新春展望2012、産学連携、共同研究の成果を診断に利用するため多検体で評価へ

(2012.01.02 00:00)
島津製作所
ライフサイエンス研究所所長
佐藤孝明

 新しい年を迎えるにあたり、謹んで新春のお喜びを申し上げます。

 島津製作所ライフサイエンス研究所は、今年4月に設立からちょうど11年目になります。これまで、国内を中心に多くの産官学連携プロジェクトを推進することができましたのは、ひとえに皆様方のご協力とご指導のおかげであると心から感謝申し上げます。

 さて、この11年間には、2002年の田中耕一フェローのノーベル化学賞受賞という島津製作所全体にとっても大変喜ばしい出来事がありました。その後、最新の質量分析システムを駆使したがんや糖尿病等のバイオマーカー探索を産官学連携で推進してきました。
特に、大阪大学蛋白質研究所の寄付講座(西村紀先生)、東京大学医科学研究所・理化学研究所との先端臨床プロテオミクス共同研究室、更には神戸大学医学部質量分析総合センターはライフサイエンス研究所にとって非常に重要なキャンパス内共同研究施設でありました。また、現在も継続中の東京大学医学部(永井良三教授)、慶応大学医学部産婦人科教室(青木大輔教授)、京都大学iPS細胞研究センター(戸口田淳也教授)との共同研究では、企業研究者がアクセスすることが難しい臨床サンプルを用いた研究を推進するために大変貴重な経験をさせていただいています。

 また、ここ数年は最先端研究開発支援プログラム(中心研究者:田中耕一、次世代質量分析システム開発と創薬・診断への貢献)において、ライフサイエンス研究所は革新的前処理の開発を積極的に行って来ました。特に、昨年11月に発表した可変抗体を試験管内で合成する方法論の開発は、抗体をベースに事業展開している診断会社や製薬会社に大きなインパクトを与えることができました。特に、抗体のヒンジ領域をフレキシブルにかつ伸張性を持たせることで、結合能力を100倍以上に向上させることに成功したことは、今後、当社が中期計画で目指している診断用質量分析システムの開発に大きな貢献をすることができると期待しています。

 更に、昨年、国立がん研究センターとの包括共同研究契約の締結を行いましたが、これによりこれまでライフサイエンス研究所が産学連携で開発した多くのがんのバイオマーカー候補を診断に使えるマーカーとして見極めるために血清や尿を用いて多検体評価したいと考えています。また、最近、ライフサイエンス研究所が中心になってアプリケーション開発している質量分析装置を用いた分子イメージング法は、組織からのバイオマーカー探索に限らず、今後、新しい病理診断法の確立、薬物動態や新薬開発、がん細胞のシングルセルイメージング等にも貢献できると期待しています。

 2012年は、ライフイノベーション実現への更なる挑戦の年と捉えて、診断から治療へ、更には創薬プロセスの革新に少しでも貢献できるように、産学官連携のもとで全力を尽くしたいと考えます。

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