今月も日経バイオテクONLINEの Webmasterの宮田が執筆させていただきます。著者の選定に今尚難渋しております。

午前中に今年10月に開催されるBioJapan2012の企画会議を終了、これから雪深い弘前へ向け、北上いたします。昨夜、コンセンサスエンジン乳がんのウェブ会議中に、千葉県の銚子沖を震源とする大きな地震に遭遇しました。全国から10人参加した会議でしたが、地震を体感した関東勢と関西勢では確かに反応に差がありました。ウェブは地震の波動を超えて情報伝達をすることを実感しました。この技術は電源さえ確保できれば、防災などに決定的に役に立つと確信しました。

 さて、プロテオームです。この研究分野にも、東日本大震災・津波の復興が関係してきました。2012年3月中旬に政府は福島県に258億円を振り込みました。これは福島県立医科大学を中心に創薬産業を創出しようという復興プロジェクトに投入されます。全額基金として積み立てられ、概ね5年間の研究に支出されます。3分の2の費用で、福島県立医科大学の病院ネットワークの総動員による疾患組織の収集とマルチオミックス解析を遂行します。解析のための要員として福島県で100人の技術員を雇用する計画です。若い研究員の雇用確保こそが、目に見える復興の第一歩となるのです。

 このプロジェクトの背景は、2011年度までNEDOが支援している橋渡し研究プロジェクト「遺伝子発現解析を活用した個別がん医療の実現と抗がん剤開発の加速」の成果があります。福島医科大学の渡邊教授が開発し、ニッポンジーンが製造したcDNAマイクロアレイを使って行った、がんの臨床サンプルの解析データを、6社の製薬企業が活用して、抗がん剤の革新的な標的遺伝子やコンパニオン診断薬となるバイオマーカーの探索と、臨床的な有用性の評価を着々と進めてきたのです。こうした実績を継承した新プロジェクトではすでに22社が参加を表明しています。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120314/160066/

 新プロジェクトの最大の特徴は、DNA発現解析だけでなく、次世代シーケンサーによるゲノム解析、そして最も重きを置いたのがプロテオーム分析だったのです。バイオマーカーや創薬標的を研究の蓄積の結果、遺伝子発現解析に加えて、どうしても生命現象の本体であるたんぱく質の網羅的解析も必要となったのです。まさに、皆さんが磨いてきた技術が、東日本大震災・津波の復興に、そして最終的には我が国の産業の復興に貢献できるチャンスがやってきたのです。福島県立医科大学はそのために寄付講座を今年の9月から末にかけて10講座程度開設する予定です。先遣隊として4月1日からプロ手オーム研究者が、福島に常駐します。元リバースプロテオミクス研究所長の東京大学磯貝特認教授や産業技術総合研究所(お台場)の世界最高の解析能力を誇るプロテオーム解析チームから家村招聘研究員と高木研究員が、それぞれ福島県立医科大学に教授と准教授として赴任します。原発事故や震災・津波被害だけでなく、福島県の創薬産業の復興にもぜひ、今後どうぞご注目願います。

 皆さん、今月もお元気で。

        日経バイオテクONLINE Webmaster 宮田 満