こんにちは。水曜のBTJ/HEADLINE/NEWSを担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。
 昨日から始まった日本再生医療学会総会を取材するために、新宿の京王プラザホテルに詰めています。大阪大学の自家筋芽細胞シートを用いた心筋再生、東北大学の自家口腔粘膜由来の細胞シートを用いた角膜移植など、臨床研究で良好な成績を示す再生医療技術が登場し、早急な産業化が待たれるところです。
 昨日の午後には再生医療の産業化をテーマとするシンポジウムで座長を勤めさせていただきました。欧米でも再生医療の産業化に向けて、産官学を挙げて取り組む体制整備が進められています。日本でも再生医療の実用化ハイウェイ構想の下、細胞シートやiPS細胞に基づく再生医療、ティッシュエンジニアリングと組み合わせた骨、軟骨再生などの動物での検討、臨床研究が加速的に進められつつあります。
 しかし、産業化を視野に入れるとどうでしょう。ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)の自家培養表皮が日本で唯一実用化にこぎつけましたが、保険収載時に制約が付けられたことなどが影響して、事業としては赤字であるのが実情です。セルシードはフランスで事業化まで後一歩というところまで来ていますが、この2社に続く企業がなかなか出てきません。
 東京女子医科大学の江上教授と私で座長を勤めさせていただいたシンポジウムでは、まさにこうした産業化の取り組みについて議論しました。元旭化成の大野邦夫さんは再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)の設立についてを紹介されました。この組織は、J-TEC、セルシードに加えて、日立製作所、オリンパス、テルモ、川崎重工業、武田薬品工業など、民間企業17社が参加し、企業主体に産業化を議論し、推進策を提言するような場となります。これまで大企業は再生医療の研究開発は手掛けながらも、実際の事業化となるともうひとつ本腰が入っているのか疑問もありましたが、大きく様相が変わりつつあります。シンポジウムでは、会場からの「本当に産業化できると思っているのか」という質問に対して、大野さんに加えて、セルシードの長谷川社長、J-TECの畠取締役とも産業化に向けた思いを力強く表明しました。アカデミアの臨床研究主導で進められてきた日本の再生医療が、産業化主導に少しシフトしつつあるような印象を受けました。
 Harvard Medical School, Brigham and Women's Hospitalの小島宏司さんの基調講演も非常に印象に残りました。生分解性ポリマーと自家軟骨細胞を利用した再生気管に関する講演です。気管腫瘍を再発して、再生気管を使用する以外の治療がないとされた少女に、本当に再生気管を使用するかどうかについて、何週間にも渡って主治医、家族と話し合い、再生気管の移植を決定。最終的には再生気管を使用せず、患者さんの左右の気管をつなげることで治療ができたという話でしたが、移植に失敗すれば患者さんの生命にも関わりかねない再生組織を作成する医師の葛藤を知りました。
 また、1日午前中のセッションでは、医薬品医療機器総合機構の鹿野部長が、薬事戦略相談に関する講演を行っていました。規制側も一緒になって再生医療の実用化が促進されることが期待されます。
日本再生医療学会、「薬事戦略相談を活用してもらいたい」とPMDAの鹿野部長
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/7508/
 日本再生医療学会総会の記事はこれから幾つか日経バイオテクオンラインで配信しますので、お楽しみに。
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                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
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面接から5カ月と遅れに遅れた最先端・次世代プログラム
創刊5周年のBTJジャーナル2011年2月号に掲載
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アカデミア向けの有料サービス「BTJアカデミック」はこちらから
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 BTJジャーナル2011年2月号を先週末の2月25日に発行・公開しました。BTJジャーナルは、全文を無料でお読みいただけます。お楽しみください。
 最新号(2011年2月号)のダウンロードはこちらから。
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 巻頭の“緑”コーナー「アカデミア・トピックス」は、最終選定の発表が遅れに遅れていた「最先端・次世代研究開発支援プログラム」が、2011年2月10日に正式決定した話題を特集しました。2013年度までに最大2億円配分される若手や女性の研究者は、グリーン・イノベーションが141人、ライフ・イノベーションが188人です。全都道府県を含み、女性は4分の1、39歳以下が37%を占めました。競争率1.5倍まで絞り込んで実施した2010年9月の面接実施から5カ月もかかりました。一覧表を8ページ掲載しています。
 ぜひBTJジャーナル2011年2月号のP.2~11の特集記事をご覧ください。
 BTJジャーナルの誌面は、次のサイトでPDFファイルをダウンロードすると、全文をご覧いただけます。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 ぜひお楽しみください。
BTJ編集長 河田孝雄
※2011年2月号(第62号)のコンテンツを目次にて紹介します。
BTJジャーナル 2011年2月号(第62号)
●CONTENTS
最先端・次世代プログラム ウナギ卵と論文 日本国際賞
P.2 アカデミア・トピックス
最先端・次世代プログラム
最終面接の5カ月後に決定
P.12 リポート
世界初の天然ウナギ卵
Nature姉妹誌に論文発表
P.16 キャリア
日本国際賞はIL6の岸本氏ら
P.17 BTJアカデミック・ランキング
最先端・次世代がTop4独占
P.21 奥付け