柏レイソルがJ1昇格してすぐにJ1で優勝するという快挙を成し遂げました。普通はJ1に定着するのに汲々とするのが昇格チームの常ですが、復活した北島選手をはじめ、選手とスタッフの頑張りと、監督の勝ちに拘る采配のが結実しました。柏市は福島原発事故のホットスポットが判明され、市民の数が純減するという異常事態に直面しておりますが、今回の優勝は市民を元気付ける何よりもの、お歳暮となりました。

 まるでサッカーのような熱狂的な声援がテニスで唯一許されるのが、国別対抗戦。男子のデビスカップの最終戦は昨日の深夜までもつれ込みました。結局怪物ナダルがアルゼンチンの若きエース、デルポトロを撃破、スペインに勝利をもたらしました。第一セットは1:6と身長が2m近いデルポトロが上から打ち込むフォアに苦しむものの、その後、3セットを連取。第4セットはデルポトロも死力を奮い、6:6に追いついたものの、タイブレイクでは7:0で1点も許さず、試合を制しました。本当に怪物。メンタルもフィジカルも怪物です。ウィナーでは圧倒的にナダルを圧倒していたデルポトロのメンタルを破壊してしまいました。まったくテニスは嫌なスポーツです。フィジカルもメンタルも両方で優っている選手が、必ず勝利する。サッカー見たいに、ラッキーゴールがないのが厳しいところです。

 さて、バイオです。先週の次世代シーケンサーのセミナーには大勢の読者にお越しいただき、大変ありがとうございました。関連記事も下記でアクセスできます。結論は極めて明確でした。今や次世代シーケンサーの能力の向上と解析価格の下落によって、ここ数年以内には間違いなく1000ドルゲノムは実現する。しかも、今年相次いで投入さらたパーソナル次世代ゲノムシーケンサーの登場で、操作と解析の自動化が進み、分子生物学の知識を欠く研究者にも、簡単に1Gバイト以上のゲノム解読と突然変異などの解析が可能になりつつある。この結果、大規模なゲノムセンターで究明された疾患関連遺伝子や疾患関連変異などの情報を、医療や環境などの現場で役に立てるインフラが整いつつある。つまり、次世代ゲノムシーケンサーの大衆化によって、いよいよゲノム情報を産業化する時代がやってきたということです。次世代ゲノム解析のトランスレーショナル・リサーチを真剣に取り組む必要があります。今まで膨大な国費を投入して進めてきたゲノム研究の成果を納税者にお返ししなくてはななりません。

 恒例のセミナーの最後のパネルディスカッション終了後、なかなかパネリストがステージを去らず、輪になって議論していたのが印象的でした。争点は、パネリストの2名の医師が、感染症ゲノムの研究者に何とか、すぐに患者さんの臨床検体の感染菌を突き止めるために、次世代シーケンサーの解析システムを利用させて欲しいという懇請でした。煩雑な菌培養の手間が省け、迅速検査が可能で、検出感度も高い次世代シーケンサーをすぐにも使いたいという鼻息でした。実際にはまだ、阪大微生物病研究所など、次世代シーケンサーを感染症の検出システムとして稼動し、ノウハウもデータベースも充実している機関は我が国ではまだ少なく、こうした研究の成果をどうやって日本中の病院で使えるようにするのか?実現できれば無駄な抗生物質の投与を避けられるなど、患者にとっても、高騰する医療費対策としても福音となることは必然です。問題は、ゲノムシーケンスのような検査業務をどうやって、我が国の国民皆保険制度の中に取り込むか?です。今までの1つの遺伝子検査料が、ほぼ一律2万円で定まっている現在の制度では、16SのリボソームRNAや臨床試料の全遺伝子解析は多数の遺伝子解析検査となり、膨大な値段が付いてしまいます。ここは知恵の絞りどころです。多数の遺伝子を一括検査する、たとえば感染菌・ウイルスの包括的検査とか16Sリボソーム解析という診療報酬項目を立てることを是非とも検討していただきたい。しかも、試薬や解析装置は限定せずに項目を設定する必要があります。今や半導体の集積度を示すムーアの法則以上のスピードで解析コストが下落している次世代シーケンサーは今後も急速に発展、今月には我が国で最初の第三世代のゲノムシーケンサーが東大医学部に納入されることが決まっているほどです。ここで解析技術に限定をかけると、診療報酬がゲノムシーケンスの技術突破の実用化にブレーキをかけることになりかねません。

 確かに1000ドルゲノムは実現しそうですが、実はゲノム情報を解読し、臨床的な診断に繋げるためにはバイオインフォマティックスが必要です。全世界で猛烈な勢いでゲノム情報と臨床情報が蓄積されつつあり、ゲノム情報の解析コストは鰻上りに上昇することは避けられません。1000ドルゲノムが実現した時に、1万ドルがゲノム情報の解析に必要になりそうで、まったくしゃれにならない状況です。

 師走でばたばたしている読者も多いでしょうが、何とかこの年の瀬を乗り切りましょう。皆さん、お元気で。

         日経バイオテクONLINE Webmaster 宮田 満

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