毎月第1金曜日と第3金曜日、第5金曜日の日経バイオテクONLINEメールの編集部原稿も担当しております日経バイオテクONLINEアカデミック版編集長の河田孝雄です。2012年4月に大学院に創薬科学研究科基盤創薬学専攻を立ち上げる名古屋大学の取材などで名古屋に来ております。

 誰もが無料で論文を読むことができるオープンアクセスの学術誌の成果発表を記事にまとめる機会が増えてきました。

 ここ2週間で、理化学研究所OSCが2報相次いで、オープンアクセス誌の代表の1つといえるPLoS ONE誌で論文を発表しました。

理研OSC、HeliScopeCAGE法の解析速度を自動化で5倍に、PLoS ONE誌に発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120201/159308/

理研OSC、RT-SmartAmp法でインフルエンザウイルスを迅速かつ高感度で検出、PLoS ONE誌で発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120127/159197/

 オープンアクセス誌では、ジャーナルの発行費用を論文発表者側が負担します。大学などの図書館予算が年々厳しくなる中で、オープンアクセス誌の存在感はますます増大しそうですね。インパクトファクターも5前後など、思ったよりも高かったことなどが話題になっています。

 ただいま記事とりまとめ中の成果も、PLoS姉妹誌の論文です。論文投稿にかかった費用はおよそ20万円程度とうかがいました。オンラインで誰もがフルペーパーを読めるのですが、印刷物の需要もあるとのことで、例えば、論文著者が1000部を20万円などで出版社に発注することもあるようです。

 知をいかに共有するかが、情報量が増大する中で課題となっています。特に英語が母国語ですと、一般市民も最先端の知を入手しやすくなります。オープンアクセスがそもそもは一般の市民の活動から始まりました。論文発表した成果をもとに研究者の業績を評価する仕組みは年々発達しています。

 もう1つの知の集積である「特許」についても、最近新たに記事をまとめました。

機能性食品の特許総合力ランキング、花王とサントリー、森永がトップ3、NAROがトップ10入り
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120202/159330/

トップ3は味の素と明治、ヤクルト、乳酸菌の特許総合力をパテント・リザルトが調査
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120201/159276/

 大学などアカデミアの研究者に研究成果の取材をするときにも、特許・知的財産権の話を必ずうかがうようにしていますが、大学の知財戦略で難しいと思うのは、優れた研究者ほど、所属機関を移動することが多いために、一貫性のある知財戦略をとりにくいということがあります。

 現在の制度だと、かつて所属していた組織の特許が、現在の研究で支障になる場合もあるようです。国立大学から国立大学に移った場合には、研究の障害にならないようにするという取り決めがあるようですが、例えば私立大学に移ると事情は異なります。

 大学などアカデミアは特許の取り方が下手だという話はいろいろなところでうかがっています。知財立国を目指す日本としては、アカデミアからの橋渡しをよりよく進められるように改善していきたいものです。

※特許評価の過去3年ほどの関連記事です。

医薬品特許資産規模ランキング2011、中外、帝人、第一三共がトップ3、積水4位、武田7位
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111020/157314/

味の素の技術力・研究開発力が食品業界で世界トップに、米社が特許調査で順位付け
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111011/155931/

特許の他社けん制力ランキング、医薬業界は武田、一丸、田辺三菱がトップ3
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/8497/

「パテントスコア」特許保有のパテント・リザルト、特許価値分析ツールの米国特許版を夏に発表へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1703/

パテント・リザルトの「特許資産の規模ランキング」、技術分類別の「突然変異または遺伝子工学」は九大が頭抜けた資産
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1468/

パテント・リザルトの「特許資産の規模ランキング」、大学・TLOトップ20では広大、九大、東大に加え豊橋技術科学大学、群馬大学も躍進
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1465/

 メール原稿の締め切り時間になりました。最後に、ここ2週間で直接取りまとめた約20本の記事リストとポイントを紹介させていただきます。

※直近2週間の記事

メタボ対策に期待の希少糖を使用の梅酒、香川県老舗の西野金陵が全国販売
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120202/159331/
○2月14日には、かがわ糖質バイオフォーラムが開催されます。

