男子テニスの国別対抗戦、デビスカップはクロアチアに2:3の惜敗でした。2m8cmのカロビッチ選手のサービスに粉砕された格好です。しかし今までの日本男子の戦績を考えれば、なにしろデビスカップの本選(ワールドシリーズ)で1勝も上げたことがなかった、今回の成績は偉大な一歩です。添田選手が先勝、錦織選手も1勝を上げました。ただし、両者とも、ドディグ選手に勝利しただけ。両者ともカロビッチに手も足も出なかったことと、クロアチアが万難を排してダブルスにも、カロビッチとドディグ選手のベストメンバーで臨んだ作戦勝ちもありました。折角、ワールドシリーズに上がったばかりの日本ですが、今年行われる下位シリーズとの入れ替え戦に勝ち残ることが託されました。錦織選手の出現で、低迷していた我が国のテニスも世界への道が拓かれました。伊達選手だけが、テニスプレイヤーではありません。応援願います。
http://www.daviscup.com/en/home.aspx
http://www.jta-tennis.or.jp/daviscup/2012/wg1r/matchresult.html

 さて、日本の憲政史上初めて国会に設けれらた独立調査委員会である東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会が自ら法律を制定し設置したもの)委員長である日本学術会議元議長黒川清氏が主催する日本医療政策機構が2月10日に開催した医療政策サミット2012を取材して参りました。今回は東日本大震災の医療支援をテーマに議論されました。予算委員会中であるにもかかわらず細野豪志環境大臣、原子力発電所自己収束・再発防止担当大臣が参加するなど、当事者や政策担当者も参加する質の高い会議でした。
http://www.hgpi.org/report_events.html?article=180
http://www.naiic.jp/

 そこで一番驚いたのが、民主党衆議院議員で衆議院内閣委員長の荒井聡議員の発言でした。同氏は3.11発生直後から立法府として、東日本大震災の緊急対策と復興の責任者として活躍してきました。「福島の原子力発電所の事故後に、除染の必要を感じていたが、各省庁誰も手を挙げて来ない。環境省の次官を官邸に呼びつけて、除染を担当するように要請した。しかし、次官は環境省には除染を行う権限も能力もないと断った。調べて見ると、自然環境保全法、水質汚濁防止法など除染に関係する9つの法律全部が、放射能汚染はこれらの法律では取り扱わないと除外していた」という発言です。少しだけ調べてみましたが、自然環境保全法では、放射能による汚染は原子力基本法の定めによると責任回避していますが、肝心の原子力基本法には放射線傷害の防止の定めはあるものの、原発の作業員や医療被爆などを想定しており、広範な地域が放射能汚染した場合の救済措置はまったく考慮されていませんでした。原子力発電所は絶対事故を起こさないという無謬神話によって、我が国の法律体系は大きな穴を形作っていたのです。内閣法制局のような法律の番人でも、法律相互の無矛盾を検証するだけでは、こんなにも大きな欠陥を見逃してしまうのです。こうした法律の欠陥が、官僚の組織的怠業を許し、被災地の復興を遅らせているのです。今でも、荒井議員などが除染に必要だと要求している500mメッシュの汚染地図を文部科学省は作成せず、5kmメッシュの汚染地図でお茶を濁しています。このメールで何度も書いておりますが、立法府である国会がしっかり法体系を作り、官僚を駆使しなければ、我が国の国民は幸せになれない。東日本大震災の教訓と尊い犠牲を生かして、新しい行政改革を国会が法律を作り、主導すべきだと思います。混迷に混迷を重ねる民主党政権ですが、明白に見えてきたのが、政治主導の本当の意味でしょう。国会の調査・立法機能の強化にこそ、その王道があるということです。国会重視こそ、国政選挙によって民意が反映できる、つまり国民も義務と負担を負うことが保障される唯一の道だからです。

 結局、国会が2011年8月30日に放射性物質汚染対処特措法を制定・公布し、環境庁が除染を行う法律的義務が生じました。ここまでに5ヶ月も必要だったことを忘れてはならなりません。しかも、政治主導を巡る戦いはまだまだ続くのです。実際、国会の原子力事故調査委員会の報告書を待たず、原子力規制庁の設置が1月31日に閣議決定しました。これに対して黒川事故調査委員会議長は2月2日に抗議文を叩きつけました。国会の事故調査委員会は調査結果に基づき、行政改革の提案を行う責務があるためです。国会の調査を待たずに、原子力規制庁を定めた原子力規制関連法の改正案を閣議決定したことに抗議することは誠に正当であると思います。内閣は基本的に行政の長であることが再確認されたとも考えられます。議院内閣制のため曖昧にされてきた内閣と国会の節度ある対立が今後不可欠であると思います。原子力規制の改正法案はこれから国会で議論されます。審議の過程で、事故調査委員会の調査結果をどこまで反映できるか?民主党の政治主導の実態を測る試金石となります。
http://www.env.go.jp/jishin/rmp.html
http://www.enecho.meti.go.jp/info/committee/kihonmondai/10th/10-22.pdf
http://www.naiic.jp/wp-content/uploads/2012/02/Seimei_20120202_ja.pdf

 国のあり方を変えることこそ、東日本大震災の犠牲者や被災者に報いる唯一の道であると確信しています。東北メディカル・メガバンクや福島県で始まったソルガムによるエネルギー農業と除染の試みなど、着実に改革の芽吹きは始まっています。ここで得られた経験を絆を、既存の既得権やしがらみを打破するために、活用しなくてはなりません。それは被災地だけでなく、沈滞する日本を救うことにもなるのです。

 本日は政治の話に終始してしまいましたが、この根本がおかしいとバイオ産業や生命科学は健全に育ちません。

 もうすぐ春です。皆さんも光春を堪能願います。

         日経バイオテクONLINE Webmaster 宮田 満

ご連絡は、https://bio.nikkeibp.co.jp/inquiry/