毎月第1金曜日と第3金曜日、第5金曜日の日経バイオテクONLINEメールの編集部原稿も担当しております日経バイオテクONLINEアカデミック版編集長の河田孝雄です。

 昨日から2012年の3月が始まりました。昨年3月11日の巨大地震から1年が経とうとしています。思い起こせば当方は2011年3月11日は、文部科学省のターゲットタンパク研究プログラムの成果発表会を取材するため東京大学の安田講堂にいました。ターゲットタンパクの成果発表会は今年は3月12日に学術総合センターで開催されます。

 放射線物質の対策など時間がかかる問題はたくさんありますが、心のケアやストレス対策も重要な課題と思います。

 昨日3月1日には、理化学研究所分子イメージング科学研究センター(CMIS)が、タッチパネルなどで個人の気持ちを入力することにより気分や心地の微妙な変化を数値化できるシステム「KOKOROスケール」を、大阪産業創造館との共同研究により開発し、3月11日に発生した東日本大震災が東京在住の主婦に与えた影響などを分析した成果を発表しました。

理研CMISが気分測定KOKOROスケールを開発、花王の協力で3月11日の震災前後の心の動きも把握
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120301/159854/

 経済産業省が2月10日に発表した2011年度3次補正予算「震災復興技術イノベーション創出実証研究事業」採択結果では、65件の応募の中から31件が採択されましたが、うつやストレスをキーワードとするテーマが4件選ばれました。

「被災地域のPTSD・うつ病患者検体によるうつ病血液診断キットの実証」(ヒューマンン・メタボローム・テクノロジーズ、外苑メンタルクリニック、筑波大学、国立精神・神経医療研究センター)

「ストレスが誘因する生命にかかわる循環器疾患を予測する機器の開発・実証研究」(大木電子工業、東北大学)

「うつ病の定量診断を可能とする迅速でコンパクトな簡易検査装置の実証研究」(タツタ電線、耐熱性酵素研究所、産業技術総合研究所、東北大学)

「唾液バイオマーカーによるストレス関連疾患評価システムの開発」(ローム、南部医理科、アドテック、岩手大学)

の4件です。詳しくはこれから報道してまいります。

 このうち4件めの唾液バイオマーカーは、1月末にお話しをうかがった岩手大学大学院工学研究科の山口昌樹教授らが開発しているものです。

 山口教授らの著書「災害ストレスの対処法」(2011年12月20日発行、講談社)を読んでから研究室にうかがいました。この書籍は、巨大地震などの大規模災害で起きる事象を具体的に示しながら、その対処技術を考えたもので、日本の災害派遣医療チーム(DMAT)のメンバーでもある医師と救急救命士との共著です。

 今週水曜日(2月29日)には東京で、バイオインダストリー協会の発酵と代謝研究会が主催した「JBA発酵と代謝研究会講演会―酵母で拓く復興への道―」が開催され、7人の講師とも「復興」をキーワードとしてお話しでした。日本酒ブランド「獺祭」で知られる旭酒造の櫻井博志社長は「異文化との衝突による洗練―世界に広げる日本酒大吟醸の魅力」と題した講演で、日本酒の輸出量が2011年に過去最高を更新したという財務省発表の貿易統計の数字も紹介なさっていました。原発事故による風評被害などで2011年5月の輸出量は前年比2割以上落ち込むなどの影響がありましたが、その後盛り返して、2011年の通年では、輸出量が前年比1.7%増の1万4013kL、輸出額は同3.2%増の87億7000万円と、いずれも過去最高を更新したとのことです。フランスのワイン・ワイナリーとも比較して、日本の国民性と日本酒の成り立ちについてのお話しでした。

 2月18日(土)には、「第2会放射能の農畜水産物等への影響についての研究報告会―東日本大震災に関する救援・復興に係る農学生命科学研究科の取り組み―」が東大の安田講堂で開催され、数多くの聴衆が集まっていました。また、特定領域研究「植物の養分吸収と循環系」(西澤直子・領域代表)は、2012年1月付の「Plant Nutrition & Transport」に、ビキニ環礁水爆実験の放射性降下物に関する研究論文(1955年から65年)の復刻版を、特集として掲載しました。

 2月19日(日)には日本栄養士会が土日に都内で開催した「第1会日本栄養士会災害支援栄養チーム(JDA-DAT)リーダー育成研修」を少し拝見してきました。ストレスやうつの対策でも、栄養アセスメント・栄養指導はたいへん重要です。

 ちょうど1週間前の日経バイオテク・機能性食品メールでも、これに関連する葉酸などの話題を少し紹介しました。

香川県の希少糖、ダブル乳酸菌、葉酸【機能性食品 Vol.41】
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120224/159769/

 メール原稿の締め切り時間になりましたので、最後に、ここ2週間で直接記事をとりまとめた20本ほどについて、記事リストとポイントを掲載します。

 なお「日経バイオテクONLINEを2週間(50本まで)無料で」お読みいただけるトライアルキャンペーンを、3月末まで実施していますので、トライアルのご利用はお一人につき一度限りですが、まだご利用いただいていない方はぜひお試しください。

https://bio.nikkeibp.co.jp/article/information/20120201/159312/

※直近2週間のとりまとめ記事です

理研OSCの林崎領域長がKarolinska研のHonorary Doctor of Medicineを受賞
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120302/159857/
○ノンコーディングRNAの研究発展に大きく貢献しています。