機能性食品の特許総合力ランキング、花王とサントリー、森永がトップ3、NAROがトップ10入り
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120202/159330/
○花王が2位以下を引き離しています。

理研OSC、HeliScopeCAGE法の解析速度を自動化で5倍に、PLoS ONE誌に発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120201/159308/
○オープンアクセス誌で成果発表です。

トップ3は味の素と明治、ヤクルト、乳酸菌の特許総合力をパテント・リザルトが調査
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120201/159276/
○味の素グループのカルピスの特許が目立ちました。

東洋新薬、佐賀大学発ブランド野菜“バラフ”の美容液発売
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120131/159273/
○大学発ブランドの商品化です。

理研BSIとカナダUBC、抑制性シナプス形成に重要なたんぱく質SLITRK3を発見、Nature姉妹誌で発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120129/159224/
○Nature Neuroscience誌で発表しました。

同志社大と京都府医大、男性側の不妊対策にトコトリエノール、ビタミンE研究会で発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120128/159219/
○内分泌かく乱物質による精子毒性を予防する作用が期待できるようです。

キリン健康プロジェクト、2011年実績は目標120億円をどれだけ上回るか、 2010年は目標50億円で実績80億円【機能性食品 Vol.39】
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120127/159215/
○キリンビバレッジの「からだ想い茶」第2弾は花粉症対策も意識したものです。

理研OSC、RT-SmartAmp法でインフルエンザウイルスを迅速かつ高感度で検出、PLoS ONE誌で発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120127/159197/
○LSA要素技術開発ユニットの石川智久上級研究員らの成果です。

日本ロレアルがR&Iセンターを25%拡充、1月25日にアジア・グローバル戦略説明会
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120126/159180/
○アジア・オープンリサーチなど3部門を新設しました。

2月15日に群馬で公開シンポ「カイコ産業の未来」、免疫生物研とシスメックスも話題提供
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120126/159179/
○基調講演は、国立医薬品食品衛生研究所の川崎部長が登壇します。

植物性乳酸菌の永谷園が「しじみ70個分のちから」11商品へ、年30億円に上乗せ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120125/159158/
○「しじみのちから」事業が拡大しています。

キリン健康プロジェクト「からだ想い茶 すぅーっと茶」、ユーカリの香り成分βユーデスモールが冷涼感センサー膜たんぱく質に作用
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120125/159157/
○成果発表はこれからのようです。

5種の世界大学ランキングを新技術振興渡辺記念会が集計、東大21位、京大31位、阪大75位、東北大88位
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120125/159156/
○世界大学ランキングの最初は、上海だったとうかがいました。

東京理科大とオーガンテクノロジーズ、1月30日に器官再生工学プロジェクト研究棟の竣工式
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120123/159141/
○総工費は約1億6064万円で、2011年12月に完成しました。

吸収性50%向上のアクアナノサイジングDHA配合のサプリ、富士フイルムが発売
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120123/159140/
○先日成果発表があった素材の商品化です。

スギ花粉の有害性をストリーマ放電が抑制、京大との成果を学会10カ月前にダイキンが発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120123/159139/
○学会発表の登録はこれからのようです。

「政府の独法見直しの基本方針を踏まえ2011年度新規から本機構の研究への資金配分は行わない」、農研機構が中計に明記
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120123/159138/
○中期計画に明記されていました。

JSTが競争的資金を理研に配れなくなる懸念も、文科省の研究独法統合で
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120123/159134/
○統合対象は、5機関と閣議決定されました。

理研、嫌気呼吸酵素qNORの立体構造を解明、Nature姉妹誌に発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120123/159118/
○好気呼吸のCOXに備わっているプロトンポンプの原型に当たる構造を発見しました

賀詞交歓会、研究開発独法の統合、大学の秋入学【日経バイオテクONLINE Vol.1684】
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120120/159107/