こんにちは。水曜のBTJ/HEADLINE/NEWSを担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。
 先週日曜に、医薬基盤研究所の主催で大阪市で開催された「難病研究と創薬」のシンポジウムを取材してきました。参加者は120人前後で、研究者や患者さん、そのご家族なども多く参加されていたようですが、製薬企業の方からの質問も目立ち、製薬企業も希少疾病や難病などに目を向けるようになっているのだと感じました。シンポジウムでのトピックは後ほど日経バイオテク・オンラインで記事にさせていただく予定です。
 シンポジウムでは、パーキンソン病、HTLV-1関連脊髄症(HAM)、褐色細胞腫などの疾患に関する研究などの状況が紹介されました。1つひとつの疾患に対する患者さんの苦しみや、その疾患の研究に取り組む医師の思いを聞くと、研究にもっと多くのリソースをかけることができないものかと痛感します。こうした希少疾患や難病は、厚生労働省が難治性疾患克服研究事業に指定しているものだけでも130、それ以外も含めると数千に上るということです。とにかくまずは、希少疾患や難病と認識されず、診断が付くまでに何年もかかるというような事態を招かないように、診断法の確立と同時に、ITを駆使した情報共有の基盤を整備していくことが大切だと感じました。
 話は変わりますが、ファイザーの研究所が独立して発足したバイオベンチャー、ラクオリア創薬のジャスダック市場への上場が承認されました。バイオベンチャーといっても、数多くの研究者を擁し、ファイザーから譲渡された複数の候補化合物も有しているという点では少し異例の存在です。それもあってか、想定価格での調達額は83億円、上場時の時価総額は約300億円という久々の大型案件です。ただし、規模が大きいからといって創薬の成功確立が高まるわけではありません。久々の大型バイオ案件を、投資家がどのように受け入れるのかが注目されます。
速報、ラクオリア創薬がジャスダック市場に上場、バイオで久々の大型案件
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/7327/
 それから、先週開催された厚生労働省の再生医療における制度的枠組み検討会で、確認申請制度を廃止することが決まりました。治験の開始前に行う確認申請で膨大な資料を求められ、かつ高額な相談料がかかるとあって、ベンチャーなどの評判のよくない制度でしたが、ようやく廃止となったわけです。ただし、廃止されることで本当に開発スピードが上がるかどうかはしっかりと検証していかなければなりません。
厚労省の再生医療検討会、確認申請廃止で意見が一致
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/7266/
 2月上旬に日経バイオテク・オンラインに下の記事を掲載しました。ヒトゲノムのドラフト解読が完了してから10年間のゲノム科学の進展を振り返ったNature誌の論文を紹介したものです。
米NIH-NHGRIの研究者ら、ヒトゲノムのドラフト解読から10年を経て、次世代のゲノム医療の見通しを提言
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/7002/
 製薬企業の方と話をしたときに、ゲノム的な創薬アプローチをどう評価するかと聞いたところ、「個人的な意見ですが、ゲノム創薬はあまり成果を生んでいないのでは」といわれました。確かに、2000年前後のヒトゲノム解読に沸いた時期のゲノム創薬への期待に比べ、成果は少ないかもしれません。しかし、ゲノムワイド関連解析(GWAS)による診断マーカーの開発や、個の医療は現実のものとなりつつあります。
 また、ヒトに続いて動植物で行われたゲノム解析は、動植物の育種に利用され、食卓という身近な場所でも感じることができるのです。ゲノム科学の進展は、着実に我々の生活に変化をもたらしているといっていいでしょう。以下はDNAマーカー育種に関連する記事です。
東京農大生物資源ゲノム解析センターと生物資源研、酒米用イネ品種「雄町」の全ゲノム解読、日本晴との配列違いを16万カ所以上発見
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/7032/
DNAアレイで品種改良を効率化する遺伝情報解析技術をトヨタが開発、九州沖縄農研と精度5倍のサトウキビ遺伝地図を作成
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/6252/
 来週月曜日発行の日経バイオテク本誌では、ゲノムワイドDNAマーカー育種の特集を掲載しています。購読されている方はどうぞお楽しみに。
 最後になりますが、BiotechnologyJapanのサイトでは、久しぶりに講演資料のファイルダウンロードサービス「Webridge」をやっています。ランチョンセミナーなどでの講演資料を無料でダウンロードできるというものです。トランスポーターアッセイやTreg細胞などに興味をお持ちの方は、どうぞご利用ください。3月14日までです。
Webridgeファイルダウンロード<ベリタスのトランスポーター、Treg細胞、がん研究関連の講演資料ダウンロードが3/14まで>
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/7292/
 本日は少し雑多な話題になりましたが、このあたりで失礼します。
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                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
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 BTJジャーナル2011年1月号を先月末に発行・公開しました。全文を無料でお読みいただけます。お楽しみください。
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 新年第1号の今号の黄色コーナー「BTJアカデミックRanking」では、2010年の1年間にアクセスされた回数が多かったBTJアカデミックのトップ50のニュース記事を掲載しました。
 このトップ50の記事内容を分類すると、09年秋から実施された事業仕分けとその波及に関連する記事が6本(8位、23位、28位、33位、40位、45位)と最も多くを占めました。次いで、これも事業仕分けと関係が深いのですが、09年度から始まった最先端研究開発支援プログラム(FIRSTプログラム)関連の記事が5本(2位、12位、17位、32位、42位)入りました。
 大学・研究機関の評価/ランキング関連の記事も5本(9位、10位、13位、18位、30位)がトップ50に入りました。特筆すべきは、沖縄科学技術大学院大学の連載記事。4本すべてがトップ50の上位に入りました(7位、15位、19位、22位)。
 また、受賞や表彰の関連記事が合計6本(日本学術振興会賞/日本学士院学術奨励賞が6位と16位、内藤記念科学振興賞が5位、文部科学大臣表彰が25位、上原賞が29位、紫綬褒章が34位)と多くを占めました。
 ぜひBTJジャーナル2011年1月号のP.10~11の黄コーナ「BTJアカデミック・ランキング」の記事をご覧ください。
 BTJジャーナルの誌面は、次のサイトでPDFファイルをダウンロードすると、全文をご覧いただけます。
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 ぜひお楽しみください。
BTJ編集長 河田孝雄
※2011年1月号(第61号)のコンテンツを目次にて紹介します。
BTJジャーナル 2011年1月号(第61号)
●CONTENTS
新春展望 独Berlinサミット 上原賞 安藤百福賞
P.2 アカデミア・トピックス
バイオ識者の新春展望
バイオ賀詞交歓会に560人
P.7 リポート
BerlinでWorld Health Summit
京大や順天堂大の主催シンポも
P.10 キャリア
上原賞と安藤百福賞
P.12 BTJアカデミック・ランキング
2010年間アクセスTop50も発表