こんにちは。水曜日を担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。
 BioJapan2010が本日から開催されました。昨年は台風に直撃され、交通網も寸断されて結構大変な思いをしました。今年は天気もよく、事前登録者は昨日の時点で09年の2割弱多い数字でした。また、マッチングサイトの事前登録も900件を超えました。展示の規模は例年に比べると少し縮小気味ではありますが、大学やベンチャー、大手製薬企業、あるいは医療機器メーカーなどが連携してオープンイノベーションを推進するためのインフラとして、BioJapanの利用価値がそれなりに認められているのではないかと思います。
 開会式では来賓の経済産業省の中山義活政務官が「いつまでも元気な日本を作っていきたい」と語っていました。開会式に続く基調講演では、Wellcome財団のWilliam Castell会長、Archer Daniels Midland社のTodd Werpy副社長、内閣府総合科学技術会議の相澤益男議員が講演。講演の内容は後ほど日経バイオテク・オンラインで記事にする予定ですが、現在、総合科学技術会議では、来年3月の閣議決定を視野に第4期の科学技術基本計画を策定中で、「まだデリケートだけど、科学技術投資額として、官民合わせてGDP(国内総生産)の4%をターゲットに交渉している」と話していました。また、いずれの講師も、環境や人口増加、健康問題などの世界的な課題にチャレンジすることと、オープンイノベーションの重要性を強調していた点が印象的でした。
 各セミナーの模様などは、日経バイオテク・オンラインで順次報じて生きたいと思います。また、今年はTwitterを利用して、BioJapanについて盛んにつぶやいていきたいと思います。皆様ぜひともBioJapanにお越しください。うまくすれば何かが起こるはずです。
http://twitter.com/search?q=nikkeibiotech#search?q=%23biojapan2010
 ところで話題は変わりますが、先週、大阪大学大学院生命機能研究科心生物学グループの内村有邦特任研究員らが行っている実験室進化実験の取材をしてきました。ネオ・モルガン研究所(神奈川県川崎市、藤田朋宏社長)の「不均衡変異導入法」を用いて遺伝子に変異を持ったマウスをランダムに作製する中から、実験室内で進化を再現し、そのメカニズムを解明しようというものです。その中から、シンギングマウス=小鳥のように鳴くマウスが誕生したということで取材してきました。実験用のマウスは実は「チュウチュウ」とは鳴かず、超音波領域の音で鳴くことが知られていたそうです。ところが、シンギングマウスを実際に見せてもらいましたが、可聴域で「チチチチ」と鳴いていました。詳しくは以下の記事をご覧ください。
大阪大学、ネオ・モルガン研究所、進化を加速する技術を利用して変異マウスを作製、小鳥のように鳴くマウスも誕生
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3897/
 ネオ・モルガンの不均衡変異導入法は、DNAのコピーを作製する際に生じるミスを修復するDNAポリメラーゼを働かなくすることで、遺伝子の突然変異の発生率を高める技術です。その理屈や、有用物質を生産する微生物や藻類などの品種改良に利用されていることは聞いていましたが、結果を見るのは初めてでちょっとびっくりしました。阪大ではこの技術を適用したマウスをこれまでに約2200匹誕生させ、うち約110匹で外観上に表現系の異常が観察されたということです。
 ただ、残念なのはリソースの不足で生理学的指標など、外見だけでは分からない指標の解析にまで十分手が回っていないということです。理屈でいうと、自然界で生じる小さな点突然変異の蓄積を加速させているわけですから、トランスジェニックマウスを作製するのと違って、より自然に生じる病態モデルマウスを作製している可能性があります。2200匹の中には高血圧や糖尿病などの生活習慣病や、免疫疾患などの病態モデルが存在している可能性はあるものの、十分な解析ができていないというのはちょっともったいないという印象を受けました。ネオ・モルガンではぜひともそうした解析を行ってくれる共同研究先を探したいということでした。このメールを読んで興味を持たれた方は、ぜひとも同社にお問い合わせください。
 本日はこのあたりで失礼します。
 なお、本日午前中にBTJ /HEADLINE/NEWSの号外として、同じものを2通配信してしまいました。おわび申し上げます。
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                     日経バイオテク編集長 橋本宗明