こんにちは。水曜日を担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。
 先週厚労省が早期・探索的臨床試験拠点整備事業の補助対象の公募を開始したという記事を日経バイオテク・オンラインにアップしました。ファーストインヒューマン(人に初めて医薬品の候補化合物を投与する試験)の早期・探索的な臨床試験を企業治験や医師主導治験として実施する医療機関を、全国から5カ所採択しようというもので、7月7日が締め切りです。
 採択された施設は、整備費として年間5億円程度を5年間、研究費として年間1億5000万円程度を3年から5年間継続して補助されます。ファーストインヒューマンの試験が行える施設を整備することにより、日本発のシーズを円滑に医薬品や医療機器として開発できるようにするのが狙いで、現政権の掲げるライフイノベーションプロジェクトの目玉の1つです。このところ、国内大手中堅製薬企業からバイオベンチャーまで、臨床試験は海外でスタートさせるところが増えていますが、医薬品研究開発の空洞化を解消する上でも重要な施策といえます。
 最終的にどこが採択されるのかは分かりませんが、従来の「厚労省のプロジェクトで採択されるのはナショナルセンターや国立病院」「文科省のプロジェクトで選ばれるのは大学病院」といった省庁の壁を取り払った施策であってくれることを期待しています。詳細は下記の記事をご覧ください。
厚労省、早期・探索的臨床試験拠点整備事業の補助対象を公募、ファーストインヒューマンの治験実施機関を全国から5カ所採択へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/9785/
 ところで、この施策はあくまでも企業治験や医師主導治験といった、薬事法の承認申請を目指した臨床試験を実施する拠点整備の話だと理解していますが、これとは別に内閣官房の社会保障改革に関する集中検討会議などでは「人に初めての臨床試験を可能とするインフラの整備」として、臨床研究中核病院の創設が検討されています。臨床研究中核病院は、2011年度から3年間で15カ所程度を創設することが決まっていますが、ここで実施する試験が、GCP(医薬品の臨床試験の実施に関する基準)水準であれば、医薬品・医療機器としての承認申請データとして活用すること、先進医療の申請の際に必要な国内での数例の実績を緩和することなどが、内閣府の医療イノベーション会議や、厚労省の審議会などで議論されています。
 つまり、GCP水準で臨床研究を実施できる拠点を整備し、そこで行われた試験については薬事承認申請に利用できるようにすることで、医薬品・医療機器の円滑な開発に結び付けようというわけです。治験施設の整備とは別に、臨床研究施設のレベルアップを図っていこうというわけです。その延長上には、「臨床研究」と「治験」というダブルトラックになっている日本の臨床試験の制度を1本化していこうという深慮遠謀が見て取れると書くと、「全ての臨床研究にGCPを要求されると臨床研究が行えなくなる」との声が研究者から聞こえてきそうですが、臨床研究は被験者となる国民の理解が得られて初めてできるものです。国民に分かりやすい制度作りが必要なのではないかと思います。
 公募の話題つながりですが、NEDOが核酸医薬やペプチド医薬の開発を目指した「がん領域を対象とするバイオ医薬品の革新的製造技術の開発」の助成先の公募を行っています。締め切りは7月5日ということですので、核酸医薬、ペプチド医薬の製造事業に興味のある方はご参考まで。
http://www.nedo.go.jp/koubo/EK2_100002.html
 本日はこの辺りで失礼します。
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東日本大震災からの復旧と構造生物学、
BTJジャーナル2011年5月号に掲載
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 BTJジャーナル2011年5月号を先月末(5月25日)に発行・公開しました。BTJジャーナルは、全文を無料でお読みいただけます。ご一読ください。
 最新号(2011年5月号)のダウンロードはこちらから。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html#btjj1105
 巻頭の“緑”コーナー「アカデミア・トピックス」は、東日本大震災のバイオ研究への影響リポート第3報として、震災の影響を受けている構造生物学の記事をまとめました。たんぱく質のX線結晶構造解析などの東日本の拠点である高エネルギー加速器研究機構(KEK)放射光施設(PF)は、地震被害からの復旧を急ピッチで進めています。原子力発電所の事故による電力供給不足への対応も迫られています。兵庫県のSPring-8など全国の放射光施設がKEK-PFを支援しています。
 5月13日には、PFの運転停止期間中に支援する共同利用実験の実施内容をKEKが発表しました。SPring-8が受け入れる実験課題の予定は104件で、そのうち71件が生命科学分野。SPring-8内にある大阪大学蛋白質研究所のBL44XUでも9件の課題が生命科学分野です。
 以下のBTJ/日経バイオテク・オンラインの記事2本をもとに編集しました。BTJジャーナル2011年5月号のP.2~3にてご覧ください。
【震災からの復旧】バイオ課題のニーズ大、2011年秋からの実験再開を目指すKEK放射光施設(PF)がユーザーアンケート
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/8643/
【震災からの復旧】結晶構造生物学の東日本拠点、高エネ研PFは通電チェック開始、2011年秋に実験再開へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/8642/
 BTJジャーナルは、次のサイトでPDFファイルをダウンロードすると、記事全文をご覧いただけます。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 ぜひご一読いただければと思います。BTJ編集長 河田孝雄
※2011年5月号(第65号)のコンテンツを目次にて紹介します。
BTJジャーナル 2011年5月号(第65号)
●CONTENTS
大震災からの復旧と構造生物学 KEK-PF 健康栄養研究の論文分析 
ドイツ・イノベーション・アワード 東レ科学技術賞・研究助成
P.2 アカデミア・トピックス
大震災からの復旧急ピッチ
節電への対応にも苦慮
P.4 リポート
NISTEPが健康栄養研究分析
日本の歴史的変遷も解明
P.8 キャリア
ドイツ・イノベーション賞
東レ科学技術賞、研究助成
P.16 BTJアカデミック・ランキング
NEDO助成金の不正受給がトップ
P.17 広告索引