日経BP社バイオ部が、例年年初に作成している恒例のバイオ企業番付2011年版を発表しました。「なぜこの会社がこの番付か」と思われる点があるのかもしれませんが、編集部で結構まじめに議論して作成したものです。2010年1月から12月までの記事と各企業の事業活動などから総合的に判断しており、むしろ皆様にも納得していただける部分が多いのではないかと考えています。各企業のバイオ事業の実力を図るものさしの1つとして、お役立ていただければと思います。
決定、2011年バイオ企業番付、横綱、大関、関脇、小結
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/6629/
決定、2011年バイオ企業番付、前頭、十両、幕下
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/6626/
決定、2011年バイオ企業番付、第一三共が横綱に昇進、ワクチン関連が大きく上昇
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/6624/
 さて、先日、Fenwick & Westという米国の弁護士事務所の方に訪問いただき、米ワシントン州シアトルで3月2日、3日に開催されるLife Science Innovation Northwest 2011という会議のことを紹介されました。米BIO International Conventionのような大規模なものではないですが、既に11年間続いており、バイオ企業と投資家、投資会社との出会いの場の提供が主目的の会議のようです。参加者は700人ぐらいで、投資会社は15、16社が参加し、1対1のミーティングの機会もあるということでした。参加費用は750ドル。「ちょっと高いですね」と聞いたら、「プレゼンテーションの指導を無料でやったりするので、決して高くはない」とのことでした。
 参加の価値があるかどうかは皆さんでご判断いただきたいですが、日本ではバイオベンチャーへの投資を得にくくなっているので、資金調達の何らかのきっかけになるかもしれません。「シアトルは地理的にも日本に近いので、日本からの参加者を募りたい」と言われていたので、紹介させていただきます。
http://www.washbio.org/displaycommon.cfm?an=1&subarticlenbr=145
 今日は細切れの話題で恐縮です。昨日横浜市で開催された医工連携のセミナーで、東芝の電気化学方式のDNAチップの話を聞きました。何度も日経バイオテクで記事にしてきた技術ですが、09年8月に厚生労働省から診断薬としての承認を受け、09年9月には発売しています。ところが、健康保険になかなか収載されないので、ビジネスとしてはまだ成功とはいえないのだとか。ライフイノベーションを経済成長につなげようと言うのであれば、プレーヤーが経済的に成功する仕組みになっていなければなりません。出口を絞ったままで研究開発費を投じても、ただのばら撒きに終わってしまうことに気付くべきです。
東芝、積水メディカル、国産初のDNAチップをHPVの型判別診断薬として製造販売承認獲得
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/4473/
 最後に、先々週、先週と取り上げた最先端・次世代研究開発支援プログラムの話題です。国民への説明責任を果たすための資料の提出については、採択されたものについて公表するという極めてまっとうな結論となりました。ただ、決定が大幅に遅れたことに対して、アカデミアから問題視する声が挙がっています。
「政府主導で決定遅延の事態に憂慮」、ライフ10万人、グリーン10万人の7学会・連合が2月2日に要望提言を提出へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/6704/
内閣府、最先端・次世代プログラムで追加書類を正式決定、「内容は採択に影響しない」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/6480/
 また、この件は大きな研究費のプロジェクトの採択をどうすべきかという問題をはらんでいます。この点について、読者の方からご意見をいただいたので以下に掲載させていただきます。
 「政務官が言う『一般国民が読んで研究内容が分かるような書類の提出を、5600人全ての応募者に要請しようと考えている』に危機感を感じます。今、若手研究者に期待するところは、将来の世界のリーダーとなるべく、彼らが内に秘めている独創性を検証する場(=研究資金)を提供してあげることだと思います。その思いは、多くの場合まだ未熟で一般国民を説得できる言葉になっていない可能性があります。逆に多くの人に理解できる内容では、そのものが既に公知の内容で、独創性がどれだけあるか疑問です。将来の独創性を今評価する事はおそらく誰もできないのではないと思っています。そうであれば、先ずはなるべく多くの研究者にチャンスが行くように広く研究費を出して、その研究成果をベースに徐々に絞込みをかける制度を導入すべきかと思います。あるいは、初回申請者はなるべく通し、常連さんは過去の研究成果で一定以上成果を出していることを条件にしても良いと思います」
