世界の経済不安と、医薬品創出が困難になってきたことから、医薬品産業は大きな変革を迎えつつある。各国において高額医薬品を受容しきれなくなり、どの国の政府機関も費用対効果を中心とした医療経済、医薬品経済を考えるような機関を設立し、その評価基準やプロセス策定に血道を上げるようになっている。

 日本においては、いまだ費用対効果についての議論は少ないが、現在、世界の医療をヘルステクノロジーアセスメント(HTA)の波が襲っており、エビデンスに基づいた医療(EBM)の研究から比較効用分析研究(CER)に重要性がシフトしている。バイオ創薬もひいては社会福祉の実現につながるものであり、費用対効果の理解こそが真の応用研究のゴールに必要となろう。

 医薬経済に関しては、特許切れを迎えるバイオ医薬品の後続品であるバイオシミラーが話題の1つになっている。しかし、現状では、薬価の設定が先発品の7割となっており、医療現場としては、これまでに慣れて使われてきた先発品を使い続ける傾向が強いようである。医薬品分野におけるジェネリック医薬品には、先発メーカーがエスタブリッシュドプロダクトというコンセプトでブランド力と安全性評価の実績を軸に参入するようになったが、バイオシミラーにおいても、先発メーカーがどのように参入していくのかが興味深いところである。

 上記のような医薬経済的な観点をふまえつつも、日本としては、分野横断型の連携と産学官の結束をしないかぎり、研究成果を応用して世界に発信していくことは叶わない。年末に政府発表のあった国際戦略総合特区においては、大阪府、大阪市、神戸市、兵庫県、京都府、京都市が関西としてはじめてまとまって医薬開発等のイノベーションに取り組む体制をとることが決定されている。このような動きも今年は動向が注目されよう。