こんにちは。日経バイオテク編集長の橋本です。
 日経バイオ年鑑の編集作業が佳境に入ってきました。バイオ部のスタッフに加えて、外部のライターや専門家の方にも手伝っていただきながら、何とか今年も12月上旬には皆様のお手元にお届けできるよう、作業を進めています。(欧米における3歳未満をインフルエンザワクチンの用量を、一部「1.25mL」と誤記していたので訂正しました)
 まだ全体に目を通してはいないのですが、私が編集を担当しているところだけでも2010年は大きな変化がありました。特に2010年、最も大きく変化したのはワクチン分野でしょう。
 09年は新型インフルエンザ騒動に振り回された感がありましたが、09年後半に子宮頸がんワクチンの「サーバリックス」と、小児用の肺炎球菌結合型ワクチン「プレベナー」が承認されました。一方、サノフィパスツールと第一三共が合弁で開発し、第一三共が販売するインフルエンザ菌b型(Hib)ワクチンの「アクトヒブ」は、08年12月に発売しながら市場では品薄の状態が続いていましたが、この10月から月間40万本の供給が始まりました。輸入ワクチンであるこの3つのワクチンについて、政府は今年度内にも個人負担無しで接種できるようにすることを26日に閣議決定し、2010年の補正予算では関連経費として1085億円を計上しました。数年前まで停滞していたワクチン市場は、間違いなく大きく拡大し始めています。
 日本のワクチン市場に着目しているのは外資系企業だけではありません。第一三共は8月に、マジョリティーを占める形で新会社を設立し、そこに北里研究所のワクチン事業の譲渡を受け、ワクチン製造、研究開発に本格的に取り組むと発表しました。アステラス製薬も、インフルエンザワクチンの開発、製造を行うベンチャーのUMNファーマと9月にライセンス契約をしました。さらに武田薬品は、再びインフルエンザ事業に参入すると共に、Novartis社から導入したHibワクチンの臨床試験を開始したり、10月13日には理化学研究所の新興・再興感染症研究ネットワーク推進センターの神田忠仁チームリーダーが国立感染症研究所勤務時代に開発したHPVワクチンの権利を取得したことを発表しています。日本の大手製薬企業もワクチン事業を本格化させています。
 一方、季節性インフルエンザに関して、小児への投与量を見直すための臨床試験を、ワクチンメーカー各社が進めていると聞きます。欧米ではインフルエンザワクチンの用量は3歳未満は0.25mL/回、3歳以上は0.5mL/回なのですが、日本では1歳未満0.1mL/回、1歳以上6歳未満0.2mL/回、6歳以上13歳未満0.3mL/回、13歳以上0.5mL/回と細かく設定されています。これが医療現場で煩雑なのと、十分な免疫反応が得られていないのではないかということで、用量の見直しを開始したということです。実際、昨年の新型インフルエンザワクチンの優先接種の際も、1歳未満の小児は予防接種による効果が小さいとの理由で、1歳未満の小児ではなく、その保護者が優先接種の対象になっていました。臨床試験の結果が出なければ何とも言えませんが、1歳未満でも0.25mLの接種なら十分な免疫が得られることが分かれば、いいことだと思います。
 いずれにせよ、日本のワクチン産業の大きな変化に期待すると共に、それを制度的にもしっかり後押しするよう、厚生科学審議会の予防接種部会における予防接種法改正の議論にも期待しています。
 日経バイオ年鑑2011では、ワクチンのほかバイオ分野の100を超える項目について、最新の動向をまとめています。2010年12月の発行を予定していますので、よろしくお願いします。
 最後に、11月24日開催のBTJプロフェッショナルセミナー「ゲノムバイオマーカーが変える医薬品R&D」の宣伝です。診断薬企業としては、キアゲンのステファン・ペレ社長に、海外事例を中心にコンパニオン診断薬開発の実例を講演いただけることになりました。オランダQIAGEN社はKRAS遺伝子検査キットなどを手掛ける英DxS社を買収し、コンパニオン診断薬の開発に本格的に取り組んでいます。コンパニオン診断薬を開発するには、製薬企業、規制当局とどのような連携ややり取りが必要になるのか、といったことを紹介いただけるのではないかと期待しています。
 以下、過去に日経バイオテクオンラインで報じた関連記事です。
キアゲン、HPVテストの販売を開始、日本で体外診断薬の販売に本格参入
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/9347/
海外発表、QIAGEN社、がん治療コンパニオン診断に用いるバイオマーカーPI3Kのライセンスを獲得
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/8817/
欧州でK-RAS遺伝子変異判別キットの販売好調、Amgen社の抗がん剤に承認条件付いたため
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/0393/
 まだお申し込みでない方はぜひともお急ぎお申し込みください。詳細は以下のサイトをご覧ください。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/101124/
 本日はこの辺りで失礼します。
 日経バイオテク・オンラインの記事全文をお読みいただくには、日経バイオテク本誌の読者になっていただく必要があります。日経バイオテク本誌のお申し込みは、以下からお願いします。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/index.html
