急に寒くなって体調を壊した読者も多いのではないでしょうか?
 今年の気候はジェットコースターのようです。皆さんもお気をつけ願います。さて、カダフィ大佐の軍事独裁が継続していたリビア政府の崩壊も迫ってまいりました。シリア政権に対する国際的な非難も高まり、軍事独裁長期世襲政権は極めて存続が困難な時代がやってきました。こうした民衆運動の背景には、勿論、欧米国家の後押しがあり、冷戦時代の対立構造が崩壊した今、こうした軍事独裁政権を支援するばねも無くなりました。中東の民主化がどこまで進むか?一番悩ましいのがサウジアラビア。民主化か?王制維持か?の選択は欧米の主導の中東の民主化が本物なのか?それとも大国のパワーゲームなのかを試す試金石となりそうです。
 ジャスミン革命とも呼ばれる中東と北アフリカ沿岸諸国の民主化運動のエンジンはフェースブックやリンクドインといったソーシャルネットワーク(SNS)やツイッターなどの新しいインターネットメディアでした。パソコンからスマートフォンにユーザーが拡大、ものの見事に民衆の新たな情報共有手段へと成長しました。英国で今月起こった暴動も背景には、こうした民衆の双方向の情報発信・受信力の拡大が背景にあります。情報を統制して、国家を運営するというスタイルはあっという間に通用しなくなってしまいました。既存のメディアの影響力もみるみるうちに低下しています。
 これからの世界は情報の一方的提供ではなく、双方向提供でしかも情報を受信した人々から支持される企業や政府が成功します。皆さんも私も、知らず知らずの内に、すべてが情報化する巨大な渦に投げ込まれて、ぐるぐる回っているのです。
 実は今月、バイオの世界でもSNSをめぐる暗闘がSNS大手のフェイスブックと製薬企業の間で繰り広げられました。欧米ではSNSを新薬などの宣伝手段に活用することが始まっています。米国食品医薬品局も今後、患者さんや医師と製薬企業を結ぶ重要なメディアとしてSNSを通じた医薬品の情報のガイドラインを検討中です。本当は昨年末に発表されるはずでしたが、まだ未公表です。規制環境はグレーゾーンですが、実態はどんどん進んでいたのです。
 先週、フェイスブックは医薬品企業が開設したページに寄せられた読者の書き込みを医薬品企業が選別したり、書き込みを許さない機能を許諾しないことを決定しました。米国の大手製薬企業Johnson & Johonson社や英国のAstraZeneca社は直ちにフェースブックで提供していた情報サイトの一部のページを閉鎖したと報道されています。
 今や急成長のフェースブックが、読者の書き込みによるCDC(コミュニティ・デライブド・コンテンツ)至上主義を取ることを鮮明にしたのです。これによって宣伝媒体として単純にSNSを使用していた製薬企業は、双方向情報提供が両刃の刃であることを痛感することになったのです。従来は削除できた、SNSに参加している読者から副作用や効果がなかったなどの書き込みを排除する権利が失われ、患者さんの体験に基づく耳の痛い意見の嵐に曝されることになったのです。SNSそのものがよって立つ精神から言えば、これは当りまえの処置といえるでしょう。
 新聞や雑誌、インターネットの広告などコントロール可能なメディアから制御不可能なメディアとどうやって共存し、いかに新鮮で正しい情報を流通し、育て、副作用なくその新薬の薬効を最大限に患者さんに届けるのか?製薬企業は大きな挑戦を受けていると考えています。
 現在、開発中のコンセンサスエンジンはこうした新しい双方向の情報流通における、新しい信頼あるメディアを創造しようという試みです。どうぞ下記からアクセスして見てください。現在のところ申し訳ないが、全部のコンテンツを読めるのは医師に制限しています。一歩一歩、進んで参りますのでどうぞご支援願います。
https://bioce.nikkeibp.co.jp/consensusengine/
https://bioce.nikkeibp.co.jp/breastcancer/
 CDCはなにもメディアだけではありません。今やバイオ研究も自前主義が行き詰まり、幅広くアカデミアやベンチャー、そして既存の企業との協業によって新薬が技術革新を展開する時代に突入いたしました。まさに、CDR(Community Derived Research)、別の言葉ではオープンイノベーションが不可欠となってきたのです。
 我が国のオープンイノベーションの魁である塩野義製薬が今年も皆さんのアイデアを募集する共同研究プログラムFINDS(2011年シオノギ創薬イノベーションコンペ)を開始いたします。今年は英国でも展開するなど、国際化も始まったようです。勿論、国内の皆さんのグッドアイデアとめぐり合うことも希望しております。先駆者故に、実際には何かと面倒な企業との共同研究のかゆいところまでお世話する経験を蓄積しております。是非とも、皆さんのアイデアを新薬や創薬支援技術として世界に貢献させましょう。募集開始は10月4日ですが、下記のサイトでもう募集要項が発表されております。是非ご一読の上、挑戦願います。
