こんにちは。水曜日を担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。
 本日の日経バイオテク・オンラインで幾つか紹介させていただきましたが、再生医療で幾つか進展がありました。
鼻変形の再生医療、東大が臨床研究を開始、世界で初めて細胞とプラスチックの複合材料を使用
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2008/1563/
メディパルHD、JCRの細胞医薬開発を支援、研究開発費を負担
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2008/1571/
 東京大学の高戸教授のプロジェクトは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトが始まった当初から、何度か取材してきました。三次元の大きな組織を作り出して再生医療に利用することを目指したプロジェクトで、東京女子医科大学の岡野光男教授らのグループが進めている「細胞シート工学」を利用した再生医療とは全くコンセプトが異なります。形成外科や口腔外科の領域では既に人工骨や人工関節などが既に実用化されており、そこに再生医療のコンセプトを持ち込んだ場合に、どのようなメリットが得られるかが1つの課題と言えます。長年かけて開発してきた鼻の変形の治療に用いる再生軟骨の有用性は、これから臨床研究で確認されることになりますが、ものづくりの技術を生かせる分野だけにその行方が注目されます。
 日本ケミカルリサーチ(JCR)の話題は、再生医療が本格化した場合に、どういう業態がその担い手になるのかを考えさせられます。JCRは、間葉系幹細胞を用いた造血幹細胞移植時の移植片対宿主病(GVHD)の抑制を対象とする細胞医薬品を米Osiris Therapeutics社から導入し、開発してきました。再生医療分野には大手製薬企業の中にも投資しているところはありますが、製薬企業の中には「医薬品の事業とはビジネスモデルが違う」と考えるヒトの方が多いのではないでしょうか。JCRの細胞医薬品は他家の細胞を用いるので、自家細胞を用いる場合と違って患者から細胞を採取する必要はありませんが、それでも配送時の手間が通常の医薬品とは格段に違うことは容易に想像が付きます。製品の流通は卸に任せてきた製薬企業ではなく、卸事業者が乗り出してきたのは、その部分を自社でコントロールできるからなのだと思います。
 ところで、話題は変わりますが、バイオインフォビジョンというバイオベンチャーが行っている遺伝子検査サービスについて、先日取材してきました。アイスランドのかの有名なゲノムカンパニーであるdeCODE genetics社と提携して、同社の一塩基多型に基づく遺伝子検査サービスを日本で展開している会社です。今年2月3日にサービスを開始しましたが(23年2月3日で、ヒトの染色体の日だそうです)、8月に価格を30万円台から10万円台にまで下げたところ、人間ドックなどからの引き合いが増え始めたそうです。単一遺伝子疾患ではなく、環境要因の影響も受けるいわゆるコモンディジーズについて、遺伝子検査の結果だけから何が言えるのかという声も聞こえてきそうですが、deCODE社が科学的なデータに基づいたサービスを提供しているのは確かです。日経バイオテク・オンラインに既に記事を掲載していますので、ご購読いただいている方はこちらもお読みください。
deCODE社の遺伝子検査を日本で展開するバイオインフォビジョン、検査価格引下げで引き合い増加
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2008/1562/
 少し前にタカラバイオがヒトの全ゲノム解析を170万円で開始したという話題がありましたが、「大量発注の場合なら、既に1人当たり100万円以下でヒトの全ゲノムを解析してくれるところも出てきている」という声も聞きます。ゲノムや遺伝子というものがより多くの人にとって身近なものになりつつあるのは間違いないと思います。
タカラバイオ、6月からヒト全ゲノム解析サービスを開始、価格は170万円から
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/9239/
 本日はこのあたりで失礼します。
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                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
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科学技術振興機構(JST)A-STEPのフィージビリティスタディ(FS)ステージ、新規採択案件を「BTJジャーナル」2011年8月号で特集しました。
BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
アカデミア向けの有料サービス「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp
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 BTJジャーナル2011年8月号を先月末(8月25日)に発行・公開しました。BTJジャーナルは、全文を無料で読むことができます。ぜひご一読いただければと思います。
 最新号(2011年8月号)のダウンロードはこちらから。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html#btjj1108
 巻頭の“緑”コーナー「アカデミア・トピックス」では、大学などで生まれた研究成果の実用化を目指す研究開発フェーズを支援する科学技術振興機構(JST)のプログラムA-STEPを取り上げました。そのフィージビリティスタディ(FS)ステージの2011年度第1回公募分の採択課題が決定しました。競争率4倍の探索タイプは採択1181件のうち、バイオテクノロジーやライフサイエンスと関係が深い課題が6割を占めました。
 アグリ・バイオ分野は197件で、研究責任者の所属機関別で最も件数が多いのは8件の大阪府立大学と広島大学でした。一方、創薬分野では西高東低が目立ちました。この探索タイプに続き、シーズ顕在化タイプ119件と起業検証タイプ8件も決定しました。
この2タイプは競争率は6倍前後となりました。
 この記事は、以下のBTJ/日経バイオテク・オンラインの記事をもとにとりまとめました。BTJジャーナルの記事はどなたでも全文をご覧いただけます。しかもPDFマガジンですので、採択課題などを一覧表で見やすく掲載しています。
大学成果の技術移転を支援するJSTのA-STEP、FSステージ探索タイプ採択1181件の6割がバイオ・ライフ関連
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2008/0523/
JSTのA-STEP探索、アグリ・バイオ分野で多数採択は大阪府立大広大、東北大、名大、北大、慶大鶴岡、香川大、宮崎大
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2008/0525/
JSTのA-STEP探索の創薬分野は西高東低、多数採択は東北大、熊本大、金沢大、名市大、阪大、大阪市大、長崎大
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2008/0527/
1件800万円のA-STEP・FSステージ採択127件、最多は産総研7件と昭和電工4件
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2008/0976/
JSTのA-STEP・FSアグリ・バイオ25件、キノコで雪国と大塚、乳酸菌でゲンとニチニチ、リン脂質で日油とナガセ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2008/0977/
JSTのA-STEP・FS創薬は12件、プロジェクトリーダー企業は化血研と湧永、わかもと、大塚製薬など9社
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2008/1008/
※2011年8月号(第68号)のコンテンツを目次にて紹介します。
BTJジャーナル 2011年8月号(第68号)
●CONTENTS
JSTのA-STEP「FSステージ」、農水省BRAINのイノベーション創出、文科省NISTEPの
科学技術指標 
P.2 アカデミア・トピックス
大学の成果を実用化へ橋渡し
JSTのA-STEP「FSステージ」
P.9 リポート
BRAINイノベーション創出事業
55億円に17倍、仕分け影響も
P.11 キャリア
NISTEP「科学技術指標2011」
P.12 BTJアカデミック・ランキング
JST・A-STEP探索の創薬がトップ
P.14 広告索引