毎月第1金曜日と第3金曜日、第5金曜日の日経バイオテクONLINEメールの編集部原稿も担当しております日経バイオテクONLINEアカデミック版編集長の河田孝雄です。今回は、前回の2011年12月2日から2週間ぶりでお目にかかります。

 今週は火曜日から本日(金曜日)まで、日本分子生物学会の第34回年会がパシフィコ横浜で開かれました。メール読者の皆さんも参加なさった方が多いのではと思います。こちら水曜日と木曜日に展示会場など回りまして、1日1000件ものポスター発表の中で、若い研究者らの熱気を感じました。

 年会長を花岡文雄・学習院大学理学部生命科学科教授がお務めになり、数々の新たな工夫をなさったとのことです。その1つは、1日ごとに分野を定めて「○○の日」とし、いわば「一日研究集会」のようなものとしたこと。多忙な学会会員が自分に最も近い研究集会の日だけを選択して参加することを可能にするなどの狙いです。

 来年(2012年)の開催地は福岡です。福岡の同じ会場で、日本分子生物学会の年会に続いて日本生化学会の大会も開催されるので、ほぼ1週間、福岡という方もいらっしゃるのではないでしょうか。会期は分子生物学会の第35回年会が2012年12月11日(火)から14日(金)までの4日間、生化学会の第85回大会が12月14日(金)から16日(日)までの3日間です。

 分子生物学会第35回年会の年会長は、阿形清和・京都大学大学院理学研究科生物科学専攻教授が、生化学会第85回大会の会頭は藤木幸夫・九州大学大学院理学研究院生物科学部門教授がお務めになられます。

※分子生物学会の関連記事

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https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111212/158553/

 特別企画の「使ってみようバイオデータベース―つながるデータ、広がる世界」や「ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)」の展示コーナーも楽しく拝見しました。「生物学研究の情報量が爆発的に増加している」ことを改めて実感しました。

 最先端の機器を使って解析していいデータが出れば、ハイインパクトジャーナルでの論文発表を狙えるといった類の実験計画は、容易に立てられるという話は若手研究者の方からよく聞きます。もちろん容易に考えつくことは、イコール、世界中に競争相手がいるといえそうですが。

 論文発表などの成果の取材ではできるだけ、どのくらいの研究費がかかった研究なのかということも重点的にうかがうようにしてます。先日のある取材では、ウェットのデータ収集におよそ1億円かかったのでは、という話もうかがい、たいへんなことになってきたと思いました。

 もちろん最先端機器の進歩に伴い、解析対象当たりでみると大幅なコストダウンは実現できています。ヒトサンプルの場合で、1サンプルの解析でChIp-chipでは140万円かかっていたのが、ChIP-seqでは10万円という話も講演でうかがいました。単価が安くなるにつれて解析できる数も増やすことができるため、論文のレフリーなどから要求されるレベルもさらに高まるということは今後ますます顕著になりそうです。

 生化学会の来年の予定を調べていて気がついたのですが、011年9月に日本生化学会の会長に就任なさった石川冬木・京都大学大学院生命科学研究科統合生命科学専攻細胞周期学分野教授は、2月10日に同学会HP掲載の「会長からのメッセージ」の中で、次のようにお書きです。

「近年、生化学研究に必要な機器の一部は高額化し、それらの高額機器を有効利用することで、初めて研究のブレークスルーを得ることができる場合があります。その一方、これらの高額機器が、真の研究推進に有効となるよう予算措置されているのか疑問に思われる例が皆無なわけではありません。また、このような高額機器予算の増大は、研究者人口の大型研究への収斂をもたらし、次世代の新しい研究領域の種を提供するはずの科学の幅、懐の深さを狭めている傾向も見られます。一般論として、科学において、大型プロジェクト研究と多様な個人研究の間は排他的であるはずはなく、それぞれが適切な規模で研究を鋭意展開し相互作用することで、独創的な研究が生まれるものと期待されます。私は、学会員の皆様と、このような次世代の生化学研究のあり方についても考えていきたいと思います」