http://www.shionogi.co.jp/finds/index.html
 スーパークールビズを墨守するために風邪を引く愚を犯しそうです。皆さん、今週もご自愛願います。
             Biotechnology Japan Webmaster 宮田 満
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<<BTJブログWmの憂鬱>> 
最新一週間の記事  http://blog.nikkeibp.co.jp/bio/miyata/ 
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2011-08-17    
BTJブログWmの憂鬱2011年08月17日、iPS細胞の樹立法の特許が米国でも成立、京大iPS細胞研究所の独創的な研究成果は否定できず
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2008/1010/
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2011-08-10  
BTJブログWmの憂鬱2011年08月10日、花粉症緩和米が薬事法に基づき、減感作療法の治療薬として今年の収穫から開発開始
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2008/0936/
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2011-08-08    
BTJブログWmの憂鬱2011年08月08日、バイオベンチャー企業の株価も軒並み暴落、Provengeの売り上げ不調も原因の一つか
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2008/0894/
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日本分子生物学会が「若手研究助成 富澤純一・桂子 基金」を創設黒木メイサがロレアル-ユネスコ女性科学者特別賞のプレゼンターに「BTJジャーナル」2011年7月号に掲載しました。
BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
アカデミア向けの有料サービス「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp
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 BTJジャーナル2011年7月号を先月末(7月25日)に発行・公開しました。BTJジャーナルは、全文を無料でお読みいただけます。ご一読ください。
 最新号(2011年7月号)のダウンロードはこちらから。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html#btjj1107
 “赤”コーナー「キャリア」には2つの話題を掲載しました。日本分子生物学会で初の若手助成に6人が選ばれました。名誉会員の富澤純一・元国立遺伝学研究所所長が寄付した基金で運営されています。また、2011年度第6回「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」の受賞者4人が決定し、授賞式が六本木ヒルズで開かれました。特別賞はサイエンス・エンジェル制度を推進する東北大学が受賞しました。
 以下のBTJ/日経バイオテク・オンラインの記事をもとに編集して掲載しました。
公開時間:2011-07-15 08:19:27
日本分子生物学会、若手研究者助成対象者決定、「もっと型破りなテーマを期待したが……」と山本正幸・東大教授
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2008/0355/
公開時間:2011-07-12 19:09:43
第6回ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞の生命科学分野は東大薬の水沼未雅氏と広大理の森田真規子氏、東北大に特別賞
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2008/0308/
※2011年7月号(第67号)のコンテンツを目次にて紹介します。
BTJジャーナル 2011年7月号(第67号)
●CONTENTS
国立大学第1期中期達成評価、ES/iPS研究最前線、分子生物学会若手助成、
女性科学者
P.2 アカデミア・トピックス
国立大学法人等の第1期中期期間
達成状況評価が評価委員会で決定
P.5 リポート
ES/iPS研究で次々と新成果
アカデミアから国産技術
P.11 キャリア
日本分子生物学会の若手助成
ロレアル-ユネスコ女性科学者賞
P.13 BTJアカデミック・ランキング
20日間でヒト肝細胞がトップ