皆さん、あけましておめでとうございます。
 
 現在、青森県弘前に滞在しています。やはり雪国です。東京の厭な寒さよりは、寒いけど暖かい。雪明りも綺麗です。

 さて、RNAiです。

 2010年から昨年まで吹き荒れたRNAi医薬からのビッグファーマの脱落の波も一段落しました。Obama政権以前は、ビッグファーマにとって自由薬価の米国は金城湯池でした。高額な研究開発投資を十分回収できる経済的な枠組みによって、米国市場はバイオ新薬開発のエンジンでありました。しかし、Obama政権の誕生と国民皆保険制度の導入によって、米国の医薬市場の成長性は一挙に縮小、ビッグファーマは米国の人員を削減、市場の延びが期待できる新興国市場に振り向けました。

 実は米製薬工業協会の調査では2007年をピークにビッグファーマの研究開発投資は縮小し続けています。ふんだんな研究費を投入したバブリーな新薬開発モデルは、新興国市場に活路を求めるビッグファーマにとっては一時代前のモデルとなってしまったようです。

 こうしたビッグファーマの変心のあおりを一番食ったのが実は、RNAi医薬の開発でした。スイスRoche社、スイスNovartis社、米Merck社、米Opko社が相次いでsiRNA医薬の開発を放棄、ビッグファーマでsiRNAに投資しているのは、皮肉なことに武田薬品一社となってしまった格好です。

 しかし、もう一社、米Pfizer社もRNAi医薬開発にまだ執念を燃やしているように見えます。Locked Nucleic Acid(LNA)技術にたいしてデンマークSantaris社と、2011年1月に戦略的提携関係を強化したことに加え、2012年1月9日には、米Tacere Therapeutics社と共同で開発しているC型肝炎のsiRNA医薬、PF05095808の前臨床試験データをAntimicrobial Agent and Chemotherpy 2012年1月号に発表しています。これは豪州のBenitec社のddRNAi技術を利用したshRNA医薬です。ただし、Pfizer社はC型肝炎治療薬の開発を行っていた英国Sandwitch研究所を2011年半ばに閉鎖しているため、今回の発表は極めて微妙な状況です。この研究からPfizer社が降りることが明らかになれば、Pfizer社もLNAのアンチセンス医薬を除き、静かにsiRNA開発から姿を消そうとしている証拠となるでしょう。

 本当の破壊的な技術革新はやはり大企業からは出ない。この歴史的な教訓をsiRNA医薬開発でも噛みしめなくてはならないのです。2012年はベンチャー企業に注目しなくてはなりません。武田薬品、協和発酵キリンなど我が国の企業の粘りも奏効する可能性を期待したいと考えています。今がチャンスなのかも知れません。

 今月もどうぞお元気で。

      日経バイオテクONLINE Webmaster 宮田 満

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