毎月第1金曜日と第3金曜日、第5金曜日の日経バイオテクONLINEメールの編集部原稿も担当しております日経バイオテクONLINEアカデミック版編集長の河田孝雄です。12月末はお休みをいただいたため、今回は、前回の2011年12月16日から3週間ぶりでお目にかかります。

 1981年創刊の日経バイオテクと、1996年開始の日経バイオテクONLINEを今年もよろしくお願いします。2011年10月に日経バイオテクが創刊30周年を迎えたのを機に、日経バイオテクONLINEをリニューアルしまして、大幅に仕組みを変更させていただきました。

 例年は1年間通年のアクセス数で記事のランキングを作成していましたが、2011年は途中でシステムを変更したため、通年のランキングは作成が難しいです。そこで、リニューアル後の2011年10月からの3カ月間のみの限定になりますが、アクセス数が多かった記事ランキングを紹介させていただきます。

 1位は、2011年11月18日に報じた名古屋大学の創薬科学研究科の記事でした。

2012年度に名古屋大学大学院に創薬科学研究科、教授陣らは12月26日に発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111118/157967/

この続報は、12月27日に報じました。

名大が2012年4月設置の創薬科学研究科の教授に藤吉好則京大教授ら、研究科長は未定
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111227/158813/

 藤吉博士は、2次元の結晶で膜たんぱく質の立体構造を解析できる極低温電子顕微鏡の世界の第一人者です。広く利用されているX線結晶構造解析で、3次元のたんぱく質結晶が用いられるとの異なっています。藤吉博士は、第1世代86年(京大)、第2世代88年(PERI)、第3世代94年(京大)、第4世代01年(播磨&東京)、第5世代04年(東京)、第6世代06年(京大)、第7世代(京大)と、2年から7年ごとに極低温電子顕微鏡の世代を更新してきました。現在は京都大学教授である藤吉博士が、2012年4月から母校の名古屋大学に戻られて、さらなる活躍をなさるのが楽しみです。

 2012年度には、兵庫県の大型放射光施設SPring-8に隣接して建設したX線自由電子レーザー(XFEL)施設SACLA(サクラ)の共用が始まります。原理的には、たんぱく質を結晶化することなく、立体構造を解明できるとのことで、こちらも楽しみです。

理研と高輝度光科学研究センター、SACLAで世界最短波長のX線レーザー発振、性能向上で2011年度内に供用運転へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/9546/

 たんぱく質など生体物質の立体構造を解明する分野の研究をこれまで「構造生物学」として紹介してきましたが、「構造生命科学」という次のステージへの展開が既に始まっています。来週月曜日の1月9日には日本学術会議で、「先端的異分野融合を核とした構造生命科学の飛躍に向けて」と題する公開シンポジウムが開催されます。

http://square.umin.ac.jp/kozo2011/

 高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所副所長/放射光科学研究施設長/構造生物学研究センター長の若槻壮市博士が、日経バイオテクONLINEにご寄稿いただきました「新春展望」の中で、その狙いを紹介なさっています(こちらは全文をご覧いただけます)。

新春展望2012 構造生物学から構造生命科学へ、1月9日に公開シンポ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120101/158846/

 東日本大震災が起こる1カ月前の2011年2月から、若槻博士は高木淳一博士(阪大蛋白研教授)、濡木理博士(東大理教授)、岩田想博士(京大医教授)らと次世代の構造生物学について集中的に議論を続け、広くライフサイエンス分野から必要とされる新しい学問として「構造生命科学」という考え方を提唱し構造生物学、細胞分子生物学、医学・薬学分野の先生方と相談しながら新しい方向性を議論してきたとのことです。

 2012年は11月、文部科学省が推進する「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築」の計画の下、世界1位の性能を誇るスーパーコンピュータ「京」の共用が始まる。

理研、スパコン「京」を使った遺伝子・たんぱく質の解析ソフトの開発が進む
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111226/158788/

NECが理研に2億円支払いでスパコンの民事調停終結、単年度予算では契約にも限界
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111223/158746/

トランジスタ60兆個で電気代年10億円のスパコン「京」、10ペタフロップスを達成
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111102/157617/

 2012年は、構造生命科学やバイオインフォマティクスの分野でも、大きな節目の年になります。

 メール原稿の締め切りが近づいてまいりました。前回のメールでもお知らせしましたが、バイオ関連12団体の賀詞交歓会は、1月17日(火)に都内で開催されます。

バイオ関連12団体、賀詞交歓会は1月17日昼に東京會舘で開催
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111214/158593/

