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  ちゃんとGreen Innovationしたい!
                  ネオ・モルガン研究所 藤田朋宏社長
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 バイオ業界の隅っこで微生物の育種と言う地味な(でも、今後必ずその重要性が高まるであろうと信じている)仕事をしている藤田と申します。今回からこのような場で連載の機会をいただきました。せっかくこのような機会を与えてもらえるのであれば「今のままでは、日本のGreen Innovationは産業として発展する前にダメになっちゃいますよ!!」と日頃感じている危機感を、勇気を出して発言してみようと思います。

 日本中の数多くの研究者が、いわゆるGreen Innovation関連の技術を高めるために日夜努力されているのにもかかわらず、このままではごく一部の「ちゃんとしていない」人達のせいで、効率よく産業が興らない程度ならまだしも、産業が興らずに途中で萎えてしまうことを最近の私は危惧しています。この業界は、地球と人類のためをって地道に日々努力されている方が圧倒的に多いだけに、ごく一部のちゃんとしていない人達の存在がとても残念な状況を引き起こしてしまいそうなのは見るに耐えません。

 私個人は「ちゃんとしている」という形容詞がまったく当てはまらないような研究者でも科学者でもない中途半端な立場の人間ですので、私の口から「ちゃんとしましょう」と言うなんておこがましいにも程があるのですが、それでもこのような機会にささやかながら声を上げたいと思います。

 まずは、今回の連載で私が訴えたい「ちゃんとしてない」状況とはどういうことか、幾つかの「ちゃんとしていない」パターンをあげて、この業界が直面している深刻な課題を皆さんと共有することから連載を始めたいと思います。

 今回は、初回ということもあり一番わかり易い「ちゃんとしてない」パターンを皆さんと共有したいと思います。それは、そもそもどんなに研究開発を進めても絶対に不可能な目標を掲げてしまっているパターンです。例えば「公表しているバイオ燃料の単位面積あたりの生産量が、同面積に照射される太陽エネルギー量を超えている」といった場合がこれにあたります。

 言うまでもありませんが、どんなに研究開発を進めてもこの目標を達成することは絶対に不可能です(というと、文系の方に「研究開発に、絶対は無いでしょ」とか「藤田さんが想像つかないような技術を持っている可能性もあるのでは?」などと言われることがあるのですが、この手の話には「絶対に」とつけることに躊躇しませんよね)。

 今回は、こういった類のプロジェクトを「絶対無理パターン」と名付けたいと思います。このパターンの特徴としては、物理学の基本法則であるエネルギー保存の法則を無視していることが多いことが特徴としてあげられます。

 まともな研究者が関わっているプロジェクトで、「絶対無理パターン」のプロジェクトがあるのかと思われる方も多いかもしれませんが、どういうわけか「絶対無理パターン」に属する計画が意外と少なくないのが、現在のこの業界の大きな課題だと思っています。「そういうプロジェクトはどうせダメになるのだから無視すれば良いんだよ」と人生の先輩方に言われることも多いですし、現実的には無視することしかできないのですが、どういうわけかこの手の「絶対無理パターン」のプロジェクトを、マスコミや投資家や政治家などのさまざまな立場の方々が群がって盛り上げてしまっている例を少なからず見ます。

 こういったプロジェクトが、数年後にどうなっていくのか、他人事ながらゾッとします。ゾッとするだけでなく、これらのプロジェクトが与える社会的な不信感が、業界全体に対する不信感に変わり、正しい研究開発に対する投資までなくなってしまう結果になるだろうと思うと、残念でなりません。

 次回は、2つ目の「ちゃんとしていないパターン」である「まだできてないのにパターン」について書きたいと思います。