毎月第1金曜日と第3金曜日、第5金曜日のバイオテクノロジージャパン(BTJ)メールで編集部原稿を担当しておりますBTJ編集長の河田孝雄です。2週間ぶりでお目にかかります。
 師走の今月の第5金曜日は12月31日、大晦日ですが、この日はメールをお休みさせていただきますので、河田が担当するBTJメールは今週が年内の最後になります。今年もお世話になりましたが、来年もどうぞよろしくお願いします。
 なお当方は、毎月第2金曜日と第4金曜日には、日経バイオテク/機能性食品というメールマガジンを担当しておりまして、こちらは来週金曜日(12月24日)が最後になります。
◆「日経バイオテク/機能性食品メール」の配信申し込みはこちらから。
http://passport.nikkeibp.co.jp/bizmail/food-sc/index.html
 さて、先週は火曜日(2010年12月7日)から金曜日(12月10日)まで4日間、神戸市で開催されたBMB2010を取材しました。ここ2週間で報じた記事をただいま調べたら9本でしたが、そのうち7本が、BMB2010の関連でした。
 このBMB2010では、若手研究者向けのシンポジウムやワークショップを重点的に参加しまして、記事とりまとめ中の案件がたくさんあります。順次報じてまいります。
 こんな中から今日、特にお伝えしたいエッセンスは、「事業仕分け」の影響です。
 ますは理研神戸の次世代スーパーコンピュータ。BMB2010で発表を聴いたので、神戸ポートライナーで最寄駅に行って、完成した建物の写真も撮影して、記事にまとめました。
BMB2010、神戸の理研計算科学研究機構で京コンピュータの搬入が1%超、ポートライナー駅名は「京コンピュータ前」に
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/5660/
 予算措置上の呼び名などは、事業仕分けによって変わったようですが、バイオテクノロジーの進展に欠かせないスパコンが、順調に稼働を始めたことは、何よりです。
 事業仕分けの影響の2つめも、理研の話題ですが、昨年のパンデミックのインフルエンザウイルスを正確に迅速に検出できる試薬キットの製造販売承認を、理研発ベンチャーが11月下旬に取得しました。
理研発ベンチャーのダナフォーム、インフルエンザA(H1N1)を検出する試薬キットの製造販売承認を取得
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/5662/
 この承認を得るためのヒト試験の実施には倫理委員会の承諾が必要ですが、「理研も社会に貢献すること」が、事業仕分けの結果を踏まえて強調されるようになり、事業仕分けがいわば、追い風になったという側面もあったようです。
 事業仕分けの影響の話題の3めは、ネガティブな影響です。
 産業技術総合研究所(AIST)の夏目徹主任研究員らは、たいへんな努力の末に超高感度たんぱく質分析のシステムを確立して、ここ3年ほど年1万サンプルの分析を行ってきたのですが、2010年は事業仕分けへの対応に追われた悪影響があり、サンプル分析数が半分程度になってしまったとのことでした。
BMB2010、論文61報でIF計588超の超高感度たんぱく質分析、「新世代ロボットにより通常ラボで可能に」と夏目AIST主任研究員
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/5686/
 科学技術立国を標ぼうしている日本なのですから、このような悪影響はできるだけ減らしていきたいものです。
 さて、科学技術立国を目指しす日本では、「徴研究制」を設けてはどうか、という意見を、昨日、某国立大学法人のPI(教授)の方からうかがいました。例えば3年間、研究に係ることを義務付けるというものです。ひたすら試験管を洗うことなども含め、何らかの形で日本の研究に寄与することを、国民の義務にしてみては、という意見です。
 たまたま先日、ロシアの近くのウクライナという国でも、徴兵制があり、その免除のためにも大学入学に努力したという話をうかがう機会がありました。「徴研究制」も、日本の若手のモチベーションを高める効果を期待できるのでは、と思います。
皆さんはどのように思われますか。
 メール原稿の締切時間が迫ってきました。ここ2週間の記事リストに一言ずつ、■感想■をつけたものを紹介します。
※直近2週間のBTJ/日経バイオテクオンラインの記事
BMB2010、生物研、ブタの肉質と肉量に係る椎骨数支配遺伝子を特定、遺伝子診断による人工授精用精液を2011年度に実用化段階へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/5704/
■感想■ブタの精液は、ウシやヒトに比べ、か弱いことを知りました■
BMB2010、論文61報でIF計588超の超高感度たんぱく質分析、「新世代ロボットにより通常ラボで可能に」と夏目AIST主任研究員
