こんにちは。第2、第4金曜日を担当する日経バイオテク副編集長の河野修己です。

 日頃は医薬・医療業界を取材することが多いのですが、この1カ月ほどは環境分野、特にバイオエタノールの取材に注力していました。以下、これまでに日経バイオテクONLINEに掲載した記事です。

経産省のバイオマス施策、2020年にセルロース系バイオエタノールの大規模流通開始を目標に
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120227/159779/

農水省のバイオエタノール支援策、今後の課題は原料の多様化
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120228/159788/

バイオエタノール革新技術研究組合、セルロース系バイオエタノールの原料生産は熱帯が最適
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120302/159859/

兵庫県でのバイオエタノール実証試験、稲わらは大型ロールの方が運搬効率が高い
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120305/159885/

王子製紙などのバイオエタノール実証試験、14年度からはさらに大規模化の計画
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120305/159886/

秋田県のバイオエタノール実証実験、稲わらは1年間野積みでも使用可能
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120305/159900/

北海道バイオエタノール、てんさいの不作で原料確保に苦慮
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120305/159903/

 取材の過程で多くの関係者にお話を伺う機会があったのですが、関係者の認識で共通していたのは、バイオエタノールを自立・継続可能な事業として育成するめどは、現時点では全く立っていないという点です。

 日本は現在、バイオエタノールの大部分をブラジルからの輸入でまかなっていますが、その価格は1L当たり60円を切る水準です。国内では主に経産省、農水省、環境省の主導で10以上のバイオエタノールの実証実験が実施されていますが、コストを抑えやすい糖質系バイオエタノールでも100円/Lを切るかどうかといったところです。

 いくら技術革新が進んだとしても、国土の狭い日本では原料調達に限界があり、ブラジル産エタノールと並に製造コストを下げるのはかなり困難です。これはバイオエタノールの実証実験の現状を取材してみれば、容易に分かります。

 日本でバイオエタノールを製造するとなると、原料として考えられるのは余剰作物(サトウキビ、テンサイ、コメ、ムギなど)か廃棄物(わら、木くず、雑草など)です。しかし、いずれの原料も大量に確保しようとすればするほど収集コストと運搬コストがかさみ、製造コストを押し上げてしまいます。

 海外で大量に原料を調達し、海外でエタノールを製造して日本に持ってくるという仕組みであれば、事業としての自立は可能かもしれません。しかし、国内で製造することを前提とするならば、何らかの公的補助を与えなければとても維持できるものではというのが現状です。

 農水省がバイオエタノール事業の意義を地産地消、農村振興、地球温暖化防止としているように、バイオエタノールは一種の公共事業としての道を歩み始めています。日本が本格的にバイオエタノール事業にコミットするならば、公共事業化がいい悪いの議論だけでなく、バイオエタノールとはそういうものだという割り切りが求められることになるでしょう。