今朝のクラシコをご覧になった読者も多いのではないでしょうか?

 スペインのサッカーリーグ、リーガエスパニョーラの伝統の一戦、たとえが難しいが、敢えてたとえれば、巨人阪神戦のような因縁の対決です。スペインの歴史を振り返れば、地中海の海洋帝国、カタルーニャとイベリア半島のほぼ全域を領土としていたカスティーリャ王国が、15世紀に婚姻によって成立した連合王国が起源です。しかし、お互いの領域のライバル心は強く、政争を繰り広げた結果、18世紀にスペインの継承戦勝でフランスとカスティーリャの連合軍にカタルーニャが敗退、19714年の9.11はカタルーニャが国家として死んだ日といわれています。 両地域の怨念の対決が結晶したのものが、カスティーリャ代表のレアル・マドリード、そして天才メッシを擁するバルセロナなのです。関ヶ原の戦後処理がここまでの怨念を残さなかったので、巨人阪神戦はクラシコと比べると恥じらうばかりです。結果は、スペインの一自治州にまで貶められたカタルーニャの代表が、3:1で圧勝しました。今回はマドリードとアウェイにも関わらず、精密なパスサッカーを展開、レアルのエースストライカーのクリスチャン・ロナウドの不調も加わり、危なげない勝利を収めました。後半の10分とロスタイムはレアルはボールを取ることもできない、完全勝利でした。欧州でサッカーが盛り上がるのは、階級社会と地域の血で血を洗う歴史が背景にあるためだと思っています。その点、Jリーグは陰影を欠くと言えますが、平和なサッカーもまた良しではありませんか。

 さてバイオです。

 iPS細胞から血小板の誘導に成功と昨夜のNHKニュースが火をつけ、朝刊各紙も報道しております。このメールや個の医療メールでも再三申し上げましたが、安全性を考えると、移植する細胞数が少ない方からiPS細胞から分化した細胞の実用化は進むと考えています。副作用の懸念をその分減少できるからです。現在、神戸の理化学研究所が2013年に臨床研究を目指している網膜色素上皮細胞や血球細胞は極めて有望なターゲットになります。今回、京都大学iPS細胞研究所の研究チームが開発に成功した血小板も極めて有望でしょう。理由は、赤血球などに比べて少数の輸血で止血効果という臨床効果が期待できる点と、iPS細胞の潜在的なリスクの一つである抗原性(ヒトES細胞は他人の細胞なのでそれよりははるかにリスクは低いが、完全に無いわけではない)を評価することができる点です。
http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/111212-111430.html

 後者に関しては、がん化学療法などで全身状態が悪化、血小板数が減少すると、消化管出血などが引き起こされます。これを止血するために血液型(血小板)がほぼ一致した血小板の輸血が行われますが、この供給が必ずしも十分ではない状況にあります。しかも、血液型を合わせても、血小板に対する自己抗体やヒトリンパ球抗原(HLA)に対する自己抗体が発生し、効果がなくなる場合も多々あるのです(血小板輸血不応状態)。抗原性に関しては、この他家の血小板輸血の抗原性と比べて、自家のiPS細胞やiPS細胞バンクから分化誘導した血小板の抗原性を比較すれば、抗原性の大小を証明できると考えています。iPS細胞やヒトES細胞の効果効能を議論する時に、しばしばきちっとしたコントロール(治療法や細胞)を設定せずに、議論する文学性に富んだ発表や報道が多く、混乱を生んでいます。

 はたして、iPS細胞は臨床に貢献できるのか?この納税者の問いに、きっちっと科学的な臨床データで答える段階に入ったと考えています。いよいよiPS細胞研究の臨床iPS細胞研究やトランスレーショナルiPS細胞研究が必要なところまで、発展してきたと言えるでしょう。

 そんなことを考えならが京都大学iPS細胞研究所のホームページにアクセスしたら、2011年12月1日になんと京都大学医学部付属病院にiPS細胞臨床開発部を開設と書いてありました。これを主催する平家先生、ぜひとも取材させていただければ幸いです。東京大学医学部付属病院にも今年、ゲノム医学センターが開設されました。2011年はゲノムとiPS細胞の21世紀をけん引する技術革新が日本の病院にまで波及した年と記録されるはずです。
http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/111118-160015.html
http://www.h.u-tokyo.ac.jp/patient/depts/ri_genomu/index.html

 今週も、皆さんどうぞお元気で。

             日経バイオテクONLINE Webmaster 宮田 満

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