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  バイオマスプラスチックの国内市場規模を考える

          バイオインダストリー協会 大島一史部長

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 我が国では2007年1月からポリ乳酸(PLA)の関税コードが決まり(“3907.70-000”)、財務省貿易統計で輸入量が公開される様になりました。これによれば07年の輸入量は5782トン(月平均≒480kg)で、通年平均、cif価格(関税前の港着価格)は¥230/kgでした。以後2008年には6213トン(月平均≒520kg)/¥222/kg、2009年には3666トン(月平均≒305kg)/¥186/kg、2010年には5,046トン(月平均≒421kg)/¥181/kgとなっています。

 09年に対前年比4割減となった要因は、NatureWorks(NW)社が生産設備を改造したためと伝えられていましたが、2010年の実績からは回復基調が窺えます。輸入に占める割合は「Ingeo」(NW社)が約90%強、中国からの「REVODE」(浙江海正生物材料社)が約8%程度を占めています(残りはオランダPurac社からの医療向け特殊用途品と推定されます)。最近の円高傾向もありますが、cif価格は当初¥230/kgであったのが昨今は約¥180/kgまでに下がってきており、競合樹脂であるポリスチレンやPET系資材との差異は僅少化していると言えましょう。

 我が国におけるバイオマスプラスチック(BP)系資材の市場規模については、多くが国による輸出入貿易統計値に計上されていないことから推定の域を出ません。最近になって日本バイオマス製品推進協議会(事務局:(社)日本有機資源協会内)による調査結果が公表されました。同協議会にはBPの事業者のみならず使用者が参加していることから、この調査結果が現時点で最も確実性の高い数値であるとすれば、2010年の市場規模として天然物系BPは酢酸セルロース(CA)を除いておおよそ8.6千トン前後(従ってCA込みでおおよそ10数万トン前後)、化学合成系BPはおおよそ6千トン強(80%以上がPLA)、およびバイオ合成系BPは数トンとされ、総計15万トン強の市場が見込まれています。

 民間調査機関による調査事例では、09年のBP市場はおおよそ1.4万トン、2010年には1.55千トンと見込まれ(いずれもCAは調査対象となっていない)とされ、上記協議会調査値と差異は無いと言えます。我が国の樹脂の市場規模はおおよそ1450万トン(“リーマン危機”前の“実力値”傾向 )ですから、BP市場はCAを含めた最大規模で見て1%強程度と見なすことができ、いまだ微々たる存在に過ぎません。

 今後のBP市場についての民間調査機関の見方は概ね以下の通りです。すなわち樹脂・コンパウンドの世界市場とメーカーの事業戦略の調査結果(2009年11月)によれば、08年の樹脂・コンパウンド世界市場は、09年には90%に落ち込み、2013年に110%程度までに回復するとされています。一方で、BPの08年世界市場は対前年比で+13.7%(数量)、および+12.5%(金額)と増大しており、EUと米国で拡大基調にあるものの、我が国では行政との連携がないこと、高価格、社会的認知度の低さを理由に今後は“微増傾向”が続くと指摘されています。また別の調査機関のまとめによれば、BP製内装部材に積極的であった自動車メーカーは、自動車需要の落ち込みから環境性とコスト削減の両立を迫られており(2010年3月)、一方BPおよび生分解性プラスチック製フィルムの国内市場は、50億円(2010年)⇒62億円(2011年見込み)と推定され、24%の拡大としています(BP製フィルムの主用途は食品容器包装材、BdP製フィルムの主用途はマルチフィルム:2011年4月26日)。

 BP市場は、微増ではあっても着実な拡大は見せておりますが、その歩みは国の基本戦略の期待と比べると物足りません。普及を願う立場からは枯渇性資源節約と環境負荷低減に貢献する資材であることから国の継続的なてこ入れを望みます。