こんにちは。水曜日を担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。
 3.11大地震の発生から、今日でちょうど2カ月がたちました。昨日、メールシステムが不調になり、たまたま数カ月前のメールを目にすることになったのですが、3月11日のメールのやり取りを見ていると、震災の発生直後から外に出ているスタッフとの間で安否確認などのやり取りはしているものの、一方で夕方まで取材先などとの日常的なやり取りをずっと続けていて、私自身が緊急事態をなかなか認識しないでいたことを思い知らされました。何か事が起こったときに、どうアクションをとるのか。週刊誌やニューズレターの編集に携わってきたため、緊急事態にはそれなりに反応する癖が付いていると思っていましたが、後から振り返って見ると正しい意思決定はなかなかできていないものと反省しています。
 そんなことで政府の対応を非難するなといわれそうですが、それでもやきもきしてしまいます。日本の国が復興へと歩みだすためには、2011年度の第二次補正予算が重要となってきますが、菅直人首相は昨日首相官邸で行った記者会見で、二次補正の国会提出時期を「白紙」としました。政府は6月に予定される復興構想会議の提言を待ってから、二次補正予算の編成作業を行う考えのようです。
 5月2日には第一次補正予算が成立しましたが、その内容は仮設住宅やがれき処理、公共施設の復旧などが中心です。従って、地域の再生や、エネルギー政策を含めたインフラ整備といった復興に向けたより大きな課題には二次補正で着手することになります。こうした課題は将来の日本の国の在り方を左右するものですから、復興構想会議などで議論を尽くしたいということかもしれませんが、意見が百出して時間ばかりがどんどん過ぎていくということにもなりかねません。日本の復興に向けて、何よりも必要なのはリーダーシップのはずですが、それが欠如していることに危機感を覚えます。
 さて、3月期決算企業の決算発表が本格化しました。東日本大震災の影響は会社によってまちまちで、製薬業界でもいわき工場が被災したあすか製薬では棚卸資産の廃棄損や生産設備の復旧費用で26億円の特別損失を計上するなどの影響を受けています。ただ、製薬業界全体で見ると、被災の直接的な影響を受けた企業はそう多くはなさそうです。むしろ、大日本住友製薬や田辺三菱製薬など、準大手の健闘ぶりが注目されます。
 製薬、バイオ関連の各社の決算説明会については、これから連日、日経バイオテク・オンラインで報じていくことになります。どうぞ、記事をご期待ください。
 それから、5月18日に開催する次世代抗体医薬をテーマとするBTJプロフェッショナルセミナーは、おかげさまで定員に達し、申込を締め切らせていただきました。どうもありがとうございました。次は、分子標的薬をテーマとするセミナーの開催のご案内です。
 疾患の原因となっているたんぱく質などの標的を特定して構造を解析し、分子設計による化合物群の創製やそのバリデーションなどを経て、分子標的薬を生み出すスキームは、製薬企業の創薬戦略のメインストリームとなりつつあります。そこで日経バイオテク編集部では昨年に引き続き、「分子標的薬の創製と開発の最前線」をテーマにセミナーを開催することとしました。
 今年は、分子標的の主役となっているキナーゼに加えて、miRNAやたんぱく質間相互作用といった新たな標的についてもセッションのテーマに取り上げました。最近の研究では、miRNAの異常発現がウイルス感染症や心疾患、中枢神経系疾患などさまざまな疾患と関連していることが明らかになっています。miRNAが、がんの早期診断のためのバイオマーカーとなる可能性も指摘されています。当セミナーでは、国立がん研究センター研究所分子細胞治療研究分野分野長の落谷孝広氏に、miRNAを標的とした創薬の可能性と研究開発の最新情報を解説していただきます。
 PRISM BioLab社長の小路弘行氏には、たんぱく質間相互作用を標的とした創薬技術について講演していただきます。たんぱく質相互作用ががんや自己免疫疾患など難治性疾患の治療標的となり得ることは従来から分かっていましたが、低分子化合物で選択的に阻害することは困難でした。PRISM BioLabはヘリックス模倣化合物と呼ぶ低分子化合物でたんぱく質間相互作用を阻害することに成功し、治療薬としての開発を進めています。今年4月には、抗がん剤PRI-724などに関するライセンス契約をエーザイと締結しています。
 がん研究会がん化学療法センター分子薬理部部長の矢守隆夫氏には、分子標的薬のスクリーニング手法について解説していただきます。矢守氏は、39種類の細胞を利用したスクリーニング技術を開発し、製薬企業などと共同で研究を行っています。全薬工業との研究では、がんの重要な分子標的として阻害薬の開発競争が激化しているPI3キナーゼ阻害薬の同定に成功し、1月には米国でフェーズIが始まっています。
 セミナーは、カルナバイオサイエンスの協賛で、6月17日午後に、東京・品川のコクヨホールで開催します。この機会に分子標的薬の最前線の情報に是非、触れて下さい。皆様の参加をお待ちしています。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/110617/
 本日はこの辺りで失礼します。
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                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
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https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html
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2011年4月の文部科学大臣表彰の若手科学者賞はバイオ関連が過半
理研発表のうち理研本務は半分
日本学士院賞は谷口直之氏と宮園浩平氏が受賞
BTJジャーナル2011年4月号で一覧表にてご覧ください
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アカデミア向けの有料サービス「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp
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 BTJジャーナル2011年4月号を先月末(4月25日)に発行・公開しました。BTJジャーナルは、全文を無料でお読みいただけます。ご一読ください。
 最新号(2011年4月号)のダウンロードはこちらから。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html#btjj1104
 “赤”コーナー「キャリア」は、2011年4月の第2週に発表された、科学技術分野の文部科学大臣表彰と、日本学士院賞を取り上げました。バイオと関係が深いとみられる受賞案件は、文科大臣表彰の科学技術賞(研究部門)では4割強、若手科学者賞では半数強となりました。日本学士院賞は受賞者9人うち2人がバイオ研究者となりました。文科大臣表彰は表彰式の開催を取り止めました。
 以下のBTJ/日経バイオテク・オンラインの記事4本をもとにとりまとめました。BTJジャーナル2011年4月号のP.10~13にてご覧ください。
科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者を文科省が決定、震災への配慮で表彰式は行わず
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/8340/
文部科学大臣表彰の若手科学者賞、82人のうち44人がバイオ関係、所属組織は京大7人、九大6人、東大と阪大が4人、理研は3人
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/8342/
続報、文部科学大臣表彰、理研は今年度11人受賞と発表、そのうち理研本務は5人
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/8390/
日本学士院賞9件が決定、バイオ関連は谷口直之・理研GDと宮園浩平・東大教授、授賞式は調整中
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/8337/
 BTJジャーナルは、次のサイトでPDFファイルをダウンロードすると、記事全文をご覧いただけます。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 ぜひご一読いただければと思います。BTJ編集長 河田孝雄
※2011年4月号(第64号)のコンテンツを目次にて紹介します。
BTJジャーナル 2011年4月号(第64号)
●CONTENTS
東日本大震災(2) 論文分析ランキング、文部科学大臣表彰 日本学士院賞
P.2 アカデミア・トピックス
大震災で第4期基本計画見直し
放射性物質への対応急ぐ
P.6 リポート
論文被引用数でランキング
日本研究機関で政府系上昇
P.10 キャリア
文科大臣表彰で若手はバイオ過半
日本学士院賞はバイオ2人
P.14 BTJアカデミック・ランキング
創薬ベンチャー検証がトップ