不可能なのではなく、論理的に不可能な研究に多くの注目や投資が集まってしまっている残念な状況を共有し、このような状況が、少しでも良くなるための私なりのアイデアを幾つか挙げてきました。

 そもそも、どうして、こんなにちゃんとしていない状況がまかり通ってしまっているのかを考えると、科学の発展に大きく期待する人が多い反面、「簡単な理科すらも苦手」な方も多いからではないかと最近は考えています。

 この連載を読まれる方々は、たとえ文系の方であっても理科に苦手意識を持っている方々ではないと思うのですが、世の中には「エネルギーを与えなくても石油を作る藻がある!」と熱力学の第一法則に反するような理解をされている方が、それなりの発言権を持つ地位に就かれていることがあります。

 また、理科が苦手だという意識が「○○大学元教授」といった肩書きを持つ人の意見は無条件で受け入れてしまう遠因になっていることもあるようです。「○○大学元教授」のお話を聞いて、直感的に「なんだかおかしいな」と感じても、「質問をする前にこの論文を読んでから質問しなさい」なんて言われて英文論文を10報も渡されると質問ができずに、そのまま話を受け入れることにしてしまう人も多いのだということがよくわかりました。

 さらに、理科が苦手だから「再生可能エネルギー」や「光合成社会」などという実体がイマイチはっきりしないような言葉に惑わされ、過剰な期待を掛けてしてしまうのだということがわかりました(エネルギーは「再生」できません。太陽エネルギーを新しく取り入れるとか、もともと大地に蓄えられていたエネルギーを利用するだけの話です。また、人類は、数千年前からずっと「光合成社会」であると私は思っています)。

 こういった状況の中で、理科が苦手な方々に、今改めて理科を勉強してもらうのはかなり難しいことです。我々のような「理科」でご飯を食べている人間側が、理科が苦手な方々に話をする時の意識をもう少しだけ変えなければ、長期的に見て「理科」でご飯を食べられなくなる状況を招くのではないかと考えています。

 世の中をより良く変えていくことに「理科側」の立場で貢献するためには、時には過剰だと思われる宣伝・喧伝も交えつつ、夢の様な大きなビジョンを語ることを求められることがあります。さらに、私自身はやらないようにしているのですが、20年先に実用化する技術を5年で実用可能と言い切ることが、大義を前にした時には、十分に正義である局面も少なからずあるのも事実です。

 しかし、夢のようなアイデアで、夢のような未来を実現するための投資を募る時は、それがいまだただのアイデア段階であることを、可能な限り正確に説明するべきなのではないでしょうか。技術的なハードルがかなり高いことを説明した上で、ハードルがどんなに高くてもそれを乗り越えるための作戦と熱意に事欠かないことを示しさせすれば、未だ完成してもいない研究を既に完成したような法螺を吹く必要はない程度に、この国の社会はチャレンジする人間に対して支援をしてくれる人がまだまだ多いと日頃から感じています。

 私自身はしがないベンチャー企業の経営者ですが、より良い世界への変革に向けて、最初の小さな突破口を開くことが、社会における我々のような立場の人間に与えられた使命なのだと思っています。この使命を遂行するために、理科が好きな人間としての正義感・道徳観を大事にして、これからも仕事に邁進していくつもりです。