今、錦織選手が準決勝進出をかけて、オーストラリアオープンで戦っています。第一セットは6:3で残念ながら英国Murray選手が先取しました。錦織選手は確実に強くなっており、今回も逆転勝利を期待したいところです。

  現在、東京国際フォーラムで、我が国が世界をリードするペタコン、京のの産学連携セミナーに参加しております。会場が満員かと期待しておりましたが、聴衆は100数十人といったところです。これだけの世界的競争力を持つペタコンを産業界が生かそうという意欲が今一つ見えないところが、少し残念です。今年11月からは京の企業による利用が開始されます。それまでに企業に食欲を沸かせるようなデータやアプリが発表される必要があります。そして、最大の問題は京を取り巻く、関連組織が開発、そして実用化ステージで錯綜しており、まったく分かりにくい。これをもっとすっきりして、ワンストップ利用や戦略決定ができる組織体制の整理が必要だと思います。ペタコンの真似をして運営組織まで複雑化する必要はありませんね。

 さてバイオです。

 昨日、レギュラトリーサイエンス財団が主催したコンパニオン診断薬のシンポジウムを取材しました。確実に欧米、そして日本で個の医療の実用化が進み、まさに爆発的な商品化目前の熱気を感じました。米国食品医薬(FDA)が昨年の8月に2つの抗がん剤、分子標的薬(ザルコリ、ゼルボラフ)で、コンパニオン診断薬と新薬の同時承認を実現しました。また、昨年、FDAと欧州医薬庁があいついで、コンパニオン診断薬開発のガイドライン案を発表したことも、コンパニオン診断薬開発に拍車をかけました。

 今後、治療標的が明確な分子標的薬の開発には、コンパニオン診断薬の開発が不可欠です。もし、規制当局の認可を受けるコンパニオン診断薬を商品化するには5年程度の研究期間が必要なので、理想的には前臨床試験の段階で、患者選択に必要なバイオマーカー(これを測定するのがコンパニオン診断薬)の情報が製薬企業から診断薬企業に開示される必要があります。医薬品医療機器総合機構も、現在、コンパニオン診断薬のガイドラインを検討中ですが、米国のガイドライン案を参考にしている模様です。欧米のガイドライン案の最大の差は、欧州はコンパニオン診断薬として当局の認可を必要としないLabo Made Testを認めていることです。FDAはあくまでもLMTは認めず、コンパニオン診断薬は新薬の開発と同時にFDAの承認を得ることを原則としています。関係者の話を総合すると、我が国はFDAではなく欧州型のガイドラインを目指すべきであると思いました。

 通常の診断薬よりも10分の1以上、コンパニオン診断薬の市場が小さく、しかも臨床試験入りしてから商品化まで成功確率は10%しかない、新薬開発のリスクもコンパニオン診断薬が被ることも考えると、なんでもかんでも開発コストがかかる薬事認可を要求することは、むしろコンパニオン診断薬開発の意欲と新薬を患者さんに届けるスピードを削ぐものだと考えるためです。ぜひとも、総合機構や厚労省は善意や勤勉故に、仕事を増やし、結局は個の医療の我が国での実現の足を引っ張る愚は犯さないように、お願いしたいと思います。欧州の実践的な智恵を是非とも学んでいただきたい。

 実は、昨日のシンポで参加者一同が一番驚いたのは、総合機構で診断薬を審査する審査官が3人しかいないという点でした。我が国では年間180件以上もの、診断薬の製造・販売申請が行われており、既に審査はパンク状態です。これからコンパニオン診断薬が続々と製造・販売申請されても、新薬と同時認可するだけの審査能力のキャパシティが現状ではまったくないということです。ガイドライン以前に、この現状を変えない限り、我が国で新薬とコンパニオン診断薬の同時認可は実現できません。背景には、診断薬の審査手数料と新薬の審査手数料の差があります。独立行政法人化した総合機構では、収入に応じた人員配置が要求されており、本当は今すぐ倍増すべきなのですが、審査官の増員はできない状況です。

 どうしたこうした問題をスパッと解決できるか? なかなか難しいのですが、敢えて大胆に言えば、新薬とコンパニオン診断薬を一つの商品としてバンドルして販売し、薬価をつける方法があるのではないでしょうか?こうなれば、診断薬の審査に増員が可能となりますし、診療報酬点数と新薬の薬価の制定方法の差による新薬とコンパニオン診断薬の発売ラグもなくなると考えます。実際には細かな問題もバンドル案には存在しますが、こうした今までの健康保険制度や薬事の延長線上にはない制度改革が、個の医療の実現のためには必要であることが明確になったと考えています。

 1月25日の厚生科学技術会議技術部会でゲノム指針の改定案が出ました。今回の改定案はきわめて融通無碍に出来ており、包括同意は文言上認められませんでしたが、事実上可能にした指針となっております。むしろ、指針では曖昧な表現を取り、現場にゆだねたと言ってよいと思います。それだけに各機関の倫理委員会の質向上が不可欠になっています。倫理委員会をモニタリングする調査研究や仕組み作りが、今後、患者さんの権利を守りつつ、ゲノム解析研究を進めるために、どうしても必要になっ
てまいりました。

 冷え込んでおりますが、皆さん、今週もお元気で。

             日経バイオテクONLINE Webmaster 宮田 満

ご連絡は、https://bio.nikkeibp.co.jp/inquiry/