 「がん領域の抗体医薬開発で欧米に遅れをとったのは、有識者の問題が大です。過去20年間の科研費の採択課題をみると抗体関係の仕事は多くありましたが、分子・細胞生物学領域に限定されています。欧米では、臨床応用に必要な生理・薬理学的見地の重要性からin vivoイメーイングの分野を開発していました。過去の有識者に先を見る力がありませんでした。現在ではどうでしょうか?本邦でも、in vivoイメーイングの研究課題は増えていますが、1.基礎的な分子・細胞生物学なもの、2.臨床的な放射線診断・治療に特化したものに2極化されています。抗体医薬の研究開発に必要なin vivoイメーイングが目指すべきところの、in vitroとは異なるin vivoの作用様式のメカニズム解明は放置されています。有識者は1と2の存在からトランスレーショナル研究は、うまくいっていると思っているようですが、本質を見落としています。現時点でも有識者は先を見る力がないのです。一番いいのは、有識者と視点の違う若手・異端者などの外国人研究者の意見を取り入れることでしょうが、無理ならば科学リテラシーに長けた一般人の意見はかなり重要と思います」
 過去を振り返れば、有識者と呼ばれる人たちの判断が正しくないものだったことはありますが、では、誰なら正しい判断が出来たのかを考える必要があります。単に人を変えればいいというわけではありません。既存の制度に改めるべきところがあれば改めるべきですが、現状を否定するだけでは解決策にはつながらないでしょう。皆様との議論を続けていきたいと考えています。
 本日はちょっとまとまりのない話になってしまいましたが、このあたりで失礼します。
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                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
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京都大学がオープンイノベーションで製薬3社と新プロジェクト、
アステラスとのAKプロジェクトに続く取り組みがドイツBerlinでも注目浴びる
「BTJジャーナル」2011年1月号に掲載
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 BTJジャーナル2011年1月号を先週、発行・公開しました。全文を無料でお読みいただけます。お楽しみください。
 最新号(2011年1月号)のダウンロードはこちらから。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html#btjj1101
 今号の“青”コーナー「リポート」は、2010年秋にドイツBerlinで開催された第2回World Health Summitの現地リポートを掲載しました。参加者数は71カ国から1235人と、前年開催の第1回に比べ75%増えました。300年の歴史を持つCharite-Universitatsmedizin Berlinと日本の関係はとても深いことが改めて示されました。京都大学は主催したシンポジウムでオープンイノベーションのプロジェクトの取り組みを発表しました。順天堂大学とChariteはアカデミック・エクスチェンジ・プログラムの提携を進めています。
 この現地リポート記事は、以下のBTJ/日経バイオテク・オンラインの記事をもとに編集しました。BTJジャーナルなら、PDFファイルをダウンロードするだけで全文をご覧いただけます。
※BTJ/日経バイオテク・オンラインの関連記事
交流140周年の順天堂大と独Charite大が提携、Berlinの第2回ワールドヘルスサミットで独日ジョイントシンポ開催
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/4338/
独Berlinの第2回ワールドヘルスサミットに71カ国から1235人が参加、医療の個別化に伴うコスト高騰と気候変動、金融危機が主題
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/4254/
オープンイノベーションで京大が製薬3社と新プロジェクト、アステラスとのAKプロジェクトに続く
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/4198/
続報、ワールドヘルスサミットが独Berlinで開幕、オープンセレモニーでノーベル化学賞のYonath博士が講演、京大や順天堂大の主催シンポも
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/4197/
■なお、上記の「BTJ/日経バイオテク・オンライン」の記事は全文を、リンク記事も含め全部ご覧いただくには「日経バイオテクオンライン」への申し込みが必要です。申し込みはこちらから。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/
 BTJジャーナルの誌面は、次のサイトでPDFファイルをダウンロードすると、全文をご覧いただけます。
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 ぜひお楽しみください。
                          BTJ編集長 河田孝雄
※2011年1月号(第61号)のコンテンツを目次にて紹介します。
BTJジャーナル 2011年1月号(第61号)
●CONTENTS
新春展望 独Berlinサミット 上原賞 安藤百福賞
P.2 アカデミア・トピックス
バイオ識者の新春展望
バイオ賀詞交歓会に560人
P.7 リポート
BerlinでWorld Health Summit
京大や順天堂大の主催シンポも
P.10 キャリア
上原賞と安藤百福賞
P.12 BTJアカデミック・ランキング
2010年間アクセスTop50も発表
P.14 奥付け