皆さん、お元気ですか?
 
 本日、いよいよピョンヤンでの日本vs北朝鮮戦が行われます。まだ、拉致問題も関係していないのに、サッカーとは違和感を覚えますが、隣国との交流のパイプは多ければ多いほどよいのもまた事実です。昨夜は入国に時間がかかるなど前途に暗雲はだだよっておりますが、北朝鮮初のスポーツの生中継をハイビジョンで放映するということに意味を感じております。ソ連の崩壊もグラスノスチ(情報公開)がきっかけでした。国内では今回の中継を見られる国民は少ないでしょうが、この蟻の一穴がお隣の国民の幸せに繋がることを夢見ています。チームも初勝利を目指し健闘願います。

 さて、ここのところ毎月、ノンコーディングRNA(ncRNA)の機能解明が発表されています。2011年10月14日のCell誌でも4つの論文が一挙に掲載され、Competing Endogenous RNA(ceRNA)の機能がほぼ存在することが認められました。われわれのゲノムには偽遺伝子といって、ゲノム配列は似ているのですが、たんぱく質をコードしていない遺伝子群が山の様にあります。この偽遺伝子から転写されたRNAががん抑制遺伝子のPTENを制御するmiRNAを、PTENのmRNAと奪い合うことによって、PTENの翻訳が制御されていました。実際にはPTENPという偽遺伝子を欠失すると、がん化することから発見されました。PTENはがん抑制遺伝子であり、PI3キナーゼのシグナルがAKTに伝達する過程を阻害する脱リン酸化酵素でもあります。PTENPが発現しなくなると、PTENPに結合していたmiRNAがPTENのmRNAと結合して、PTENたんぱく質の生産を抑制してしまうのです。その結果、リン酸化が進み、がん化することが分かったのです。

 筋肉の遺伝子発現に関係する転写調節因子(MEF2CとMAML1)もそれぞれmiR-135とmiR-133によって通常は翻訳が抑制されていますが、linc-MDと名付けられた長いncRNAが発現するとmiR-135とmiR-133を競合的に結合してしまうため、miRNAによる遺伝子翻訳の抑制が解除され、筋肉の分化が進むことも分かってきました。

 この他、細胞内のRNAの分解複合体との結合を、マコリンという遺伝子mRNAとその偽遺伝子のRNAが奪い合い、翻訳の制御を行っていることも、2003年に日本のグループが報告しており、miRNAだけでなく、RNA分子の代謝や移送、構造形成などに関与するたんぱく質や機能性RNAを偽遺伝子と遺伝子が奪い合う拮抗関係で、遺伝子の翻訳が調整されている機構が明らかになってきました。
http://www.cell.com/issue?pii=S0092-8674(11)X0021-1

 DNAチップによる遺伝子発現プロファイリングと細胞内のたんぱく質の存在がまったく相関しないことが、20年前に分かってびっくりしたものですが、こんなに複雑にncRNAが発現制御しているのなら相関しない理由も良く説明できるのではないでしょうか?

 ゲノムのエピジェネティクス制御や細胞なの機能性たんぱく質複合体形成の足場形成などにも、ncRNAが貢献していることが明確になりつつあります。ncRNAの研究は当面、教科書をどんどん書き換える勢いを続けると思っています。若手研究者はここに殺到しなくてはなりません。

 さて、先週の日本人類遺伝学会でも世界第大ののゲノム解析企業、中国BGI社がデビューしました。創薬や個の医療に関しても次世代シーケンサーの貢献は無視できなくなりました。臨床試験のDNAサンプルも近い将来、全ゲノム解析する時代がやってきます。これから次世代シーケンサーも、高度化と同時に診断機器として普及するための大衆化が既に始まっています。今や新薬開発や個の医療サービスに貢献が始まった、次世代シーケンサの新展開を、皆さんと議論したいと考えています。

 11月30日午後、品川でセミナーを開催いたします。かなり席が少なくなってまいりました。今回は医療を次世代シーケンサーの大衆化がどう変えるのか?を議論します。

 これはまさに、皆さんにとって今そこにあるビジネスチャンスです。
 どうぞ下記から詳細にアクセスの上、お早目にご登録願います。
http://nbt.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/111130/index.html

 今月もどうぞお元気で。

      日経バイオテクオンラインWebmaster 宮田 満