昨年の我が国経済は、3月の東日本大震災による被害、それに伴う電力不足や未曾有の円高等、数多くの困難な課題が発生する非常に厳しい年であった。

 そのような中、医薬品や医療機器、再生医療等の医療分野は、今後の我が国の経済と雇用を支える分野として大きく期待されており、昨年末に国家戦略会議がまとめた「日本再生の基本戦略」においても、重要な産業分野として取り上げられている。

 これを受け、内閣官房医療イノベーション推進室を中心に、文部科学省、厚生労働省、経済産業省が協力して「医療イノベーション推進5カ年戦略」を今年前半にとりまとめることとなっている。産業界や学界等の関係者の意見を踏まえつつ、研究開発、拠点整備、事業支援、規制制度のあり方など、幅広い分野で骨太な戦略が立てられるよう尽力して参りたい。

 昨年の大震災を受け、東北地方、特に福島県の復興の観点から創薬や医療機器開発のための拠点整備事業の予算が認められた。このうち、創薬拠点に関しては、我が国を代表する個別化医療の拠点となるよう、全国レベルでの研究者の招致とともに、既に20社ほどの参画が定まりつつあるが、更に多くの企業の参画を進めて参りたい。

 大震災による被害の克服とゼロからの挑戦により、被災地の復興が1日も早くなされるとともに、我が国の経済成長と雇用の安定の面からも、バイオテクノロジーが大きく貢献することを期待したい。