2012年の日本のバイオインフォマティクスは、現状よりもさらなる推進力をつけなければならない。

 海外勢との激しい競争の中、特にゲノム解析の抵抗力を高め、バイオIT産業の体力を十分につけたい年である。

 この分野の人材教育に力を入れることで、本産業の底辺を広げ、創薬やゲノム医療の技術革新をこの日本から発信することに期待したい。しかし、現状どう見ても、研究および産業の両分野において日本はリードしていない状況にある。

 努力をすれば済むという問題ではない。今年はこの状況を打破するための対策を講じなければならない。そのためには可能な限りの技術力の向上、産業の発展のための体力増進が重要課題である。

 この産業の発展に強く関係するのが企業の競争力である。ここは一般的なバイオインフォマティクスの人材強化とは異なる。この業界は、将来予測が難しいことと、通常のIT産業では考えきれないぐらいの多くの生物学的知識と職人的気質を要求されるノウハウの世界でもあり、それは研究者の人材育成よりも遥かに難しい。

 海外のバイオインフォマティクス企業は華やかに見えるが、決してそうではない。地道に努力して特徴を出していく企業、買収を繰り返す企業などさまざまだ。2011年は最大級のM&A(企業の合併と買収)が進行したと日本経済新聞は報じているが、本業界については、GenomeWebによると2011年はフラットであったいうことだ。大きなIPO(株式新規上場)やM&Aは確かに2011年にはなかった。

 日本のバイオインフォマティクス企業は地味であるものの、政策の違いを除いて技術力や産業の力は海外企業と大差ないと思っているので、産業の体力のつけ方やアイデアによって同レベルに立てると期待している。

 次に、研究レベルでいうと2011年に次世代シーケンサ用の解析アルゴリズムが多くオープンソースとして世界標準で利用されたが、国産のものはなかった。アルゴリズム開発の多くはアカデミックが行うものだと思う。アカデミックの競争力は産業とは異なり、政策にも左右される。しかしこのすそ野を広げていくことが必要である。

 私は、バイオインフォマティクスでの技術競争力と、産業としての競争力強化が2012年の課題であると考えている。特に、日本独自のアイデアを駆使した産業が世界市場に参入することを期待する。