理研CMISが気分測定KOKOROスケールを開発、花王の協力で3月11日の震災前後の心の動きも把握
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120301/159854/
○首都圏で試験調査期間中に3月11日の巨大地震が起こりました。

農業生物資源研、第6回フィブロイン・セリシンの利用研究会で最新成果を披露
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120301/159835/
○近く論文発表なので詳しいことは報道できませんでしたが、おもしろかったです。

イソロイシン濃厚流動食で糖尿病患者の血糖制御、静脈経腸栄養学会で味の素が共催セミナー
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120228/159809/
○消費者庁が表示を許可する病者用食品の制度を利用すれば、分かりやすい表示や発表ができるようになると思います。

第84回アカデミー賞関係者向けのギフトアイテムに味の素のサプリ2商品
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120228/159808/
○第1回以来83年ぶりにサイレント映画が作品賞に選ばれました。

カルピスが枯草菌C-3102株大豆発酵物のサプリ商品化、世界展開のプロバイオティクスを活用
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120228/159806/
○世界展開のプロバイオティクスを日本でサプリメントとしても事業化します。

全納連の全国納豆艦評会、224点から選出された日本一納豆は北海道「つるの子納豆」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120228/159787/
○多様性は生物のみならず食べ物でも重要ではと思います。

協同乳業のビフィズス菌LKM512は大黄の成分を活性化、慶大や横浜薬科大とPLoS ONE誌に発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120227/159785/
○薬の効き目と関連する体質・体調の研究成果です。

理研CGMなどが日本人の前立腺がん関連SNPを新たに4つ発見、Nature Genetics誌で発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120227/159777/
○日本でも前立腺がん急増しています。

香川県の希少糖、ダブル乳酸菌、葉酸【機能性食品 Vol.41】
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120224/159769/

雪印メグミルク、乳糖分解酵素技術で自然な甘み、砂糖ゼロの「FARM LATTE」を3月発売
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120224/159752/
○昔の商品名「アカディ」の技術が、砂糖ゼロ飲料で活躍です。

雪印種苗が牧草由来のダブル乳酸菌を商品化、ウシ主食サイレージの雑菌を抑制
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120224/159751/
○乳酸菌の実用化は裾野が広いとつくづく思います。

雪印メグミルクがインドネシアでチーズ年20億円へ、RODAMAS社や伊藤忠と合弁
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120224/159750/
○常温流通のチーズ事業を展開します。

理研RCAIと東京理科大、抗体産生を制御するゲノム領域CNS-2を発見、米Immunity誌に発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120224/159747/
○いつも思いますが、免疫の研究は奥が深い。

キユーピーと済生会福岡総合病院が静脈経腸栄養学会で発表、卵黄レシチン配合の流動食は下痢を起こしにくい
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120223/159741/
○タマゴの機能性研究にも注目です。

森下仁丹がファーマフーズの葉酸たまご使用の妊産婦向けスープ発売、アサヒHD和光堂に続き栄養機能を表示
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120222/159717/
○葉酸のヘルスクレーム制度は複雑怪奇と思います。

生物研の瀬筒秀樹ユニット長がカイコの相同組み換え技術など発表、中国と米国の猛追に危機感も
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120222/159700/
○カイコの遺伝子組み換え技術の進展は目覚ましいと思います。

5年余りぶりで消費者庁移管後初の病者用食品(個別評価型)、和光堂の乳幼児用経口補水液に「ウイルス性」表示
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120221/159697/
○5年余りぶり、というところがトホホです。

和光堂が50代以上女性向けサプリ「セラージュ」シリーズ新発売、大豆由来のα-GPCやイソフラボンを配合
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120221/159694/
○これも大豆由来の成分が主役です。

理研CGMが東アジア人の肥満遺伝子5個同定、Nature Genetics誌に発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120220/159648/
○膨大なデータ解析の成果です。

国立成育医療研究センターと浜松医大、日本人で高頻度で網膜色素変性症を起こす原因遺伝子を発見、PLoS ONE誌で発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120217/159645/
○出版社の不備により論文発表日は当初予定より2週間余り遅れました。

遺伝子組換えカイコ事業部を3月に免疫生物研が新設、2月15日公開シンポの話題提供資料を自社HP掲載
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120217/159642/
○群馬との連携で事業化を加速させます。

世界遺産が日本のGMO拡大の推進力に、東大薬は収容人員47%増【日経バイオテクONLINE Vol.1696】
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120217/159640/

メタボ対策に期待の液糖「レアシュガースウィート」、松谷化学が年産1万2000t工場を香川県で来春稼働へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120217/159641/
○林原のトレハロース以来の大型糖質素材では、と思います。

遺伝子組み換えカイコによるバイオ医薬品開発の課題、国立衛研の川崎ナナ部長らが7点抽出
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120217/159623/
○日経バイオイテク2月27日号の「組み換えカイコ」特集記事にも掲載しました。