こんにちは。水曜のBTJ/HEADLINE/NEWSを担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。
 東日本大震災の発生から2週間以上の時間がたちました。東北方面への高速道路が開通して物流が動き出すなど、少しずつ復旧作業が進められています。ただ、福島第一原子力発電所の事故は今なお解決の見通しがつかず、日本経済の復興に重荷となってのしかかる状態が続いています。
 一方で、我々が対象とするバイオ・医薬品関連の産業においては、この難局において、いかにして医薬品の安定供給を確保するのかが重要なテーマです。その観点で、製薬企業の製造拠点や物流拠点などの被災状況を気にかけてきました。下の記事はちょっと古いですが、3月18日時点の各社の被災状況をまとめたものです。
製薬企業の生産設備等の被災状況が明らかに
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/7856/
 その中で、国内の98%のシェアを占める製造拠点が被災して、安定供給の維持が最も懸念されていたあすか製薬の甲状腺機能低下症治療薬「チラーヂンS錠」については、先週末に生産と出荷が再開されました。ただ、フル稼働には時間がかかるため、製造委託や海外製品の緊急輸入などの対策は並行して進めているということです。
あすか製薬、「チラーヂンS錠」の生産、出荷を開始
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/7976/
 安定供給という観点では、製造、物流設備の被災もさることながら、計画停電の影響が気になります。先週金曜日に日本化薬は、高崎工場(群馬県)で微生物に発酵生産させている医薬品の原薬に関して、計画停電の影響で培養途中の製品が不良になったため一部廃棄処分にしたと発表しました。当面この製品は在庫があるので、すぐに安定供給の問題が生じるわけではないようですが、計画停電が長引けば事態は変わって来ます。
 このような微生物の代謝物を原料とする医薬品や、抗体医薬などのバイオ医薬品はもちろんそうですが、化学合成で製造している低分子化合物の医薬品の中にも非常に長い時間をかけて反応を進めているものがあり、その途中で停電が起こると製品には使えなくなってしまうと思われます。原薬や中間体の製造には特殊の設備を必要とするケースも多く、計画停電以外の地域に製造拠点をシフトするのも簡単ではありません。
 計画停電に関しては、業界ごとに数日置きに輪番で稼働を休止する「輪番休止」が検討されていると、今朝の日本経済新聞が報じていました。企業によって不公平にならない方策を検討することも重要ですが、こと原薬や中間体に関しては、この工場を休止すると安定供給が懸念されるといった製品があるなら、その工場については計画停電の対象外とするよう業界として求めていくなどの取り組みも必要ではないかと思います。医薬品以外にも生命や生活の質などに大きく関わる製品はあるわけで、医薬品全てを特別視するよう求めるのも適切ではないですが、「優先しなければならないもの」を明確にして、業界として主張していくことは必要だと思います。もちろん、自家発電設備の導入など、企業として取り組むべきことも怠ってはいけませんが。
 震災関連では、先週のメールマガジンでも大学や公的研究機関の中で、被災した研究者を支援する動きが出ていることを紹介しましたが、この動きも全国に広がっています。
東日本大震災、研究者支援の動きも
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/7911/
続報、研究者支援の動きは全国に広がる
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/8014/
 上記に紹介した記事も含めて、東日本大震災に関連する記事を集めた特集記事サイトも設けました。こちらも併せてご覧ください。
東日本巨大地震の影響と復興の鎚音をまとめた特集記事サイト開設
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/7831/
 日経バイオテク編集部では、震災情報に限らず、研究成果の報告や、新製品の承認など、日常的な情報も含め、随時配信しています。
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/index.jsp
 本日はこの辺りで失礼します。
 なお、日経バイオテク・オンラインの通常の記事は、全文をお読みいただくために日経バイオテク本誌の読者になっていただく必要があります。日経バイオテク本誌のお申し込みは、以下からお願いします。
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                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
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放射性ヨウ素や放射性セシウムの食品健康影響評価を緊急とりまとめ
BTJジャーナル2011年3月号に掲載
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アカデミア向けの有料サービス「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp
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 BTJジャーナル2011年3月号を先週末の3月25日に発行・公開しました。BTJジャーナルは、全文を無料でお読みいただけます。ご一読ください。
 最新号(2011年3月号)のダウンロードはこちらから。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html#btjj1103
 巻頭の“緑”コーナー「アカデミア・トピックス」は、2011年3月11日の14時46分に起こってしまった大地震による東日本大震災を特集しました。バイオテクノロジーと関係が深いアカデミアの活動にも甚大な影響を及ぼしています。
 今号ではまず、2011年春の学会活動への影響を中心に報道記事を特集しました。学会ごとに学会活動を維持するための新たな工夫が相次いでいます。学会は要旨集の発行をもって学会発表は成立しているという判断も相次きました。文部科学省などの迅速な対応も掲載しました。
 さらには3月20日に厚生労働省が食品安全委員会に諮問した、放射性物質の食品健康影響評価の審議が食品安全委員会で始まった件も掲載しました。この審議はその後、3月29日に「緊急とりまとめ」が行われました。
 ぜひBTJジャーナル2011年3月号のP.2~6の記事をご一読ください。
 BTJジャーナルの誌面は、次のサイトでPDFファイルをダウンロードすると、全文をご覧いただけます。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 ぜひご覧ください。BTJ編集長 河田孝雄
※2011年3月号(第63号)のコンテンツを目次にて紹介します。
BTJジャーナル 2011年3月号(第63号)
●CONTENTS
東日本大震災 論文発表のコツ 日本学術振興会賞
P.2 アカデミア・トピックス
東日本大震災で春学会中止相次ぐ
要旨集発行で学会発表は成立
P.7 リポート
アカデミアの研究業績決定版
国際ジャーナル論文発表のコツ
P.9 キャリア
第7回日本学術振興会賞
第7回日本学士院学術奨励賞
P.11 BTJアカデミック・ランキング
日本学術振興会賞がトップ
P.13 奥付け