今週は、金曜日(6月25日)夜に発行・公開する予定の「BTJジャーナル」2010年6月号の編集作業を進めております。

 全体で16ページ構成のうち、5月の徳島の日本栄養・食糧学会の関連記事を8ページに渡り、掲載する予定です。

 BTJジャーナルは、PDFファイルをダウンロードすると全文をご覧いただけます。ぜひお楽しみください。

※BTJジャーナルのダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html

 金曜日(6月25日)21時ごろになると、2010年6月号のデータが新たに加わる予定です。

 5月21~23日に徳島で開かれた日本栄養・食糧学会の第64回大会は、食品分野を精力的に取材しているフリーランス・編集者の松岡真理さんと、日経BP社バイオ部編集の河田とが、現地取材しました。

 今年の大会関連で既に22本ほど、記事で報じておりますが、このうち8本くらいの記事を、BTJジャーナル2010年6月号に掲載する予定です。

 さて、ここ2週間の話題に話を進めさせていただきますと、先週後半は、沖縄コンベンションセンターで6月16~18日に開催された、日本トキシコロジー学会の第37回学術年会を取材しました。

 肝臓と心臓に対する毒性評価のセッション、発表がとても目立ちました。

※BTJ/日経バイオテク・オンラインの日本トキシコロジー学会関連記事

慢性房室ブロック(AVB)サルモデルで催不整脈作用を評価、イナリサーチがトキシコロジー学会で発表
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010062474370

日本トキシコロジー学会が英略称をJSTからJOSTに変更、日本名は「日本毒性学会」への変更を検討、新たに賞を2つ創設
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010061874274

厚労省のトキシコゲノミクスプロジェクトがトキシコロジー学会で15件発表、第2期に入り成果発表が急増
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010061874247

「薬物投与によるmiRNA量の変動はよく見られるが、mRNA量に比べれば変動幅は小さいようだ」、日本トキシコロジー学会のWSで座長同士が同感を表明
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010061774218

「miRNAの毒性学における役割」、日本トキシコロジー学会で初のセッション、肝毒性マーカーで注目発表相次ぐ
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010061774210

第37回日本トキシコロジー学会が沖縄で開幕、シンポジウム1は「毒性オミクス」
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010061674205

 日経バイオテク・オンラインの記事全文をお読みいただくには、日経バイオテク本誌の読者になっていただく必要があります。日経バイオテク本誌のお申し込みは、以下からお願いします。
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 このトキシコロジー学会では、3日目の6月18日の午後に、市民公開セミナー「くすりと健康を考える」が開催され、会場が一般市民で賑わいました。

 この市民公開セミナーでは、2番目のスピーカーとして、学会の理事長を今年から務めている昭和大学薬学部の吉田武美教授が、「くすりと毒」と題して講演なさいました。

 「毒性はすべて、量で決まる。物質そのものが毒物質ということはない」ということを、砒素やカドミウムの研究者としてもよく知られている吉田教授は強調なさってました。

 食べ物でいうと「食べ過ぎ」という表現が、これと関係しているように思います。「食べ過ぎても心配いりません」のような表現もよく耳にしますが、そもそも「過ぎ」というのは、好ましいレベルを超えていることを意味しているので、「食べ過ぎ」=「なんらかの懸念が増す」ということではないかと思います。

 吉田教授は同学会がまとまったセッションとして取り上げるのは初めてという「マイクロRNA(miRNA)の毒性学における役割」の座長も務められていました。上記記事リストの上から4番目と5番目が、このセッションの記事です。毒性学にといてmiRNAの解析が急速に進みつつあることを知りました。

 次いでDNAのメチル化やヒストンのメチル化、アセチル化といったエピジェネティクスを解析する毒性評価も、今後ますます広まっていきそうです。

 トキシコロジー学会では、PPARγのリガンドとしての評価も、毒性との関係が研究の対象です。

 食べ物の健康効果を調べる指標と、毒性を調べる指標とは、ほぼ同じといえるのです。

 この指標の変化を把握したデータを見て、それが効果を意味しているのか、毒性を意味しているのかは、データを見る方の立場・見方によって、まったく逆方向になることもあります。

 効果と毒性との間で、大きな違いがあるといえるのは、エビデンスとの兼ね合いではと思います。

 効果のほうは、試験管内の実験や動物の実験で、好ましい作用が見られても、さて、ヒトにおけるエビデンスはどうか、ヒトの個人差とどんな関係があるのか、が常に問われることになります。

 一方、毒性のほうは、試験管内でも動物でも、毒性の懸念のデータが発表されると、それを打ち消すのは至難です。効果とは違って、毒性は、ヒトの介入試験の目的にはなりえません。不幸な事件を疫学などで後から検証することで分かってくる性質のものです。

 研究の結果分かった新たな知見を、論文などで発表するのを目的とするアカデミアの研究のテーマとしては、効果よりも、毒性の方が、魅力的でしょう。

 よく「科学的に安全性を検証」と一言でいいますが、たいへんなことです。高価な機器・試薬を使った従来にない高性能・高精度は分析技術が登場すれば、安全性の懸念を示すデータの量は、幾何級数的に増えていきます。火消しはとても間に合わないのです。

 食べ物など、一般市民に身近な存在のものだと、さらに、「安全」に加え、「安心」というものも大切になります。

 「安心」の確保は、科学の対象としては、「安全」の確保以上に、大きな困難を伴います。

 先週土曜日に仙台で開かれた「科学・技術ミーティングin仙台」では、総合科学技術会議の相澤益男委員が、科学技術基本計画の第4期計画についてどのような議論が進んでいるかを紹介しましたが、「安全と安心」から「安心」をはずすことにした、とコメントしました。無理もない、まさに適切な判断と感じました。