 最後に、ここ3週間で直接取りまとめた約20本の記事リストとポイントです。今年も、引き続きよろしくお願いします。

※直近3週間の記事

抗アレルギー多糖類のサプリをヒガシマル醤油がリニューアル、2011年生物工学会発表の成果で栄養機能食品に
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120105/158895/
○9月末の学会で発表した成果をリニューアルに活用しました。

キッコーマン「まめちから」とサントリー「大人ダカラ」、独自素材トクホの評価書発行が食品安全委員会で決定
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120104/158882/
○食品大手企業の有力商品です。

2012年記者の目、コストダウンでChIP-seqエピジェネが必須アイテムに
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120104/158852/
○ChIP-seqは日本でも2012年に急速に普及しそうです。

ハワイ産遺伝子組み換えパパイア、COSTCOの日本11店舗で販売、4個698円
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111229/158819/
○生でそのまま食べる遺伝子組み換え食品が、日本で初めて登場しました。

2012年度予算案の構造生物学関連、SPring-8に87億円、SACLAに75億円、J-PARCに172億円
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111229/158818/
○構造生命科学の進展に不可欠といえる予算です。

2012年度予算の「東北」新規、メガバンク56億円、イノベ創出46億円、次世代エネ20億円、マリン15億円
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111229/158817/
○「東北」の2012年度新プロジェクトが本格化します。

2012年度予算案、科学技術振興費は1.8%増の1兆3590億円
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111229/158816/
○一般会計では3.1%減ですが、復興特別会計の計上額648億円を合算すると1.8%の
増額です。

理研BSIと東大IMCB、嗅覚神経細胞分化でNotchとHamletがエピジェネティクス制御、12月24日に説明会
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111228/158814/
○Hamletの命名の理由をAdrian Moore博士にうかがいました。

名大が2012年4月設置の創薬科学研究科の教授に藤吉好則京大教授ら、研究科長は未定
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111227/158813/
○教授5人(他に兼任教授1人)、准教授4人、講師1人、助教5人、特任助教1人が着任します。

林原ヘスペリジンの初トクホ、中性脂肪低下の飲料で佐藤園が表示許可取得、発売は大正製薬が有力の品目も
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111227/158812/
○ビタミンPともいわれるヘスペリジンのトクホが実現しました。

農水省のセシウム除染など第3次補正4億3000万円の採択決定、企業はクボタ、ヤンマー、DOWA、井関農機など
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111223/158748/
○2012年3月末までに予算を使い切ることが要求されています。

NECが理研に2億円支払いでスパコンの民事調停終結、単年度予算では契約にも限界
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111223/158746/
○単年度予算に起因する困難さは何とか改善したいものです。

農林水産技術会議の2011年農林水産研究成果10大トピックス、ウナギが2年連続1位、セシウム除染が2位
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111222/158744/
○農林水産省系の研究機関の成果が5件、大学中心の成果が5件です。

生物粒子の測定装置を開発したリオン、12月26日をもって東京証券取引所市場第1部銘柄に
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111222/158742/
○水中の生物粒子をリアルタイムで連続測定できる装置を世界で初めて開発した企業です。

JST、科学技術情報を活用した調査・分析手法を発信する「J-GLOBAL foresight」を12月21日開設
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111221/158709/
○JSTが50年以上にわたって蓄積したおよそ5600万件の科学技術文献情報も含みます。

最新鋭植物工場稼働で生産能力倍増の村上農園の豆苗、7年後にはさらに3倍増へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111221/158696/
○写真を4点掲載しました。

上原記念生命科学財団、平成23年度の上原賞は森和俊・京大教授と山本雅之・東北大研究科長教授
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111220/158691/
○贈呈式は2012年3月9日15時から、大正製薬本社2号館「上原記念ホール」で開催されます。

アークレイの新社長に松田猛・取締役開発兼製造担当、2012年1月に就任予定
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111219/158673/
○代表取締役社長の土井氏は代表取締役会長に就任なさいます。

ブドウのオレアノール酸を酵母で合成、PCP誌の表紙飾る、阪大と横浜市大、理研、東工大、キリン、サントリー、神戸大の成果
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111218/158650/
○オレアノール酸は、ブドウ果実の表面につく白い粉「ブルーム」の主成分です。

日本通信販売協会がサプリメント登録制の調査結果を公表、売上高上位品のトップは青汁とグルコサミン
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111216/158634/
○幹事会社は、アサヒフードアンドヘルスケア、オルビス、キューサイ、協和発酵バイオ、サントリーウエルネス、新日本製薬、ファンケル、やずや、山田養蜂場の9社です。