                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
 ご意見があれば以下のフォームからお願いします。いただいたご意見を次回以降のBTJメールの中で、匿名で紹介させていただく可能性があることをご了解ください(紹介されたくない場合はその旨を明記しておいてください)。
 
https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html
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2つに分かれて順位の違いが目立つ、権威ある「世界大学ランキング」
先週に発行・公開の「BTJジャーナル」2010年10月号に掲載
BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
アカデミア向けの有料サービス「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp
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 BTJジャーナル2010年10月号を先週月曜日(10月25日)に発行・公開しました。
 巻頭の“緑”コーナー「アカデミア・トピックス」は秋恒例の「世界大学ランキング」を特集しました。
 最も権威があるといわれてきた「THE-QS世界大学ランキング」は今年から2つに分かれ、評価方法の違いで順位の差異は大きくなりました。
 日本の大学は順位の低下が目立つ中で、名大、九大、筑波大、広大、医科歯科大がQS社ランキングで順位を上げました。THE誌のライフサイエンス分野は東大30位、京大35位となりました。
BTJジャーナル2010年10月号のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html#btjj1010
 以下にBTJ/日経バイオテク・オンラインの関連報道記事一覧を示します。この記事の一部を元に、今回の記事をまとめました。
※BTJ/日経バイオテク・オンラインの関連記事リスト
英THE誌「THE世界大学ランキング2010」のライフサイエンス分野トップ50に日本は2校、東大が30位で京大が35位
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/4397/
英THE誌の「THE世界大学ランキング2010」トップ200大学に日本は5校、東大26位で京大57位
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3852/
英QS社「世界大学ランキング2010」に日本の33大学がランクイン、東大と京大が接戦、順位アップは名大、九大、筑波大、広大、医科歯科大
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3851/
今年から2つに分かれた英国発の「世界大学ランキング2010」、2つとも日本の有力大学の順位低下が目立つ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3849/
続報、文科省の産学連携調査、大学ランキングのトップに北里大、東北大、自治医大、慶大、国際大
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3164/
Times Higher Education誌、大学ランキングに新しい評価基準を導入
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2648/
続報、日本の論文数は微増ほぼ横ばい、米Thomson Reuters社が「Global Research Report Japan」を発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1909/
英QS社アジア大学ランキング2010、東大はシンガポールと香港に抜かれて5位に、阪大が京大の上位に、トップ200に日本勢は56校
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/0963/
■なお、上記の「BTJ/日経バイオテク・オンライン」の記事は全文を、リンク記事も含め全部ご覧いただくには「日経バイオテクオンライン」への申し込みが必要です。申し込みはこちらから。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/
 BTJジャーナルの誌面は、次のサイトでPDFファイルをダウンロードすると、全文をご覧いただけます。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 ぜひお楽しみください。
                          BTJ編集長 河田孝雄
※2010年10月号(第58号)のコンテンツを目次にて紹介します。
BTJジャーナル 2010年10月号(第58号)
●CONTENTS
世界大学ランキング BioJapan2010 オーストリアIMBA
P.2 アカデミア・トピックス
権威ある世界大学ランキング
2つに分かれて順位に差異
P.6 リポート
BioJapan2010に2万5000人超
25カ国から最新バイオが集結
P.10 キャリア
オーストリアIMBAの望月一史氏
自分で実験できる研究環境を重視
P.11 BTJアカデミック・ランキング
がん治療ワクチン報道がトップ
P.13 広告索引