※BTJ/日経バイオテク・オンラインの記事

内閣府が「科学・技術ミーティング」の第2回を仙台で開催、研究の多様性とアウトリーチに議論集中
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010062274332

 国民の税金をつぎ込んで進められる科学技術の研究成果を、国民生活の向上に生かしていくというのは、なかなか大変なことです。

 市民団体の代表がメンバーとなっている消費者庁の「健康食品の表示に関する検討会」の議論を聞くと、日本が世界に誇ってきた機能性食品の研究は、今後どうなってしまうのか、とても心配です。

 国がびしっと一線を決めないと、なんとも前に進みようがありません。

 メール原稿の締め切り時間になりました。先々週の週末に盛岡で開かれた日本ビタミン学会の記事も、お楽しみください。

※BTJ/日経バイオテク・オンラインの日本ビタミン学会関連の記事

日本ビタミン学会が「国民の健康増進に寄与」を目的に追加、協会ともども7月末に事務局を京大会館から移転
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010061474106

奈良女子大の井上裕康教授ら、レモングラス精油はPPARγ依存でCOX2の発現を抑制、sirtuinアッセイのPfizer社vs.GSK社の話題も
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010061274099

遺伝子多型を活用した骨質劣化型骨粗鬆症のテーラーメード治療が成果、日本骨粗鬆症学会で指針書を出版へ
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010061174094

鈴木梅太郎氏ゆかりの盛岡で日本ビタミン学会第62回大会が開幕、コンセプトは「次代を担う若手ビタミン研究者の積極的な育成」
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010061174076

 最後の最後に、ここ2週間ほどの機能性食品関連のBTJ/日経バイオテク・オンラインの記事と、■記事補足■を、紹介させていただます。機能性食品関連の取材にも注力しているフリーランス・編集者の松岡真理さんの記事もお楽しみください。

◆「BTJ/日経バイオテク」より◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
       機能性食品分野のバイオテクノロジー関連記事(直近2週間分です)
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慢性房室ブロック(AVB)サルモデルで催不整脈作用を評価、イナリサーチがトキシコロジー学会で発表
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010062474370
■相次ぐ新薬の発売中止によりクローズアップされたこの評価ポイントは、健康食品でも必要という記事は5年前に報じました■

ワイン酵母で臭みのない大豆まるごとヨーグルト、山梨大の柳田藤寿教授が「大学は美味しい!!」で酵母を講義
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010062274339
■酵母、発酵食品の力は偉大です■

「世界の注目研究領域647のうち、日本の参戦はわずか4割」、文科省NISTEPが「サイエンスマップ2008」で解析
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010062274337
■発展する研究領域は、研究の計画・方向性の決定に参考になります■

続報、日本の論文数は微増ほぼ横ばい、米Thomson Reuters社が「Global Research Report Japan」を発表
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010062174301
■論文データベースの本家本元から、日本の最新データが発表になりました■

日本トキシコロジー学会が英略称をJSTからJOSTに変更、日本名は「日本毒性学会」への変更を検討、新たに賞を2つ創設
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010061874274
■日本トキシコロジー学会の進化・発展には目覚しいものがあります■

「薬物投与によるmiRNA量の変動はよく見られるが、mRNA量に比べれば変動幅は小さいようだ」、日本トキシコロジー学会のWSで座長同士が同感を表明
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010061774218
■ヒトにはおよそ1000のmiRNAがあり、全遺伝子の3割くらいの制御に関係している
ようです■

「miRNAの毒性学における役割」、日本トキシコロジー学会で初のセッション、肝毒性マーカーで注目発表相次ぐ
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010061774210
■肝毒性も、心毒性も、ミトコンドリア毒性がキーワードです■

第37回日本トキシコロジー学会が沖縄で開幕、シンポジウム1は「毒性オミクス」
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010061674205
■毒性研究ではオミクスが急速に発展しています■

続報、大阪市大の梶本修身教授がイミダペプチド戦略に言及、「市場に支持されるには第3者機関を設け自主基準を望む」
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010061574181
■今週末に大阪で開かれている日本疲労学会でも、成果が発表になります■

日本の論文数はここ3年で4%増えたが論文シェアは1ポイント低下、本日閣議決定された文科省の科学技術白書に折れ線グラフ掲載
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010061574168
■科学技術白書は、少し遅れて、ウェブで公開になりますが、印刷代・インク代を考えると、印刷物を買ったほうが手軽な気がします■

日本ビタミン学会が「国民の健康増進に寄与」を目的に追加、協会ともども7月末に事務局を京大会館から移転
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010061474106
■学会も、国民目線への対応が進んでいます■

奈良女子大の井上裕康教授ら、レモングラス精油はPPARγ依存でCOX2の発現を抑制、sirtuinアッセイのPfizer社vs.GSK社の話題も
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010061274099
■最先端のアッセイ法というのは、なかなか難しい問題を含んでいるのですね■

「パテントスコア」特許保有のパテント・リザルト、特許価値分析ツールの米国特許版を夏に発表へ
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010061174095
■論文に続き、特許でも、成果の客観的評価の手法が確立されてきました■

遺伝子多型を活用した骨質劣化型骨粗鬆症のテーラーメード治療が成果、日本骨粗鬆症学会で指針書を出版へ
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010061174094
■ビタミン研究では、テーラーメードは必須アイテムといえます■

鈴木梅太郎氏ゆかりの盛岡で日本ビタミン学会第62回大会が開幕、コンセプトは「次代を担う若手ビタミン研究者の積極的な育成」
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010061174076
■ビタミン研究の深耕は、今後も新たな発見を生み出しそうです■