今朝からBNPパリバオープンの決勝戦が米国で戦われています。今年のテニスシーズンもいよいよ酣になりつつありますが、ローランギャロスを控えて、次のグランドスラムの戦いを占う一戦です。今まで男子テニス界の四強といえば、ジョコビッチ、フェデラー、ナダル、マレーでしたが、今回の決勝戦は身長2mを超す米国の新鋭、イズナーが今シーズンもまた進化を遂げたフェデラーと決勝戦を戦います。ナダルを鋭いサービスとバックハンドのスピンで一蹴したフェデラーは一体どこまで進化を遂げるのか?予測不能な程超絶した才能です。あまりの不調に週末に買ったテニスの本に、初心者、中級者、上級者、そしてフェデラーというジャンルでコートの隅を狙うゾーンを分類していたのも頷けます。プレッシャーがなければ、彼はボール半分の単位で打球の着地点をコントロールできるという都市伝説も信じたくなります。

 さてバイオです。

 先週から「復興の槌音」というシリーズを開始しました。もう御読みになった読者も多いのではないでしょうか?東日本大震災の被災地に立つと、連合軍の爆撃によって破壊された都市の被災状況を示す写真と光景が余りに似ているので慄然とさせられました。戦後の復興と東日本大震災・津波の復興のイメージが重なるのも止むを得ない。徹底的な破壊とインフラの破壊、そして住民の犠牲と流出、被災地は復旧だけでは立ち直れないのです。新しい日本をここから興隆させなくては、犠牲者に申し訳ない。瓦礫処理で見せた一部国民の利己的態度、小さな無数の既得権に絡めとられ、真実を直視しようとせず、ひたすら変化を恐れる心の姿こそが、停滞する日本の病因であることも、皆さん、良く分かったのではないでしょうか。こんな日本を創るため、大戦後の廃墟から戦後営々と経済成長をしてきたとは絶対に信じたくない。瓦礫の受け入れを決めた東京23区や島田市に、続く自治体が全国に現れることをただただ祈っています。桜が咲くまでに、美しい日本の心映えを是非見せて欲しい。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120314/160066/
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120316/160103/

 現在、日米欧の研究者たちが戦後情報公開された文書を基に、太平洋戦争の終戦プロセスを解析した本を熟読しておりますが、日本政府の外交の読み誤り、陸軍の反乱を恐れる余り、終戦の条件すら決められない政府首脳と、戦後67年も経て今の政局とまったく同じことが繰り返されていることにやはり慄然としています。政治が危機に臨んで、何も決められないのは何も今に始まったことではないのか。沖縄戦の多大な犠牲の後にも一撃和平を妄想し、当時の兵員や装備では九州で一戦したらもう戦いを継続できないことは分かっているのに、本土決戦というギャンブルをしようとする内閣の精神構造は、世界有数の地震国でありながら、原子力発電所で全電源停止という危機は起こらないことにした、現在の政府やそれを安易に認めたアカデミアとメディアにも遺伝しています。勿論、ギリシャを見ても明白ですが、こうしたことは地球上では稀ではありません。残念ながら政府は嘘を付くことを再確認して、我が国もメディアや社会を再構築しなくてはなりません。「運命の人」で描かれた沖縄密約のスクープの時に、私たちがメディアの本性である猥雑性を嫌う余り、メディアを弱体化させたことが今しっぺ返しとなっています。

 但し、NHKのEテレの福島原発事故の手作りの報道が、現地メディアの踏ん張りに加えて、東日本大震災・津波の報道で光っています。政府の情報公開(議事録は歴史のためにも必要です)の要求の高まりと、一方で政府に拮抗する調査能力(市民による放射線計測やホンダのカーナビによる交通情報など)を我が国の国民が持っていることが証明されたことは、復興への確かな手ごたえとなりました。復興の槌音の前篇で取り上げた福島県立医科大学を中核とした創薬拠点形成事業も、過去5年間のNEDOの支援で民間企業7社が大学と展開してきた患者試料による遺伝子発現解析プロジェクトの成功が背景にあります。結局、国家は枠組みに過ぎない。コンテンツは国民が創るもの。予算分配権が預託されているから、偉いと思い上がる態度は預金している国民に対して、銀行の窓口が威張るような倒錯に過ぎません。

 復興庁が査定率6割で世間から指弾を受け、50もある事業を一括して施行する、自治体の自由裁量は確保したなど、いろいろ言い訳していますが、真実は復興に必要な50もの事業が各省庁に分かれてバラバラに行政されている今の仕組みに、根源的に不合理な無駄や既得権の柵が存在したということです。企業ではとてもじゃないがこんな言い訳は許されない。復興の遅れの背景にこうした精神構造と、時間は悠久にあるという錯覚があるとしたら、我が国の国民の不幸はこれからも間違いなく続くだろう。復興を通じて、こうしたアンシャンレジームも一掃しなくてはならないのです。とにかく、国は現場の自治体に権限を委譲し、専ら成功例や失敗例を国民と公開・共有する仕組みに構築に腐心すべきです。但し、福島原発事故対策と除染は、福島県だけでは手に余ります。これだけは全面的に国が支援する必要があります。

 今後、バイオで、先端医療で、バイオマスエネルギーで、少しでも東日本大震災・津波の復興に貢献する動きがあれば報道したいと考えております。どうぞ、皆さんからの情報提供も求めております。よろしく願います。

 さて最後に、復興の礎は絆と人材です。資金は必要ですが、前の2つの条件が揃わなくては、現在、補正予算で付いた復興予算の未達成が報道されているように、資金すら使うことができない。このままでは、また、バロック建築のような防潮堤や震災ビルのようなコンクリの塊だらけになってしまいます。インフラ整備と並んで、復興資金を若い人材が生き生きと新しい事業やコミュニティを創造するために、投入していただきたい。ここで集い、育った人材が被災地の自律的な復興を可能とするものだからです。

 我が国のバイオ産業が持続的に成長するためにも、先端技術への深い洞察と産学官金に絆を持った人材の育成が必要です。バイオ専門のベンチャーキャピタルバイオフロンティアパートナーズともう11年も続けている、バイオ関連の投資関係者と製薬やバイオ参入企業のライセンス担当者の教育プログラム、バイオファイナンスギルド第11期を今年7月から開始することを決定しました。こうした地味な努力を続けていかなくてはなりません。ぜひとも、製薬企業だけでなく、現在、一斉にバイオや先端医療に参入している電機業界、ITC、機械・自動車、マテリアル産業などの関係者の参加も期待しております。詳細は下記の問い合わせサイトから、ご連絡いただければ資料をお届けいたします。そろそろまた、バイオの新規参入の波が我が国にもやってきたようです。この波を、是非とも見逃さぬように願います。

 今週も、皆さんどうぞお元気で。

             日経バイオテクONLINE Webmaster 宮田 満
ご連絡は、https://bio.nikkeibp.co.jp/inquiry/