現在、早朝に東京を発ち新大阪へ向かっています。
 本日の東京は穏やかな朝でした。お濠の鴨も気持ちよさそうに航跡を残し、悠々と泳いでいます。暖かいので季節を錯誤してしまいますが、東京で一番先に黄葉する和田倉門のイチョウは既に黄色に変わり、本当は秋なのだと気づかせてくれました。人間は気候の変動で右往左往しているのに、植物達は何故、こんなにもしっかりと季節に対応できるのでしょうか?短い時間の変化に過敏な動物と、長期的な変化に敏感な植物というメカニズムの差があるように思えてなりません。積算温度や積算照度に反応することなど、私たちには出来そうにありません。
 昨夜、NKH衛星放送の深夜番組でアーセナルが昇格したばかりのニューキャッスルに予想外の敗退を喫した興奮で、WOWOWのリーガエスパニョーラになだれこみ、バレンシアVSヘタフェにチャンネルを廻す。もう2時です。しかし、メッシが中盤の混乱でスルスルと抜けだし、キーパーのニアにインサイドキックでゴール。後の2点も全部メッシがらみ。細かいパスが気持ち良く繋げ、しかも全員がトップスピードでゴールに殺到するバレンシアのプレイにもう眠れません。結局、3対1で快勝、そしてこれらからレアルマドリードとアトレチコマドリードのマドリードダービーがあるとのアナウンス。もういい加減にしてくれい。結局、睡眠時間1時間で爽やかに出張です。私が植物なら絶対、アーセナルの試合の前に、瞼を閉じていたはず。今はそれが本当に羨ましい。おまけに光合成が出来れば食事の必要もありません。
 そんな馬鹿のことはともかく、バイオです。
 先週、米国DuPnt社のChief Innovation Officerの Thomas Connelly氏のインタビューを行いました。凄く穏やかで知的。日本の経営者では滅多に見られないタイプです。そもそもCTOやCSOなら知っていますが、CIOを何故、DuPont社が任命したのか?これは急速に変化する技術革新を商業化する経営上の技術革新でもあるのです。詳細は今週中にインタビュー記事としてBiotechnology Japanに掲載いたしますので、ご期待願います。
 インタビュー中にいくつも驚かせられましたが、本日は前文繋がりで、農業のことをご紹介いたしましょう。
 「08年から10年間で、農作物(ダイス、トウモロコシ)の収量を40%以上増加させる」
(Connelly氏)。
 TPPで日本の農業を鎖国して保護しろなんて叫んでいる時代遅れの政治家達が白目を剥いて気絶しそうな数字ですが、同氏は実に当たり前のように実行可能であると説きました。まず、伝統的な交配育種技術で毎年収量1%増は可能だ。そして、DNAマーカー育種による育種期間短縮で年2%の増収、更に耐病性、耐虫性 、窒素固定能力改善、乾燥耐性などの農業遺伝形質の導入で年間3%の増収を実現できると言うのです。これを全部足すと10年間で60%の増収になってしまいますから、まずは10年間で40%以上は堅い数字だと印象付けました。実際にDuPont社のウェブサイトでも、これは宣言しておりますので、必ずやり遂げる自信があるのです。
 つまり、今、農業は新たな技術革新の時代に入ったのです。灌漑、交配育種、化学肥料や農薬、ハイブリッド種子など、収穫量を飛躍的に増加させた技術革新によって、地球の人類は養われていました。今、中進国や発展途上国の経済の離陸による、人口問題の解決には尚一段と農業の技術革新が必要です。バイオテクノロジーが農業の次の技術革新のサイクルを担うことがここまで明白になったことを私たちは直視しなくてはなりません。
 世界で一番、組み換え農産物を輸入し、食べているのに、「組み換え農産物は食べていないという幻想」を与える政府や大企業の愚民政策を即刻止めにしなくては、私たちは、農業の技術革新に乗り遅れ、我が国の農村や山河の雇用を奪い、食料の安全と安心を確実に損なうことになります。
 高い関税による鎖国、米価への中途半端な市場原理導入や減反など、我が国の農業政策の伝統的な誤りによって、日本の農業は国際的な競争力を失った産業のように思われていますが、競争力を失っているのは米作だけ。野菜や果樹は充分な競争力があり、逆に輸出まで始まっています。安い輸入野菜も市場での競争力はありません。私たちの精密農業システムの競争力はまったく問題ありません。これにどうやってバイオや植物工場などの技術革新を融合させるか?日本の生き残りをかけた智恵の絞りあいです。
 農業には今、技術革新が起きています。投資すべき時です。但し、重要なのは農民の所得保障だけではなく、今後、私たちの食の安全と安心を守り、世界と競争できる農業の担い手に対する支援なのです。既得権の打破がここでも必要です。企業参入も重要な争点です。
 前から何回も申し上げていますが、TPPを絶好の機会として、農水省が食糧省に看板を掛け替えられるか?先行するスカンジナビアの諸国は農民の生活だけでなく、国民の食を守る官庁として機能を転換しております。農業人口がこれから老齢化で急速に消滅することを認識して、早急に農水省自体の機能を転換しないと、まったく不要な省として、仕分けされるか、総務省に吸収されるか?ろくな未来はないことを認識しなくてはなりません。
 皆さんはどう思われますか?
