こんにちは。水曜のメールを担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。
 先日、米国でベンチャー企業を経営されている方と意見交換をする機会がありました。医薬品開発を目指したベンチャー企業で、既に臨床開発段階に差し掛かった候補化合物を有しています。その人いわく、「候補化合物の創出が命題だった創業後間もない時期と、現在とではほぼ全ての社員が入れ替わった」とのことでした。「会社の発展段階に応じて必要な人材は変化する」ということで、候補化合物の合成に関わった人にも、退任してもらったといわれていました。
 適材適所で人を入れ替えて発展していくのは、人材の流動化した米国のベンチャー経営では当たり前なのでしょうが、日本流の経営にどっぷり漬かった目で見ると、改めて日米の雇用に対する感覚の違いを認識させられました。先日も、人員削減を実施した国内のベンチャー企業の話を聞いたのですが、正社員に辞めてもらうのは困難なので、契約社員の契約を更新せずに配置替えなどでやりくりしたとのことです。会社の置かれた状況にもよるのでしょうが、それでも人を解雇することの難しさは痛感させられます。
 日本企業の多くはこれまで、必要なスキルを持った社員が社内いない場合には、時間をかけて社員を教育してきたのでしょうが、そのやり方が不利なのは明らかです。最近は日本でも人材の流動化が少しずつ進んでいますし、コンサルタントなどの外部人材を利用して必要なノウハウやスキルを取り込むこともできるようになってきてはいますが、それでも米国の経営環境に比べればどうしてもスピードに違いが出てしまうでしょう。果たしてこのままで日本企業が競争力を保つことが出来るのでしょうか。
 確かに終身雇用は社員の忠誠心につながり、日本企業の強みになってきた面があるのは否定できません。しかし、技術革新がこれだけ早くなれば、求められるスキルは多様化し、それを内部で育てていくには無理が生じます。この問題を解消するには、日本も米国と同じように大胆な人材流動化を図るべきでしょう。そして、そのためにはスキルをもった人材をプールする仕組みと、大企業が大胆に雇用機会を提供することが必要だと思います。
 とまあ、少し手垢の付いた議論になってしまいましたが、東日本大震災で職を失った数多くの方に、その能力を発揮する機会を提供するためには、日本人全体がその働き方を変えるべきなのではないかと、そんな思いを強くしています。
 日経バイオテク・オンラインでは先週末から今週にかけて、幾つか東日本大震災に関する記事を掲載しました。今後、さまざまなバイオ企業の復興の取り組みや、日本経済の再生に対するバイオ産業の寄与などについても光を当てて行きたいと考えていますが、まずは被災状況の把握と、被災地から学ぶべき教訓についてを中心にリポートしています。日経バイオテク5月9日号にも「東日本大震災の教訓」という特集記事を掲載しましたので、ご購読いただいている方はそちらも合わせてご覧ください。
【震災からの復旧】バイオ課題のニーズ大、2011年秋からの実験再開を目指すKEK放射光施設(PF)がユーザーアンケート
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/8643/
【震災からの復旧】結晶構造生物学の東日本拠点、高エネ研PFは通電チェック開始、2011年秋に実験再開へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/8642/
東北大の大島薬学部長らに聞く、「被害額は最低でも5億円から10億円」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/8613/
東北大医工学研究科の松木英敏研究科長に聞く、「1年遅れれば研究成果が海外に流出。政治はその点を理解してほしい」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/8596/
無菌飼育断念も検討していた東北大医学部の動物実験施設
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/8554/
東北大、4月中旬時点で設備被害324億円、施設復旧に448億円、ガスの回復になお時間
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/8557/
東北大医学系研究科・五十嵐教授に聞く、「パーティション壁は地震のときは危険だ」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/8556/
 最後に、「次世代抗体医薬」のセミナーのご案内です。これまでにも何度か紹介させていただきましたが、2011年5月18日に東京・品川で「次世代抗体医薬」をテーマとするBTJプロフェッショナルセミナーを開催します。おかげさまで非常に多くの方からお申し込みをいただいていて、もう間もなく締め切りという状況です。ご参加を検討いただいている方は、下のリンクからお急ぎお申し込みください。皆様の参加をお待ちしています。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/110518/
 当編集部でも、ツイッターでゆるゆるとつぶやいています。本当にゆるゆるですが、
ご興味がある方はぜひご覧ください。
twitterのアカウント http://twitter.com/nikkeibiotech
 本日はこの辺りで失礼します。
 日経バイオテク・オンラインの記事全文をお読みいただくには、日経バイオテク本誌の読者になっていただく必要があります。日経バイオテク本誌のお申し込みは、以下からお願いします。
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                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
 ご意見があれば以下のフォームからお願いします。いただいたご意見を次回以降のBTJメールの中で、匿名で紹介させていただく可能性があることをご了解ください(紹介されたくない場合はその旨を明記しておいてください)。
 
https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html
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東日本大震災の特集記事第2弾を
BTJジャーナル2011年4月号に掲載しました。
BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
アカデミア向けの有料サービス「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp
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 BTJジャーナル2011年4月号を今週月曜日(4月25日)に発行・公開しました。BTJジャーナルは、全文を無料でお読みいただけます。ご一読ください。
 最新号(2011年4月号)のダウンロードはこちらから。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html#btjj1104
 巻頭の“緑”コーナー「アカデミア・トピックス」は、前号(2011年3月号)に続き、2011年3月11日の14時46分に起こってしまった大地震による東日本大震災の関連記事を特集しました。バイオテクノロジー関連のアカデミアの活動にも甚大な影響を及ぼしています。
 内閣府は、震災関連を優先するため2011年度から始まる第4期科学技術基本計画を見直す方針を公表しました。原子力発電所の事故で外国籍の研究者が急いで国外に脱出した問題も長期化しそうです。食品安全委員会は放射性物質の安全性評価を集中審議しています。
 震災関連の記事7本をまとめた特集記事は、BTJジャーナル2011年4月号のP.2~5にてご覧ください。
 BTJジャーナルは、次のサイトでPDFファイルをダウンロードすると、記事全文をご覧いただけます。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 ぜひご一読ください。BTJ編集長 河田孝雄
※2011年4月号(第64号)のコンテンツを目次にて紹介します。
BTJジャーナル 2011年4月号(第64号)
●CONTENTS
東日本大震災(2) 論文分析ランキング、文部科学大臣表彰 日本学士院賞
P.2 アカデミア・トピックス
大震災で第4期基本計画見直し
放射性物質への対応急ぐ
P.6 リポート
論文被引用数でランキング
日本研究機関で政府系上昇
P.10 キャリア
文科大臣表彰で若手はバイオ過半
日本学士院賞はバイオ2人
P.14 BTJアカデミック・ランキング
創薬ベンチャー検証がトップ