こんにちは。水曜日を担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。

 先週後半に札幌に取材に行ってきました。札幌市内は雪まつりの準備をしているところで、大通公園まで少し眺めに行きましたが、雪も降っていてちょっと立ち止まって見ていると寒さが堪えました。精進が足りません。

 札幌ではベンチャー企業など幾つか取材して、既に幾つか記事で紹介していますので、ぜひお読みください。

 北大発ベンチャーのポラリス・テクノロジー、有機合成蛍光色素の事業が順調に拡大
 https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120205/159369/

 NB健康研究所、創薬研究受託で黒字を維持しながらシーズも育成、抗GPCR抗体で重症呼吸器疾患の治療を狙う
 https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120208/159415/

 札幌に行った主な目的の1つは、産業技術総合研究所の遺伝子組み換え植物対応の植物工場を見せていただくことで、植物分子工学研究グループの松村健グループ長にご案内いただきました。驚いたのはそのモニタリング体制です。明期、暗期を通して室内の温度や湿度を一定にするようにするために、例えば温度だけで206個のセンサーを設置して室内隅々までモニタリングし、植物が成育するのに伴う変化を把握。その情報をフィードバックして、次に栽培する際の風量、その他の調整に生かしているということでした。この遺伝子組み換え工場で栽培したイヌインターフェロンを発現するイチゴについては、共同研究開発を行ってきた企業が、近く動物薬として承認申請できるところまで来ているということです。正直言って、動物薬を含めた医薬品グレードのたんぱく質を生産するために、ここまでハイスペックの植物工場を用意しなければならないとなると、果たしてコストが見合うのか?と疑問も湧いてきます。医薬品として承認されるかどうかも分からない段階で、工場建設に多額の投資をするのはなかなか決断できないでしょう。だからこそ産総研が中心になってこういうプロジェクトを行うのは大きな意義があると思います。松村グループ長も、「この工場は研究目的なので、とにかくハイスペックにしたけれど、そこでデータを取ることで、例えば『この機能は必要がない』ということが明らかになる。そうすれば次に量産用の工場を建設するときには省略すればいい」と説明していました。

 亡くなられた医薬品医療機器総合機構の田中克平さんが、かつて同じような話をされていたのを思い出しました。「寿司屋も今初めて出てきたら、食品衛生上の観点から『魚を陳列する容器内は陽圧にしろ』『職人は手袋をしろ』という話になるかもしれないけど、既に長い経験があるので誰もそのようなことを言わない。再生医療の規制が厳しいというけれど、まだ黎明期にあるからで、実医療として普及すれば規制も見直されていく」と、そんな話だったかと記憶します。要するに、トップランナーはあらゆるリスクを想定してきちんとデータをとってリスクを検証していかなければならないし、慎重になるところは慎重過ぎるぐらい慎重にしなければならないけれど、慣れてくるに従って、過剰な規制はなくしていかなければならないということです。

 札幌では産総研の植物工場に続き、地元企業などが出資して第二工場を建設し、閉鎖型植物工場を利用した遺伝子組み換え植物を含む高機能植物生産を、産業として育てていくプロジェクトも進んでいるとのことです。詳しくは、改めて日経バイオテクONLINEの記事で紹介したいと考えていますので是非ともそちらでお読みいただきたいですが、第一工場で得た知見を第二工場に生かし、さらにその知見を実生産の向上に生かしていくという形で、大きな産業が立ち上がっていくことに期待しています。

 話は変わりますが、日経バイオテクONLINEに、毎年恒例になっているバイオ企業番付の2012年版を掲載しました。ぜひお読みください。

横綱、大関、関脇、小結はこちら
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120201/159280/

前頭、十両、幕下はこちら
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120205/159367/

 年初に行った「日経バイオテクONLINEを2週間(50本まで)無料で」お読みいただけるトライアルキャンペーンを、再度、3月末まで実施することにしました。トライアルのご利用はお一人につき一度限りですが、まだご利用いただいていない方はぜひお試しください。

https://bio.nikkeibp.co.jp/article/information/20120201/159312/

 本日はこの辺で失礼します。ご意見、ご批判は以下のフォームよりお願いします。

 https://bio.nikkeibp.co.jp/inquiry/

                    日経バイオテク編集長 橋本宗明