 どうぞ今週もお元気で。
                
                Biotechnology Japan Webmaster 宮田 満
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<<BTJブログWmの憂鬱>> 
最新一週間の記事  http://blog.nikkeibp.co.jp/bio/miyata/ 
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2010-11-04   
BTJブログWmの憂鬱2010年11月04日、個の医療での大逆転!抗EGFR抗体はコドン13領域に起こった特定の突然変異(G13D)に効果あり
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/4810/
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2010-11-01   
BTJブログWmの憂鬱2010年11月01日、iPS細胞偏重のという議論ももう古い?
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/4730/
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2つに分かれて順位の違いが目立つ、権威ある「世界大学ランキング」
先月末に発行・公開の「BTJジャーナル」2010年10月号に掲載
BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
アカデミア向けの有料サービス「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp
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 BTJジャーナル2010年10月号を先々週の月曜日(10月25日)に発行・公開しました。
 巻頭の“緑”コーナー「アカデミア・トピックス」は秋恒例の「世界大学ランキング」を特集しました。
 最も権威があるといわれてきた「THE-QS世界大学ランキング」は今年から2つに分かれ、評価方法の違いで順位の差異は大きくなりました。
 日本の大学は順位の低下が目立つ中で、名大、九大、筑波大、広大、医科歯科大がQS社ランキングで順位を上げました。THE誌のライフサイエンス分野は東大30位、京大35位となりました。
BTJジャーナル2010年10月号のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html#btjj1010
 以下にBTJ/日経バイオテク・オンラインの関連報道記事一覧を示します。この記事の一部を元に、今回の記事をまとめました。
※BTJ/日経バイオテク・オンラインの関連記事リスト
英THE誌「THE世界大学ランキング2010」のライフサイエンス分野トップ50に日本は2校、東大が30位で京大が35位
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/4397/
英THE誌の「THE世界大学ランキング2010」トップ200大学に日本は5校、東大26位で京大57位
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3852/
英QS社「世界大学ランキング2010」に日本の33大学がランクイン、東大と京大が接戦、順位アップは名大、九大、筑波大、広大、医科歯科大
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3851/
今年から2つに分かれた英国発の「世界大学ランキング2010」、2つとも日本の有力大学の順位低下が目立つ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3849/
続報、文科省の産学連携調査、大学ランキングのトップに北里大、東北大、自治医大、慶大、国際大
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3164/
Times Higher Education誌、大学ランキングに新しい評価基準を導入
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2648/
続報、日本の論文数は微増ほぼ横ばい、米Thomson Reuters社が「Global Research Report Japan」を発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1909/
英QS社アジア大学ランキング2010、東大はシンガポールと香港に抜かれて5位に、阪大が京大の上位に、トップ200に日本勢は56校
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/0963/
■なお、上記の「BTJ/日経バイオテク・オンライン」の記事は全文を、リンク記事も含め全部ご覧いただくには「日経バイオテクオンライン」への申し込みが必要です。申し込みはこちらから。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/
 BTJジャーナルの誌面は、次のサイトでPDFファイルをダウンロードすると、全文をご覧いただけます。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 ぜひお楽しみください。
                          BTJ編集長 河田孝雄
※2010年10月号(第58号)のコンテンツを目次にて紹介します。
BTJジャーナル 2010年10月号(第58号)
●CONTENTS
世界大学ランキング BioJapan2010 オーストリアIMBA
P.2 アカデミア・トピックス
権威ある世界大学ランキング
2つに分かれて順位に差異
P.6 リポート
BioJapan2010に2万5000人超
25カ国から最新バイオが集結
P.10 キャリア
オーストリアIMBAの望月一史氏
自分で実験できる研究環境を重視
P.11 BTJアカデミック・ランキング
がん治療ワクチン報道がトップ
P.13 広告索引