こんにちは。水曜日を担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。
 7月中旬から急速に進んだ円高と、ここ1週間ぐらいの世界同時株安の進行からは、グローバル経済の脅威を実感させられます。東日本大震災から立ち上がりつつあった自動車産業など、輸出主体の産業が被るダメージは計り知れません。一方で、海外展開が遅れていた企業にとっては、この円高は最後のチャンスと言えるかもしれません。
 6月末に米国に行った際に米Amgen社のReese副社長にインタビューした記事を、月曜日に日経バイオテク・オンラインにアップしました。データの確認などに時間がかかって遅くなってしまいましたが、他媒体では決して読めない内容なのでぜひお読みいただければと思います。2008年に日本法人を、日本で開発中のプロジェクトの開発・販売権とともに武田薬品工業に売却した経緯がある同社ですが、Reese副社長は日本市場が魅力的であると言い、改めて日本市場での事業拡大を検討していると強調していました。日本パッシングではないですが、このところさまざまなところで公然と「中国市場の方が魅力的」と聞かされてきただけに、海外企業から「日本市場は魅力的」と見られている事実をうれしく思いました。
米Amgen社のDavid Reese副社長、日本市場での事業拡大に意欲を示す
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2008/0871/
 ただし日本は今後、人口が大きく減少するわけですし、業種によっては確実に市場の縮小が見込まれます。そこで多くの企業が海外への事業展開を進めており、特に今後の市場拡大が見込まれる中国やインドへの展開が注目されているわけですが、日本のバイオ企業でこれらの市場を着実に手にしている例はどれだけあるでしょうか。私の知るところ、日本の大手製薬企業は中国への事業展開を行ってはいるものの、研究開発拠点を中国に設置した欧米大手に比て後れ取っている面は否定できません。中堅製薬や診断薬企業、バイオベンチャーの中にも、中国で事業を行っているところはありますが、“成功”と位置付けられる企業は多くはありません。
 最近、何人かの方から中国での医療ビジネスの可能性について話を聞く機会がありました。要約すると、とにかく知的財産権に関する認識がグローバルレベルとは異なる国であり、中国内で製造された安価な“後発品”が存在するため、日本の製薬企業や医療機器メーカーが進出しようとしてもなかなか困難ということです。例えば、ある医療機器メーカーの方からは、「装置はブランド力が通用するから当社の製品が購入されるが、そこで使う試薬は中国企業が製造したものが利用され、試薬の7割ぐらいは他社品だった時期もある」と聞かされました。
 ところが、ここ何年かの間に中国政府は医療レベルを引き上げるために多額の投資をすることを決断し、特許を尊重することによって高品質の新薬や医療機器を導入する方向に意識を変えつつあると聞きます。恐らく出遅れていた日本企業にとっては、この機会にネットワークを築き、中国展開を本格的に考える状況のようにも思いますがどうでしょうか。日本の常識が通用しない市場であるのは確かなようですが、これだけ大きな市場が立ち上がろうとしている機会を逃してしまっていいとは思えません。
 中国の医療市場を攻略するための方策もいろいろありそうな気がします。いいアイデアがあれば、改めて皆様に報告したいと思います。本日は短いですが、この辺りで失礼します。
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                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
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国立大学法人など90法人の第1期中期目標期間の達成状況評価
「BTJジャーナル」2011年7月号に掲載しました
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アカデミア向けの有料サービス「BTJアカデミック」はこちらから
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 BTJジャーナル2011年7月号を先月末(7月25日)に発行・公開しました。BTJジャーナルは、全文を無料でお読みいただけます。ご一読ください。
 最新号(2011年7月号)のダウンロードはこちらから。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html#btjj1107
 巻頭の“緑”コーナー「アカデミア・トピックス」は、国立大学法人など90法人の第1期中期目標期間(2004~09年度)の達成状況評価結果が文部科学省の国立大学法人評価委員会で決定したことを取り上げました。「教育研究等」では最高評価は274件のうちわずか7件で、このうち2件がお茶の水女子大学でした。「業務運営・財務内容等」では360件のうち不十分が6件でした。この評価結果は、運営費交付金の配分に反映されます。
※2011年7月号(第67号)のコンテンツを目次にて紹介します。
BTJジャーナル 2011年7月号(第67号)
●CONTENTS
国立大学第1期中期達成評価、ES/iPS研究最前線、分子生物学会若手助成、女性科学者
P.2 アカデミア・トピックス
国立大学法人等の第1期中期期間
達成状況評価が評価委員会で決定
P.5 リポート
ES/iPS研究で次々と新成果
アカデミアから国産技術
P.11 キャリア
日本分子生物学会の若手助成
ロレアル-ユネスコ女性科学者賞
P.13 BTJアカデミック・ランキング
20日間でヒト肝細胞がトップ