まず、皆さんにお知らせです。是非ともご参加願います。

 11月30日に「1Gシーケンスの挑戦、ゲノムの新たな地平へ」と銘打って、セミナーを開催いたします。企画した本人が言うのもなんですが、この大げさなタイトルは決して誇張ではありません。次世代シーケンサーの技術革新によって、大衆化が始まりました。その結果、今まで専門的な研究機関のお家芸であった1ギガシーケンスがかなり後半な研究室や大学で可能となり、しかも、実際の応用も急速に拡大しております。今や、基礎研究だけでなく、病院にも大衆化した次世代シーケンサーが導入される時を迎えています。今回は最先端の次世代シーケンスとその大衆化をテーマに、オピニオンリーダーを招聘、皆さんと医学研究、創薬研究にどのようなインパクトを当てるか浮き彫りにしたいと考えております。下記のサイトをご参照の上、どうぞお早目にお申し込み願います。
http://nbt.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/111130/

 10月24日にビッグファーマの一角を占める米Abbott社が会社分割を発表、昨晩の製薬企業関係者の会食でも大きな話題となりました。かつて、このメールでも予測したことがありますが、ビッグファーマが買収によって成長する戦略に行き詰まりが見えてきました。2000年から2009年までの株主資本当たりの収益率は、どのビッグファーマも買収による売り上げを横軸にすると、どんどん下落しています。かつて米Pfizer社は2000年で40%も収益率がありましたが、今でも各社、買収再編で先行したフランスSanofi社の10%-15%に収れんしつつあります。買収によって重複した工場や管理部門をカット、コストダウンで収益を図るというビッグファーマの戦略は今や息も絶え絶えであったのです。今回のAbbott社の分社化は、こうした戦略がまさに転換期を迎えたことを示しています。最大の原因は、今までビッグファーマのブロックバスター戦略を牽引してきた米国市場の失速です。代わって、各社とも中進国市場に企業成長を賭けていますが、この医薬市場は当然のことながら、ハイテク型の米国とは大きく異なります。Abbott社の分社化は、まさにここに焦点を当てています。ブランドジェネリック、栄養関連商品、そして医療機器を中進国市場に投入して成長する企業と、あいも変わらず先端科学によって、先進国市場でギャンブルを繰り広げる新薬・バイオ医薬企業を分離したのです。両者の市場の収益性やビジネスモデルの違いを明確に捉えた戦略であると思います。さすがに同社CEOのMiles D.White氏はやり手だと、昨晩盛んに盛り上がりました。

 今回、同社が発表したプランでは、医療機器、診断薬、ブランドジェネリック、栄養関連商品の部門(売上220億ドル)をAbbott社として残し、研究開発に基づく新薬とバイオ医薬部門(売上180億ドル)を新会社として独立させました。同社はドル箱のバイオ医薬HUMIRAを新会社に移管します。米国の新聞などでは、盛んに他のまだ買収によって成長するモデルに固執するビッグファーマが高く買いそうだと報道されています。この会社分割の推移は注目に値するでしょう。
http://www.abbott.com/press-releases/2011-oct19-2.htm

 新薬開発と中進国市場向けの2つのまったく異なる機能を、我が国でも第一三共や武田薬品も企業買収によって一つの傘に収めました。一体、この二つの異なるビジネスモデルを1つの会社でマネージできるのか?Abbott社の悩みを共有せざるを得ないのです。実に深刻な問題を我が国のグローバル製薬企業は抱えてしまったのかも知れません。

 先ほどまで、ブレックファストミーティングで、デンマークのCenter for Biological Sequence AnalysisのSoren Brunakセンター長と取材をしていました。典型的なデンマーク人で気さくな教授です。本日午後からデンマーク大使館取材のセミナーでも講演する予定です。詳細は日経バイオテクONLINEに執筆しますが、今年の12月から中国のBGI社が欧州ゲノム解析センターをデンマークCopenhagenで始動させます。デンマークには大規模コホート研究が多数存在し、デンマーク政府はBGIと提携して、大規模コホートの全ゲノムシーケンスを開始すべく、プログラムを立案しております。

 そろそろそのセミナーの取材に行かなくてはなりません。続報は日経バイオテクONLINEか、このメールを期待願います。

 今週もどうぞお元気で。

            日経バイオテクONLINE Webmaster 宮田 満

ご連絡は、https://bio.nikkeibp.co.jp/inquiry/