皆さん、お元気ですか?

 寒くなったり温かくなったり、目まぐるしく変わる天候に風邪を引きそうです。東京のイチョウも緑のまま散る葉もあるなど、異常気象に目を廻しているようです。

 一時のブームから2011年は一挙に奈落に落ちた感じのある機能性RNA医薬ですが、じわじわと着実に進展しつつあります。狙いは原因遺伝子が明確な難病や治療困難である膠芽腫などのがんです。革新的な医薬品開発はリスクを伴うため、どうしてもまずは難治性疾患に集中します。必然的に市場は小さいため、ビッグファーマなどは冷たい態度を取ることが多いのですが、一方で患者団体などの熱い支援を受ける機会も多い状況です。

 今回紹介するニュースは、患者団体の支援を受けて、miRNAの阻害剤開発が始まった理想的なケースです。今後は国家や製薬企業だけが新薬開発のエンジンではなくなることを予見させるニュースでした。

 2011年12月12日、米Reglus Therapeutics社が脳腫瘍の患者が設立した非営利団体、Accelerate Brain Cancer Cure(ABCC)から資金を得て、韓国Samsung Medical Centerが持つ、膠芽腫の動物モデルを活用して、miRNAの阻害剤(アンチセンス)を開発すると発表しました。膠芽腫の発症にはmiRNAが関与していることが疑われており、Reglus社のmiRNA阻害剤開発技術に期待しています。

 今回のプロジェクトは邪推かもしれませんが、ABCC主導の共同研究ではないか?と思っております。ABCCは2001年に世界最大の投資銀行の一つであるJPMorgan H&Q 社のDaniel H. Case経営最高責任者が脳腫瘍であると診断されたことから創設されたNPOです。Case氏は米Apple Computer社や米Adobe社、そして操業間もないバイオベンチャーの雄、Genentech社にも投資しました。
http://www.abc2.org/about-us/our-story

 ABCCは脳腫瘍の情報を提供するほか、積極的に脳腫瘍の治療法や新薬開発に参画してきました。開発初期にシードマネーを供給、脳腫瘍の治療薬開発のリスクを低下させ、企業の新薬開発を加速しようという狙いです。今までに1500万ドルの資金を31の研究機関に提供した実績があります。

 今年はスイスNovartis社、スイスRoche社がリストラに伴いsiRNAの研究を放棄し、機能性RNA創薬にはなんとも不景気な一年となりましたが、強欲だけでなく、心の底から治りたいという患者さんの素直な欲求が患者団体に結集、機能性RNA創薬を前に進める原動力となりました。まさにホワイトナイツの登場です。

 終わりよければ全てよし。

 どうぞ皆さん、よき年をお迎え願います。
 来年もどうぞ宜しく、重ねてお願いいたします。

      Biotechnology Japan Webmaster 宮田 満