こんにちは。日経バイオテク編集長の橋本です。

 先週はシンバイオ製薬、今週はスリー・ディー・マトリックスと、バイオベンチャー2社が相次いでJASDAQグロース市場に新規株式上場(IPO)をしました。ただ両社とも、上場初値は公開価格を割り込みました。今年のバイオベンチャーのIPOは、7月にTOKYO AIM市場に上場したメビオファーム、やはり7月にJASDAQグロース市場に上場したラクオリア創薬に続き、これで4社です。年4社の上場は、バイオベンチャーブームの03年、04年に並ぶ水準ですが、その当時は上場初値は必ずといっていいほど公開価格を上回っていました。それだけに、今年の4社という数字を手放しで喜んでいいとは全く思いません。

 ベンチャーキャピタルにすれば、2000年代初頭に創設したファンドの期限を控えているため、投資先が上場した機会をとらえて少しでも現金を回収しようとしているのかもしれません。しかし、バイオ株は必ず公開価格割れするというイメージが定着すると、続くバイオベンチャーの上場にも深刻な影響を与えかねません。

 とりわけ痛々しかったのがメビオファームです。東京AIMというプロ向けの株式市場に第一号の銘柄として上場したものの、既存の株主がこぞって売り注文を出したために上場から5営業日の間株価が付かず、参考価格の1200円に対して初値は286円でした(メビオファームは上場時に新規株式発行を行わなかったので、公開価格は存在せず、参考価格として提示されることになります)。その後も株価はずるずると下落し、直近の取引では90円となっています。

 メビオファームの株価がこれだけ大きく下落したのはAIMがプロ向けの特殊な市場だからです。「AIMは本来、上場企業が資金調達するための市場で、投資家が株式を売り買いするための市場ではない。買い手がいるわけもないのに株主が売り注文を出せば、株価が下がるのは当たり前だ。メビオファームの株主がああいうことをするから、もうAIMに上場する企業は出てこないのではないか」と、ある金融関係者は指摘します。バイオベンチャーをマネーゲームで翻弄するのはもういい加減にしてもらいたいところです。

 ただ、製薬企業などとの提携の話題を見ると、バイオベンチャーに対して少しは前向きの話題が増えてきていることを実感します。新しくバイオベンチャー向けのファンドの創設が検討されているという話題もちらほらと耳にします。大きな期待が肩透かしに終わった産業革新機構の例もあるので、これも諸手を挙げて歓迎とはいきませんが、大きく飛躍する可能性のあるベンチャーがきちんと育つ社会に向けて、関係者で少しずつ知恵を絞っていきたいものです。

 ベンチャーといえば、京都大学の山中伸弥教授、東京大学医科学研究所の中内啓光教授、江藤浩之准教授(現京都大学iPS細胞研究所教授)らの知的財産を持ち寄って設立されたバイオベンチャーの記事を本誌が特報しました。ぜひ、日経バイオテクONLINEでお読みください。

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                    日経バイオテク編集長 橋本宗明