毎月第1金曜日と第3金曜日、第5金曜日のバイオテクノロジージャパン(BTJ)メールで編集部原稿を担当しておりますBTJ編集長の河田孝雄です。今日は、前回の2011年8月5日から2週間ぶりでお目にかかります。
 猛暑が続く中、局地的な大雨の対策も欠かせません。節電対策も迫られる中でいかがお過ごしですか。
 アカデミアの成果発表を取材する中で気がついたことを、今回はお伝えします。アカデミアでは、社会との接点で組織としてのプレゼンスを高めるためにも、また、研究者らが競争的資金などの研究資金をより多く獲得するためにも、研究成果を論文などで社会や報道機関向けなどに対外発表する機会が増えています。
 個々の研究者の方々の中には、できるだけ論文発表の成果を広くしってもらいたい、そのためには煩雑な手間もいとわない、というお考えを持つ方も少なくないようです。論文発表した成果を対外発表するケースは各大学や研究機関などで確実に増えているように思います。
 そんな中、論文の成果を対外発表してよい要件として、ある一定以上のレベルの論文であることを担保しようという試みが進んでいます。論文のレベルの目安となるのは、論文を掲載するジャーナルのレベルです。ジャーナルのレベルとしては、ジャーナルに掲載された論文がその後、どれだけ他の論文で引用されたかをもとに計算できる、インパクトファクターが目安となります。
 たとえば、インパクトファクターが5より下のジャーナルには論文を発表しない、という方針を打ち出している研究室もあり、インパクトファクターはジャーナルのレベルの指標として重要とみなされています。
 大学や研究機関の中には、研究者が希望すれば、論文発表の成果について資料を報道関係者に配布したり、ホームページに掲載したりするという仕組みができているところもあります。その際、むやみに発表するのはいかがなものか、という議論が教授会などでなされ、対外発表していい論文は、一定のレベル以上のジャーナルに掲載された論文という制約をつけるようにしているというケースを、最近いくつか知りました。国立大学の中には、インパクトファクター8以上とごく最近決めたところもあり、ハードルはかなり高いと感じました。
 ジャーナルにより、論文発表を実現させるために必要な「詰め将棋」の中身が変わってきますので、論文掲載のジャーナルのレベルに一定の制限をつけるというのも、1つのやり方としてありうると思います。
 論文発表の成果を伝える報道はたくさんなされていて、各々の断片的な情報発信では、伝えられる内容にも限界があるように思います。発表のあり方、内容をきちんとしていかないと、科学の信用度が低下するのでは、という指摘もあります。「世界で初めて」という記載は多発しがちですが、どのような範囲で「世界初」なのか、にも注意が必要です。このあたりに気をつけながら、報道してまいりたいと考えております。
 メール原稿の締め切り時間になりましたので、以下に、最近2週間で直接記事とりまとめを行った記事8本の見出しリストを、取り上げたポイントとともに掲載します。ご参考にしていただければと思います。
                          BTJ編集長 河田孝雄
※直近2週間のBTJ/日経バイオテクオンラインの直接担当記事
2011-08-17
JSTのA-STEP・FS創薬は12件、プロジェクトリーダー企業は化血研と湧永、わかもと、大塚製薬など9社
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2008/1008/
■このJSTのプログラムでは、アカデミアではなく企業が、プロジェクトリーダーを
務めます。■
2011-08-17
JSTのA-STEP・FSアグリ・バイオ25件、キノコで雪国と大塚、乳酸菌でゲンとニチニチ、リン脂質で日油とナガセ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2008/0977/
■バイオ研究に取り組む有力企業が目立ちます。■
2011-08-17
1件800万円のA-STEP・FSステージ採択127件、最多は産総研7件と昭和電工4件
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2008/0976/
■企業側では昭和電工の4件が、突出していると感じました。■
2011-08-06
2011年3月の外国人研究関連者の出国数は前年同月比1.6倍、NISTEPが分析
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2008/0867/
■原発事故に伴い外国人研究関連者が増えたことが数値で示されました。■
2011-08-05
Top10%論文数で日本は7位に低下、文科省NISTEPが「科学技術指標2011」公表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2008/0865/
■論文発表の世界で、日本のプレゼンスは低下しています。■
2011-08-05
世界一「京」を活用する理研生命システム研究センター(QBiC)が初の論文リリース
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2008/0849/
■QBiC初の論文ということも、理研としてプレスリリースを行った要因の1つのようです。■
2011-08-05
岩手大と東京農工大が2012年4月設置の共同獣医学科の協定締結、国立10大学に3ペア誕生
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2008/0825/
■全国の86国立大学法人のうち、獣医学部門があるのはわずか10大学。このうち3ペア・6大学が2012年4月に誕生します。■
2011-08-05
京大の斎藤通紀教授らとJST、多能性幹細胞を用いた生殖細胞形成過程を試験管内で再構成
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2008/0824/
■斎藤教授の研究は、続いてERATOに採択されました。■