 日本は米国に比べ、バイオ研究支援機器・試薬市場に占める公的資金の比率が大きいという話もうかがったことがあります。

 「自然はいかなる人間より、いかに優れた科学者より独創的。自然には不思議が詰まっている。それを見いだす唯一の窓口は実験。自然がチラッとヒントを出してくれるのを人間が目をつむっていてはいけない」と、山中伸弥・京都大学iPS細胞研究所所長は12月14日の分子生物学会の若手教育シンポジウム「若手教育ランチョンセミナー2011―研究者として独立するには?―」の講演でお話しでした。

 この自然の神秘を分子のメスで解析し、日々の生活に役立てるための研究の発展を引き続き報道してまいりたいと、分子生物学会を取材しながら改めて思いました。

 さて師走・12月も後半に入り、2012年の賀詞交歓会などの案内も編集部にたくさん届くようになってきました。バイオ関連12団体の賀詞交歓会は今回、東京會舘とのことです。例年の開催場所が変更になることが最近多いので、予定表に開催場所もしっかりメモするように心がけております。皆さまもよいお年をお迎えください。

バイオ関連12団体、賀詞交歓会は1月17日昼に東京會舘で開催
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111214/158593/

 メール原稿の締切時間が迫ってきました。最後にここ2週間で記事とりまとめを直接担当した記事16本ほどのリストと注目点を以下に記載します。

林原が岡山市の本社を移転、12月26日から新住所
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111215/158603/
○林原は岡山駅前に広大な不動産を所有しています。

分子生物学会と生化学会、2012年は12月に福岡で連続開催
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111215/158599/
○2つともフル参加だと福岡滞在は6日間です。

「自然は優れた科学者より独創的」、山中伸弥京大所長が分生若手教育シンポで講演
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111215/158594/
○先着200人の若手教育シンポは大人気でした。

バイオ関連12団体、賀詞交歓会は1月17日昼に東京會舘で開催
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111214/158593/
○2011年までの恒例開催のホテルは閉鎖されてしまいました。

Aker BioMarine社、オキアミω3が潰瘍性大腸炎の炎症を軽減
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111214/158592/
○リン脂質結合型ω3は効果を発揮しやすいようです。

中国BGI、NVIDIA社製GPUの導入で DNA解析を4日間から6時間に短縮
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111214/158588/
○GPUの威力は絶大と感じました。

東大先端研、転写過程をシミュレーション解析、RNAポリメラーゼIIたんぱく質の自由走行と渋滞が細胞の活動を調整
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111213/158572/
○走行速度は1分あたり3.5kbほどだそうです。

4省の生命科学DB合同ポータルintegbio.jp開設、明日開幕の第34回分生で特別企画DB展示20件
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111212/158553/
○情報の共有が生命科学発展の鍵です。

東京海洋大の第10回ホスファチジルセリン研究会に50人、18人が特別寄稿
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111212/158541/
○特別寄稿の内容もおもしろいです。

健康食品素材の科学的実証DBを社福協が12月19日から公開、清水俊雄教授や久保明教授らがDB構築
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111209/158520/
○公開日は来週月曜日です。

水中の生物粒子のリアルタイム測定装置を微粒子計測器1位のリオンが開発、生物の自家蛍光を活用
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111208/158519/
○生物の自家蛍光の応用が広がっています。

ニチモウのAglyMaxを不妊治療に、東京医科大産婦人科が生殖医学会で発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111208/158512/
○大豆イソフラボンの健康機能研究も進んでいます。

理研BSI、記憶や学習にグリア細胞が直接関与、アストロサイトの活動を2光子励起顕微鏡でリアルタイム観察
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111207/158289/
○2光子の威力まざまざのようです。

写真追加、阪大ISIR山口明人所長ら、異物排出たんぱく質AcrBの機能性回転ペリスタポンプ機構を解明、Nature誌に発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111207/158288/
○多剤耐性問題の解決に役立つ成果といえそうです。

東大先端研、ヒストン脱メチル化酵素が栄養飢餓でがんの増殖を抑制
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111205/158267/
○エピジェネティクス分野にも注目です。

韓国Cheil Jedang社のインドネシア工場から輸入されていた組み換え食品添加物、厚労省が食品安全委員会に諮問
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111205/158268/
○このような問題の対策は今後もたいへんです。