さてバイオです。

 JSTでの打ち合わせを完了、現在千葉県野田市の東京理科大学野田キャンパスで開催されている第39回構造活性相関シンポジウムに出席しています。標的たんぱく質を遺伝子操作で大量生産できた結果、裸のたんぱく質が中心ですが、X線結晶解析や核磁気共鳴による構造の特定と、その立体座標に基づき、たんぱく質の機能解析やそのたんぱく質の阻害剤開発などが、急速に発展しています。先週のメールでも申し上げましたが、ますますバイオテクノロジーと計算機の発展は密接になっています。そろそろ研究や実用化の律速が、バイオではなく、計算機能力にシフトする予感もしております。「何故、一番じゃなきゃ駄目なのですか?」という世紀の愚問で歴史に名を残しちゃった政治家も含め、次の作動原理による革新的なコンピュータの研究投資はきちっと行わなくてはなりません。ただし、今の京の先にはもう余り未来は残っていません。新しい作動原理に投資することが肝要です。

 ところで、今年は12月20日に上場を予定している抗体開発バイオベンチャー企業、カイオム・バイオサイエンスを含め、合計5社の上場が行われました。私が知る限り、年間5社のバイオベンチャー企業の上場は、04年の4社上場の記録を塗り替え、我が国の開闢以来の快挙であるともいえるだろうと思います。ラクオリア創薬、スリー・ディ・マトリックス、メビオファーマ、シンバイオの4社がすでに今年上場を果たしています。

 しかし、スリー・ディ・マトリックスを除き、上場した企業3社の株価は暴落しております。上場して投資した株主に結局は損をさせている構造です。一度も公開後、株価が公募価格を上回らないようでは、株主にとってなんらバイオベンチャー企業に投資する価値はありません。公募価格の設定を含めて、創業者やベンチャーキャピタルのエゴイズム過剰症は、上場したもののバイオベンチャーの追加資金調達の道を閉ざし、我が国のバイオ産業に悪影響を残すものです。減資すら認めないベンチャーキャピタルも1社いると聞いており、余りエゴイズムを振り回すと、結局資金回収にも失敗する可能性があることを忘れてはなりません。強欲がベンチャーのエンジンだと誤解している向きは、バブルが終わった今、もう反省しなくてはならないと思います。

 では、何故、2011年は5社もバイオベンチャーの上場が実現したのか?

 これは東京証券取引所と大阪証券取引所の大合併を2013年に控え、それぞれの傘下にあるマザーズとJASDAQが、上場の実績を残し、合併後の主導権争いで有利に立とうという、競争の結果であると分析しています。特に、今回の上場5社中、3社はJASDAQであり、同市場の積極性が光っています。いろいろ言う方もいますが、私はこれは市場同士の健全な競争の結果であると歓迎しています。

 バイオベンチャー企業にとって、しこっていた上場を成す最大のチャンスがやってまいりました。ただし、公募価格の設定には是非とも節度を持って取組み、持続的な成長を目指していただきたいと望んでいます。

 心配なのは、2013年以降、東京と大阪の証券取引所の統合後に、健全な競争が無くなり、市場が上場のリスクを取らなくなる可能性です。まあ、こうなったら硬直した官僚的な我が国の市場を捨て、シンガポールや米国、中国に資金調達を求めざるを得ないでしょう。しかし、日本政府が膨大な研究費を投入した成果を海外の投資家に分かち合うのは余りに寛容な態度だと思います、資本だけならともかく、本社や研究所までシンガポールに流出するようなら、我が国が知識資本主義で国際競争する基盤が歯槽膿漏のように朽ちてしまいます。我が国でもリスクのある投資に対して、減税などの優遇措置を早急に設定しなくてはなりません。

 本日午前中の号外でもお願いいたしましたが、明日午前12時に以下のセミナーを閉め切ります。まだの方はぜひとももう一度ご検討願います。

 11月30日午後、品川でセミナーを開催いたします。かなり席が少なくなってまいりました。今回は医療を次世代シーケンサーの大衆化がどう変えるのか?
を議論します。

 これはまさに、皆さんにとって今そこにあるビジネスチャンスだと思います。
 どうぞ下記から詳細にアクセスの上、お早目にご登録願います。
http://nbt.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/111130/index.html

 今週も、お元気で。

             日経バイオテクONLINE Webmaster 宮田 満

ご連絡は、https://bio.nikkeibp.co.jp/inquiry/