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/5686/
■金(ゴールド)の部品を“苦節3年”で実現し、新宿のゴールデン街で「ゴールデン」と叫んだ、というエピソードもとても気に入りました■
理研発ベンチャーのダナフォーム、インフルエンザA(H1N1)を検出する試薬キットの製造販売承認を取得
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/5662/
■国の研修医制度の変更の影響で、内科医の人数が5分の1位に減ってしまった話題も有名な千葉県の東金地区の病院・医院でも、たいへんな取り組みが実行されました■
BMB2010、神戸の理研計算科学研究機構で京コンピュータの搬入が1%超、ポートライナー駅名は「京コンピュータ前」に
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/5660/
■京コンピュータは、現在1%ほどが稼働していて、既に地球シミュレーターの2.5倍の性能を発揮しているとのことでした■
写真更新、BMB2010、1分子シーケンサーで再現性が0.65から0.99へ、理研OSCの林崎領域長がFANTOM5への参加呼び掛ける
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/5584/
■PCR不要な1分子シーケンサーの威力をまざまざと感じました■
BMB2010、siRNAの導入が困難だった細胞種にHVJ-Eベクター、石原産業が阪大と共同発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/5528/
■数年以上にわたり改善を積み重ねてきた成果のようです■
日本分子生物学会と日本生化学会、2011年度年次大会は別個に開催
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/5520/
■来年と再来年は、別個に開催することが既に決まっているようです■
BMB2010、日本分子生物学会と日本生化学会の合同大会が開幕、12月10日まで神戸で開催、市民公開講座は12月11日に東京で開催
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/5517/
■4日目の夕方のポスター発表会場も、たいへんな人込みで、熱気を感じました■
第2回ダノン・アジア・プロバイオティクス大会、12月3日に都内で開催、120人が参加
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/5494/
■アジアや欧米の注目研究者が来日しました■
 メール原稿の締切時間になりました。最後に、先月末に発行・公開したBTJジャーナル2010年11月号を改めて紹介します。
 巻頭の“緑”コーナーは「アカデミア・トピックス」。がん治療ワクチンの臨床試験に関する注目記事3本をまとめて掲載しました。問題があると朝日新聞が報道したことを受け、東京大学医科学研究所が2010年10月15日に記者会見を開きました。10月21日に総合科学技術会議(CSTP)が公表した2011年度予算概算要求の優先度判定では、がんワクチンの臨床研究推進はC判定になりました。
 “青”コーナー「リポート」は、食品のエビデンス論文を特集しました。食品が本来持つ機能性は薬事法や健康増進法等の規制により研究成果は商品回りで表示できません。エビデンス度が高いコホート研究や無作為介入試験の新しい論文発表の成果をまとめました。多目的コホートでは日本の女性で米飯が糖尿病のリスク要因との結果が出ました。ライチ由来のポリフェノールや赤ワインのポリフェノールでは新たな健康エビデンスの成果が論文発表されました。
 “赤”コーナーは「キャリア」。平成22年度の文化勲章受章者7人と文化功労者17人を一覧で掲載しました。そのうちバイオテクノロジーと関係が深い受章者・受賞者については、BTJアカデミックなどの関連記事リンクとともに紹介しました。
BTJジャーナル2010年11月号のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html#btjj1011
 2010年11月号(第59号)の目次は以下の通りです。
BTJジャーナル 2010年11月号(第59号)
●CONTENTS
がんワクチン 食品エビデンス論文 文化勲章・文化功労者
P.2 アカデミア・トピックス
がんワクチン報道で記者会見
臨床研究はCSTPでC判定に
P.4 リポート
食品の健康エビデンスが
国際ジャーナルに相次ぎ掲載
P.8 キャリア
文化勲章と文化功労者
P.9 BTJアカデミック・ランキング
がんワクチンはC判定がトップ
P.10 奥付け